ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ

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「もっと鋭く!」
「はい! 先生!」

「もっと速く!」
「……はい! 先生!」

「もっとコンパクトに!」
「…………はい……」

「凛ちゃん! 相手をしっかり見て!」
「……………………」

 まどか先生の鬼教習を受ける凜。
「はぁはぁ……き、きつい……」

「ハッ! だ、大丈夫ですか!?」
「きゅ、休憩を……」
「ご、ごめんなさい……つい……」

 初心者の凛への教育に熱の入るまどか。
 普段、アキラや花子という、トップクラスの冒険者と一緒にいるせいか、ついつい厳しくなってしまっていた。

「凛ちゃん……ごめんなさい。私、人に教えたことなんて今までなかったので……」
「いえ……キツいですけど……ダンジョン、すごく楽しいです!」

「……そうですか。よかったですわ! さあ、残すはボスモンスターだけです」
「ボ、ボスモンスター……」
 凛の表情がこわばる。

「大丈夫です。今日練習したことを思い出せば、今の凛ちゃんならボスモンスターを倒せますわ!」
 弟子の背中を押すまどか。

「はい!」
「危なくなったら、私も助けに行きますわ! 頑張ってください」

 ボスステージに上がる凛は緊張で震えている。
 そんな凛の前に、ボスモンスターが現れた。
 巨大なコウモリの見た目をしたモンスターだ。

「うぅ……これがボスモンスター……」

 襲いかかるコウモリ。
「くっ……力が強い……」
 今までのモンスターとは違うパワーに戸惑う。

 コウモリの突進を剣で受け止める凜。
 相手はレベル2のボス。危険なモンスターではないが、女子中学生の凜にとっては強敵だ。
 まどかは戦う凜を見守る。

(あっ……そこっ! うー……今よ、凜ちゃん! ……自分で戦う方が全然楽だわ……)
 ついつい口出ししそうになるまどかだが、それをされると嫌な気持ちになるのは、まどかには分かっていた。
 自分も冒険者になりたての頃は、年上の冒険者たちの口出しを疎ましく思っていたのを思い出す。

 少しずつ、ボスモンスターを押し始める凜。
 突進をかわし、剣で攻撃する。憧れていた冒険者まどかに戦い方をする凜。

「凜ちゃん! いけますよ!」
「おりゃああぁぁあ!」
『ザンッ!』
 凜の剣がボスモンスターを貫いた。
 ボスモンスターは砂になり、消滅した。

「や、やった……やった! まどかさん!」
 ボス討伐、初のダンジョンクリアに大喜びの凜。

「凜ちゃん……おめでとうございます!」
 大喜びする凜を昔の自分に重ねるまどかだった。

「さあ、凜ちゃん! ここからが冒険者の楽しみですよ」
 まどかはニヤリと笑う。

「……え?」
 意味が分かっていない凜の前に、光が差す。

「あっ! ……ダンジョンガチャ!!」
 噂に聞いていたダンジョンガチャ。もちろん凜は実物を見るのは初めてのことだ。

「冒険者はこのダンジョンガチャを楽しみに冒険していると言っても過言ではありません! 良いアイテムを引けるといいですね」
 さすがに今回はパスのことなど考えていないまどか。

「は、はい……がんばります!」
 凜はガチャを回す。

『ガチャ!』
『泡の棒 レア度★☆☆☆☆』

「こ、これは……!?」
「おおっ! 泡を出してモンスターをかく乱するアイテムをですわ! シャボン玉の魔法道具のようなものですね。
 棒を振ってみてください」

「こ、こうですか?」
 凜は『泡の棒』を左右に振る。すると無数のシャボン玉が現れた。

「わー奇麗! シャボン玉!」
「レベル2のダンジョンではなかなか引けない珍しいアイテムですわ! 良かったですね」

「そうなんですか!? よかった……まどかさんとの冒険の思い出にしますね!」

 2人は光包まれ、ダンジョンの入り口へとワープした。

「ふう。お疲れさまでしたわ。初クリアおめでとうございます!」
「今日は本当にありがとうございました! 私、ダンジョンが大好きになりました」
 満面の笑みの凜を見て、元気をもらうまどかだった。

「この『泡の棒』は宝物にします!」
 大事そうにガチャでゲットしたアイテムを抱きかかえる凜。

「楽しんでもらえてよかったですわ。あ……でもその棒……シャボン玉が出せるのはダンジョン内だけですよ……?」

「え……? そうなんですか……?」
 一気に残念そうな表情に変わる凜。

「はい……ダンジョンアイテムですからね……ま、また冒険に行きましょう! 私も楽しかったですわ」

 こうしてまどかは久しぶりの休日を満喫した。
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