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老婆の言葉で車内に緊張感が走る。
「アンタたち……普通の冒険者じゃないね?」
老婆は言った。
「そ、そんな……俺たちは……その……」
口ごもるアキラ。
「ホッホッホ。まあいいんじゃ、言いたくない事は言わなくてな……
すごいレアアイテムを持っているパーティーじゃからのぅ。不思議に思っただけじゃ」
「うぅ……」
「それで……アンタたちが気にしていたレベル100のダンジョンじゃがな……誰も行った事は無いことになってるが、昔1人だけ行ったことがあると言った奴がおったのぅ」
「え!? レベル100のダンジョンに!?」
なぜ、入り口が見つかってないダンジョンに行けるんだ? と驚くアキラ。
「どうやって行ったのか分からんが、アタシにはソイツが嘘をついているようには見えんかったのぅ……
まあ、かれこれ20年くらい前の話じゃ。
今でもレベル100のダンジョンの入り口が見つかっていないのは本当じゃ」
「そうなんですか……あの、ちなみにその人って……?」
アキラたち以外にもレベル100のダンジョンに行った冒険者がいたようだ。
「ホッホッホ、そりゃ簡単には言えんのぅ!」
「くっ! そりゃそうですよね……ま、まさかお婆さんですか!?」
「アホか! アタシの現役時代はレベル30のダンジョンが精一杯じゃったよ。それにレベル100のダンジョンに行ける冒険者のセンスがあったら錬成師にならんじゃろ!」
老婆は呆れたように言う。
「たしかにそうですね……」
「そうじゃな……アンタたち3人でレベル90のダンジョンをクリアできるようになったら、この話の続きをしてやろうかのぅ……」
「レ、レベル90!? だって、世界中の冒険者が集まってやっとクリアできたって!?」
アキラたちはレベル60をクリア出来ずに苦しんでいる。
レベル90なんて今は考えられない……
「ホッホッホ、アンタたちがレベル90をクリアするのが先か、アタシがあの世に行くのが先か……こりゃ見物じゃのう!」
「そ、そんなぁ……」
楽しそうに笑う老婆だった。
「でもアンタたちなら何とかなるんじゃないか、と言う不思議な気がするんじゃよ。
この年まで生きて、ダンジョンがこの世界に現れた日から今日までずっと、ダンジョンに携わってきたんじゃ。
予知能力と言うのかのぅ、『千里眼』なんていうやつもおるが、なんとなく未来が分かるんじゃよ」
「せ、千里眼ですか!?」
老婆が冗談を言っているようには見えないアキラ。
「ホッホッホ、年の功じゃな。
その千里眼のせいか分からんが、さっき言った異世界とこの世界のトンネル……あれは間違いないと思っとるよ」
老婆は神妙な面持ちになる。
「もっともっと強くなるんじゃ。
この世界にモンスターが現れたら、アンタたちが倒さなければイカン!」
「……そうですよね。もっと強くなります。
そして、レベル90も必ずクリアします! その時はさっきの話の続き……聞かせてください!」
アキラは老婆に宣言する。
「ホッホッホ、その意気じゃ!
アタシにはボンヤリ見えるよ。近い将来、だだっ広い草原に立ってるアンタたち3人の姿がのぅ」
「だだっ広い草原……!」
3人に思い当たるその場所はレベル100のダンジョンひとつだった。
「ホッホッホ、20年前、誰かがレベル100のダンジョンで見たと言ってた景色もこんなのじゃったな」
「……」
間違いなく、過去にレベル100のダンジョンに行った冒険者はいたようだ。
「それじゃあ、アイテムの錬成の方は任せておけ。3日後、店に取りに来ておくれ。
ああ……車での話は誰にも秘密じゃよ? もちろん金剛寺にもな」
老婆はそう言い残し、家に帰っていった。
「アンタたち……普通の冒険者じゃないね?」
老婆は言った。
「そ、そんな……俺たちは……その……」
口ごもるアキラ。
「ホッホッホ。まあいいんじゃ、言いたくない事は言わなくてな……
すごいレアアイテムを持っているパーティーじゃからのぅ。不思議に思っただけじゃ」
「うぅ……」
「それで……アンタたちが気にしていたレベル100のダンジョンじゃがな……誰も行った事は無いことになってるが、昔1人だけ行ったことがあると言った奴がおったのぅ」
「え!? レベル100のダンジョンに!?」
なぜ、入り口が見つかってないダンジョンに行けるんだ? と驚くアキラ。
「どうやって行ったのか分からんが、アタシにはソイツが嘘をついているようには見えんかったのぅ……
まあ、かれこれ20年くらい前の話じゃ。
今でもレベル100のダンジョンの入り口が見つかっていないのは本当じゃ」
「そうなんですか……あの、ちなみにその人って……?」
アキラたち以外にもレベル100のダンジョンに行った冒険者がいたようだ。
「ホッホッホ、そりゃ簡単には言えんのぅ!」
「くっ! そりゃそうですよね……ま、まさかお婆さんですか!?」
「アホか! アタシの現役時代はレベル30のダンジョンが精一杯じゃったよ。それにレベル100のダンジョンに行ける冒険者のセンスがあったら錬成師にならんじゃろ!」
老婆は呆れたように言う。
「たしかにそうですね……」
「そうじゃな……アンタたち3人でレベル90のダンジョンをクリアできるようになったら、この話の続きをしてやろうかのぅ……」
「レ、レベル90!? だって、世界中の冒険者が集まってやっとクリアできたって!?」
アキラたちはレベル60をクリア出来ずに苦しんでいる。
レベル90なんて今は考えられない……
「ホッホッホ、アンタたちがレベル90をクリアするのが先か、アタシがあの世に行くのが先か……こりゃ見物じゃのう!」
「そ、そんなぁ……」
楽しそうに笑う老婆だった。
「でもアンタたちなら何とかなるんじゃないか、と言う不思議な気がするんじゃよ。
この年まで生きて、ダンジョンがこの世界に現れた日から今日までずっと、ダンジョンに携わってきたんじゃ。
予知能力と言うのかのぅ、『千里眼』なんていうやつもおるが、なんとなく未来が分かるんじゃよ」
「せ、千里眼ですか!?」
老婆が冗談を言っているようには見えないアキラ。
「ホッホッホ、年の功じゃな。
その千里眼のせいか分からんが、さっき言った異世界とこの世界のトンネル……あれは間違いないと思っとるよ」
老婆は神妙な面持ちになる。
「もっともっと強くなるんじゃ。
この世界にモンスターが現れたら、アンタたちが倒さなければイカン!」
「……そうですよね。もっと強くなります。
そして、レベル90も必ずクリアします! その時はさっきの話の続き……聞かせてください!」
アキラは老婆に宣言する。
「ホッホッホ、その意気じゃ!
アタシにはボンヤリ見えるよ。近い将来、だだっ広い草原に立ってるアンタたち3人の姿がのぅ」
「だだっ広い草原……!」
3人に思い当たるその場所はレベル100のダンジョンひとつだった。
「ホッホッホ、20年前、誰かがレベル100のダンジョンで見たと言ってた景色もこんなのじゃったな」
「……」
間違いなく、過去にレベル100のダンジョンに行った冒険者はいたようだ。
「それじゃあ、アイテムの錬成の方は任せておけ。3日後、店に取りに来ておくれ。
ああ……車での話は誰にも秘密じゃよ? もちろん金剛寺にもな」
老婆はそう言い残し、家に帰っていった。
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