ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ

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 闘技場に立つアキラ。
『今の自分はその辺の冒険者では歯が立たないレベルだ』という自信に満ちあふれている。

「さあ、誰でもかかってこい!」
 現れた対戦相手は今にも死んでしまいそうな、ヨロヨロの老人だった。

「お、おじいさん……大丈夫ですか?」
 これから戦う対戦相手だが、さすがに心配になるアキラだった。

「おお、大丈夫じゃ……」
 老人は剣を杖がわりにしながら立っている。

(おいおい、まさかこんな高齢の冒険者がいるとは……サクッと勝って終わろう)
 アキラはそう思っていた。

「それでは、始めてください」

『ダッッ!』
 虎石の開始の声と同時にアキラは飛び出した。

 武器は普段使っている『ドラゴンの剣』の代わりにケガをしない柔らかい剣。
 しかし、能力アップアイテムがいつもと同じだ。
 トップ冒険者顔負けの装備をしているアキラのスピードは凄まじかった。

 ◇
 スクリーンに映るアキラを観戦する花子とまどか。

「速いですね。アキラちゃんねるさん」

「うん。能力アップアイテムも馴染んできたみたいで、最近は手が付けられないスピードよ」

 ◇

 アキラは超スピードで老人に詰め寄る。

「優しく、優しく……」
 相手は年寄りだ。万が一が無いよう力を加減して、老人を剣で叩く。しかし、

『スカッ!』
「あれ? 空振り!?」
 アキラの剣は空を切る。

「お、おかしいな……爺さんは動いてないようだけど?」
 相変わらず剣を杖にし、その間に突っ立っている老人。

「うーん、手加減しすぎて空振ったのかな……?」
 アキラはたいして気にも留めず、もう一度老人に斬りかかる。しかし……
『スカッ!』
 また空振りだ。

「な、なんだ……!?」
 さすがにこれはおかしい。アキラの表情にも緊張感が走る。

 ◇
「アキラさん……どうしたの?」
 花子も訳がわからず、スクリーンを眺めている。

「……あの御老人……ただ者じゃないかもしれません……」
 まどかはつぶやく。同じ剣士として何か気づいたようだ。

 ◇

 闘技場では、呆気に取られるアキラと、微動だにしたない老人。

「……どういうことだ? あの爺さん……なにかやってるのか?」
 2度の空振りで、ただの老人では無いと確信したアキラ。
 一度と距離を取り、様子をうかがう。
 見た目はヨボヨボの老人だ。

「うーん、俺も花子さんみたいに飛び道具があれば、離れて闘いながら様子を見れるんだけどなぁ……
 あっ! そうだ」 

 アキラは指に装備している『召喚獣の指輪』を触る。
 ダンジョン配信でお馴染みなカブトムシが現れる。
 もちろん召喚獣もダンジョンアイテム。ここでの使用は問題ない。

「よし! カブトムシ、あのじいさんに体当たりだ!」
 カブトムシに突撃を命ずるアキラ、はじめての使い方だ。
 カブトムシは老人に向かって飛んでいく。

「ふむ……その生意気な装備品に召喚獣か……。やはりタダのガキじゃないのぅ」
 老人は初めて剣を構える。
『シュンッ!』

『カーン……』
 アキラの遥か後方に、カブトムシが落ちる音が響く。

「……え?」
 アキラの目には何も見えなかった。
 しかし、自分の後ろに吹き飛ばされた召喚獣……間違いない。
 あの老人は目に見えないスピードで剣を振り、カブトムシを叩き飛ばしたのだ。

 ◇

「相変わらずだな。あの爺さんは……あの頃より強いんじゃないか? なぁ?」
 アキラの模擬戦を見ながら元トップ冒険者 虎石ジュンジが横に立つ男に言う。

「……ああ、そうかもしんねェな……。それより、なんであのボウズがいるんだ……?」

「どうだ? あのジイサンの戦いを見てたら、お前もダンジョンに戻りたくなったんじゃないか?
 アイテム屋はやめて、お前もダンジョン省の運営を手伝ってくれよ、金剛寺」

 アキラの戦いを見る運営の中に、髭モジャの男の姿があることを3人は知らなかった。
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