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第二十一話【気づかせない】中
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「随分騒がしいな」
「力也なにがあったんだ?」
「翔壱さん、修二さん!ちょうどいいところに!」
年上の落ち着きを持っている二人ならこのわけのわからない事態を止めてくれるだろうと、思った力也だが、話を聞いた翔壱はうなずいた。
「おまえらの言いたいことはわかった。なら、コマンドだけにしたらどうだ?」
「僕はそれでもいいよ」
「俺もそれでいい」
「まあ、それぐらいならいいか」
「よくない!よくないよ!?」
あっさりと自分の意見が無視されていると声をあげるも、どちらかといえば我を通すタイプの三人が聞くはずもなくあっさりと無視されてしまった。
「修二さん!修二さんからもなんとか言ってください!」
「悪いが、俺はとばっちりを受けたくない」
「修二さん!?」
Usualの兄とは言え、パートナーの代わりを務めているからには、それなりにPlayをして主導権を握られている修二には止められるはずもない。
慰めるように、肩にポンポンと手を置かれた力也の味方はこの場にいなかった。少し前まで、みんなこっちの味方だったはずなのに冬真に乗せられ悪い影響を受けている。完全にからかわれているだけなのだが、力也は混乱していた。
「随分にぎやかだな」
「神月監督!助けてください!」
「お、どうした?」
(そこにふるのかよ!?)
近づいてきた神月監督へと思わず、助けを求めた力也に、その場にいた全員の顔色が変わる。この場にいる誰もが恐れているはずの相手に助けを求めるなど、だれが予想できただろうか?
それに対し、同じくそうくるとは思っていなくて驚いた神月監督だったが、すぐに支配権を有した強者のオーラを放ち始めた。
「みんなして俺に、Good Boyって言わせようとするんですよ!」
「……それで言い争ってたのか!?」
力也の訴えに、一瞬固まったが先ほどまで出していたオーラを一気に引っ込め、腹を抱え笑いだした。
大爆笑を始めた神月監督の様子に、驚いた冬真たちだったが風向きがこちらを向いたのに気づきニヤッと笑みを浮かべ始めた。
「僕、力也君にほめてほしいって言ってるのに褒めてくれないんですよ」
「一言でいいって言ったんですけど」
「いいじゃねぇか、言ってやれよ力也」
「笑いごとじゃないんです!」
「どう考えても笑いごとだろうが」
傍からみれば、笑いごとでしかない言い争いだとこの場にいる力也だけが気づいていない。確かにSub相手にはたまに言うが、Domや立場が上のUsualやSwitchにいうことではないと思っていただけに、頭が混乱している。
(俺はSubなのに!)
褒めるコマンドを使えなど要求してくるなんて、みんなSubだと忘れているんじゃないかといいたいがこの勝てない状況は完全にSubの位置だった。
「ククッ、まあそうケチケチすんな。こいつらがそれでやる気がでるなら協力してやれよ。それぐらい安いもんだろ?」
「そうですけど…」
「Subの度量の広さをみせてやれよ」
「…わかりました」
さすがに、神月監督にそういわれてしまうと、肯定することしかできず、渋々と言った様子で力也は頷いた。
「それでこそAランクのSubだ。ところで、お前にされた質問のことで話があるんだけどいいか?」
「はい」
「ここじゃなんだから、こっちこい」
「はい。ちょっと行ってくる」
手招きをされ、力也は軽く手を振るとその場を離れ神月監督のほうへとついていった。
「あーあ、行っちゃった」
「話ってなんだろうな」
せっかく褒めるコマンドをもらえるチャンスだったのにと、残念そうな孝仁と将人は冬真のほうを見た。
「あれじゃない?Subにしてくださいってお願いしたのかもよ」
「ありうるな」
そういった孝仁と将人は、離れたところで話している二人とまったく同じポーズをとった。
「神月監督、俺をSubとして扱うことができるのは貴方だけです。どうか、俺をパートナーにしてください」
「ああ、俺もそう思っていた。あんなガキに仕える必要はない、俺の物になれ」
「二人とも、こんなことで実力を発揮しないでください」
演技力に高評のある二人の、話し方と仕草は信憑性が高く、本当にそう話しているように見えてくる。
「だって神月監督のほうが、ランク上でしょ?」
「はい」
そう、冬真のグレアと違い神月監督のグレアは確実に力也に効いている。パートナーとしてのランクは、同じか又はDomのほうが一つ上ぐらいが理想的だ。ランクが離れれば離れるほど、コントロールが難しくなる。
「邪魔しにいかなくていいの?」
「俺に関係があることならアイツは一言いってくると思うんで」
「自信があるんだね?」
「そんなんじゃないです」
神月監督と何を話しているのかは気になるが、孝仁や将人がいうような話ならばちゃんと自分に話してくれるはずだと冬真は思っていた。もちろん、Subの中にはDomの機嫌を損ねたくないという理由で声に出さない者たちも多くいる。
力也がそうではないというわけではないが、そうならないように接しているつもりだし、事実力也の態度もそういう様子はない。
それでも、DomとSubの価値観の違いはどうにもならない。
「力也なにがあったんだ?」
「翔壱さん、修二さん!ちょうどいいところに!」
年上の落ち着きを持っている二人ならこのわけのわからない事態を止めてくれるだろうと、思った力也だが、話を聞いた翔壱はうなずいた。
「おまえらの言いたいことはわかった。なら、コマンドだけにしたらどうだ?」
「僕はそれでもいいよ」
「俺もそれでいい」
「まあ、それぐらいならいいか」
「よくない!よくないよ!?」
あっさりと自分の意見が無視されていると声をあげるも、どちらかといえば我を通すタイプの三人が聞くはずもなくあっさりと無視されてしまった。
「修二さん!修二さんからもなんとか言ってください!」
「悪いが、俺はとばっちりを受けたくない」
「修二さん!?」
Usualの兄とは言え、パートナーの代わりを務めているからには、それなりにPlayをして主導権を握られている修二には止められるはずもない。
慰めるように、肩にポンポンと手を置かれた力也の味方はこの場にいなかった。少し前まで、みんなこっちの味方だったはずなのに冬真に乗せられ悪い影響を受けている。完全にからかわれているだけなのだが、力也は混乱していた。
「随分にぎやかだな」
「神月監督!助けてください!」
「お、どうした?」
(そこにふるのかよ!?)
近づいてきた神月監督へと思わず、助けを求めた力也に、その場にいた全員の顔色が変わる。この場にいる誰もが恐れているはずの相手に助けを求めるなど、だれが予想できただろうか?
それに対し、同じくそうくるとは思っていなくて驚いた神月監督だったが、すぐに支配権を有した強者のオーラを放ち始めた。
「みんなして俺に、Good Boyって言わせようとするんですよ!」
「……それで言い争ってたのか!?」
力也の訴えに、一瞬固まったが先ほどまで出していたオーラを一気に引っ込め、腹を抱え笑いだした。
大爆笑を始めた神月監督の様子に、驚いた冬真たちだったが風向きがこちらを向いたのに気づきニヤッと笑みを浮かべ始めた。
「僕、力也君にほめてほしいって言ってるのに褒めてくれないんですよ」
「一言でいいって言ったんですけど」
「いいじゃねぇか、言ってやれよ力也」
「笑いごとじゃないんです!」
「どう考えても笑いごとだろうが」
傍からみれば、笑いごとでしかない言い争いだとこの場にいる力也だけが気づいていない。確かにSub相手にはたまに言うが、Domや立場が上のUsualやSwitchにいうことではないと思っていただけに、頭が混乱している。
(俺はSubなのに!)
褒めるコマンドを使えなど要求してくるなんて、みんなSubだと忘れているんじゃないかといいたいがこの勝てない状況は完全にSubの位置だった。
「ククッ、まあそうケチケチすんな。こいつらがそれでやる気がでるなら協力してやれよ。それぐらい安いもんだろ?」
「そうですけど…」
「Subの度量の広さをみせてやれよ」
「…わかりました」
さすがに、神月監督にそういわれてしまうと、肯定することしかできず、渋々と言った様子で力也は頷いた。
「それでこそAランクのSubだ。ところで、お前にされた質問のことで話があるんだけどいいか?」
「はい」
「ここじゃなんだから、こっちこい」
「はい。ちょっと行ってくる」
手招きをされ、力也は軽く手を振るとその場を離れ神月監督のほうへとついていった。
「あーあ、行っちゃった」
「話ってなんだろうな」
せっかく褒めるコマンドをもらえるチャンスだったのにと、残念そうな孝仁と将人は冬真のほうを見た。
「あれじゃない?Subにしてくださいってお願いしたのかもよ」
「ありうるな」
そういった孝仁と将人は、離れたところで話している二人とまったく同じポーズをとった。
「神月監督、俺をSubとして扱うことができるのは貴方だけです。どうか、俺をパートナーにしてください」
「ああ、俺もそう思っていた。あんなガキに仕える必要はない、俺の物になれ」
「二人とも、こんなことで実力を発揮しないでください」
演技力に高評のある二人の、話し方と仕草は信憑性が高く、本当にそう話しているように見えてくる。
「だって神月監督のほうが、ランク上でしょ?」
「はい」
そう、冬真のグレアと違い神月監督のグレアは確実に力也に効いている。パートナーとしてのランクは、同じか又はDomのほうが一つ上ぐらいが理想的だ。ランクが離れれば離れるほど、コントロールが難しくなる。
「邪魔しにいかなくていいの?」
「俺に関係があることならアイツは一言いってくると思うんで」
「自信があるんだね?」
「そんなんじゃないです」
神月監督と何を話しているのかは気になるが、孝仁や将人がいうような話ならばちゃんと自分に話してくれるはずだと冬真は思っていた。もちろん、Subの中にはDomの機嫌を損ねたくないという理由で声に出さない者たちも多くいる。
力也がそうではないというわけではないが、そうならないように接しているつもりだし、事実力也の態度もそういう様子はない。
それでも、DomとSubの価値観の違いはどうにもならない。
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