ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ

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「早速、研修を始める。とは言っても、君たち冒険者はイスに座っておとなしく、私たちの話を聞くのは好きじゃないだろ?
 みんなには模擬戦を行ってもらおうと思っている」

「も、模擬戦!?」

 参加者に番号の書かれた札が配られる。

「……なんかデスゲームでも始まりそうな雰囲気だね……」

 そして、スーツの男たちは、会場に1枚の扉を運び入れた。

「あの扉はなんだろう? 壁についてないドアって初めて見たなぁ。『どこ〇もドア』みたいだね」
 アキラは緊張感のないことを言う。

「番号を呼ばれたら2名ずつ、この扉に入り、1対1で戦ってもらう。みんなはこの扉を初めて見るだろう。この扉は最近見つかったダンジョンへの入り口だ」

「扉がダンジョンへの入り口!?」
 普通の冒険者の知っているダンジョンの入り口とは全く違う種類だ。虎石の言葉に参加者たちはザワつく。
 3人を除いて……

「ダンジョンと言っても、モンスターはいない。
 闘技場のような広いスペースが広がるだけのダンジョンだ。
 ダンジョンなら、アイテムや魔法を使えるだろう。いつも通り戦ってもらえばいい」
 虎石は説明する。

「アキラちゃんねるさんの部屋以外にも、ダンジョンの入り口は新しくできてるみたいですわね」
 まどかが小声で言う。

「そうみたいだね。あの扉をくぐるとダンジョンに行けるってわけか……本当に『どこ〇もドア』じゃないか!」

「なるほど……この立派な会場で模擬戦をするんじゃなくて、わざわざ異世界のダンジョンで戦うのね」
 花子は気づいた。
 ダンジョンアイテムは異世界でしか能力を発揮しない。
 スピードアップアイテムや防御力アップアイテムはもちろん、魔法や召喚獣もダンジョンでしか使えない。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
 何人かの参加者が騒ぎ出す。

「模擬戦なんて聞いてねーよ! 俺はまったりダンジョン配信をしてるだけの配信者だ! ガチで冒険してるわけじゃないんだ、勝てるわけねーだろ」

「そうだ! そもそも人同士が剣で殺したっていいと思ってんのか!?」
 この会場には冒険者だけではなく、配信者もいる。
 戦闘経験の少ない彼らの言い分は当然だった。

「た、確かにそうだよな……俺だって人を剣で斬るなんて出来ないよ……」
 アキラもそう思っていた。

 騒ぐ参加者に虎石ジュンジは言う。
「安心してくれ。あくまでも模擬戦だ。殺し合いをしてほしいわけではない。私たちは君たちの戦いを見たいだけだ。武器は、我々が用意したものを使ってもらう」

 虎石は剣や槍を取り出す。真っ白な武器だ。
「これは政府が新開発した素材で作られた武器だ。簡単に壊れる事はないが、軽くて命に関わる怪我をする事はないだろう。この素材の様々な武器を用意してある。
 剣使いにはこの素材の剣を、槍使いにはこの素材の槍を使ってもらう」

「よかった……さすが本物の武器を使うわけないか……」
 一安心するアキラ。

「あれ? でも、花子姉さんみたいな魔法使いの人はどうするんでしょうか?」

 まどかの気持ちを察したように虎石はブレスレットを取り出す。
「そして、魔法使いの者にはこのブレスレットをつけてもらう。このブレスレットも最近開発された新アイテムだ。装着した者の魔力を抑える効果がある」

「魔法使い用のアイテムもあるのか。よかったね。花子さん」
「はい……でも『炎帝のブレスレット』の力を抑えたところで結構強いですけど、大丈夫なんですかね……?」
「う……確かに……」

「そして何より、ここには日本有数の回復魔法使いが揃っている。首がちぎれるくらいの致命傷でなければ対応できる魔法使い達だ。人間界なら助からないような怪我でも、ダンジョン内なら回復魔法ですぐに治療できる。安心して戦ってくれ。
 それでは始めよう。ここまで聞いて帰りたいものは、帰ってもらって構わない」
 虎石は話を終えた。

「首がちぎれるって……死んでるじゃないか……!」
「安心しましたわ! でも人と戦うのは初めてですからね……どう戦えばいいのか……」
「ふふふ、アキラさんと当たったら、私の炎魔法で黒焦げにしてもいいってわけですね!」
「それは勘弁してくれよ、花子さん……」

 こうして、冒険者研修と言う名の冒険者同士の模擬戦が始まろうとしていた。
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