異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件

シュミ

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決戦③

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グリードの擬態スキルの特徴を理解したアマネはどうするべきか悩んでいた。

 魔法による攻撃はほとんど効かず、皮膚が硬くて剣もほとんど通らない。
 倒すには内側を攻撃するか、皮膚の硬さを超えるほどの攻撃をぶつけるしかない。
 だがおそらくグリードに前者の攻撃は通用しないだろう。
 狙っていると分かれば、口を開くことは無くなる。野生の竜よりも知能が高いからこそできることだ。

「さっきの勢いはどうした?アマネ・シュン」

 余裕の表情を浮かべ、そう言うグリード。

 グリードは地面を駆け回るアマネを足で踏みつけようとしていた。

 それを避けていき、隙が出来れば足に剣を振るうアマネ。

 だが攻撃が通ることは無い。

「ちょこまかと面倒だ」

 そう言ってグリードはアマネに向けて<│束縛の呪い《バインド》>を放った。

 アマネも<│束縛の呪い《バインド》>を放ち、相殺する。

「掛かったな」

 するとアマネを大きな影が飲み込んだ。

(っ!?)

 不意に上を向くアマネ。

 そこにはアマネの方を向きながら真っ赤に光る口を大きく開けているグリードの姿があった。

(避けられないか)

 そう判断したアマネは反撃に出ることにした。

「砲台」

 腕に漆黒の炎が巻き付く。

「放て」

 黒い弾をグリードに向けて放った。

 それに気がついたのかグリードは口を閉じた。

 硬い皮膚に弾は当たり、小さな爆発を起こした。

 やはりグリードに傷はついていなかった。

「くっ……………」

 その後───グリードは口を開き炎の玉を放った。

 どデカい炎の塊がアマネに向かって襲い掛かる。

「<│反射の結界《リフレクト》>」

 アマネの前にスーツを着た男が現れそう言った。

 すると迫ってきていた炎が透明な壁に跳ね返り、グリードの方に勢いよく飛んで行った。

「なにっ!?」

 突然の出来事にそう声を上げるグリード。

「坂上さん」

「怪我はないっすか天音くん」

「はい。お陰様で助かりました」

「俺っていつもギリギリっすよね」

「間に合ってるからいいんじゃないですか」

 サカガミが来たことによりアマネの中から緊張が少し解けていた。

「それにしてもなんすかこいつ?普通の竜じゃないっすよね?」

「またか…………また私たちの戦いを邪魔するのか!」

 サカガミを睨みつけ、怒りを露わにするグリード。

「竜が喋った!?」

「あれは竜じゃないです。グリードっていう魔族が化けてるんです」

「魔族?どうしてこっちの世界にいるんすか?」

「……………分かりません」

 アマネはここでシイラギの話題を出すことはなかった。

 なんとなくだがグリードがこちらの世界に来れた理由をアマネは気づいていたからだ。

 するとグリードがサカガミを踏み潰そうと足を上げた。

 そうして勢いよく足を落とすグリード。

「<反射の結界《リフレクト》>」

 結界貼り、落ちてくる足を跳ね返した。

 その反動でバランスを崩したグリードは建物を崩壊させながら地面に倒れ込んだ。

 アマネはその隙を狙い、一気に距離を詰めはじめる。

 それに気がついたグリードが<│束縛の呪い《バインド》>を放つ。
 同じくアマネもそれを打ち返し、相殺しながらグリードの顔へと近づいて行った。

 グリードは大きな体を持ち上げ、アマネを振り払おうと顔を揺らす。

 アマネは必死に捕まり、何とか耐えていた。

「そこを離れろ。さもなくば……………グアッ!!」

「さもなくば何だ?」

 アマネはグリードの目に刀を突き立てた。

「砲台。放て」

 そして追い討ちで弾を放った。

 グリードの片目で小さな爆発が起きる。

「ぐぁぁぁぁぁ!!」

 耳をつんざくような叫び声を上げるグリード。

 アマネは反動で地面に落ちた。

「おのれ!おのれぇぇぇ!!」

「どうした?さっきまでの余裕はどうしたんだ?」

「なんとでも言えば良い」

 するとグリードはアマネから視線を逸らし、別の方向を見て笑みを浮かべた。

「見つけたぞリーシャ・ミリセント」

 <魔眼>を浮かべリーシャを見つめるグリード。

「グリード。お前!」

 グリードは口を大きく開け、炎を貯め始めた。

 ───だがその炎が放たれることはなかった。

「ぐぁぁぁぁぁ!!」

 またしてもグリードはそんな悲鳴を上げた。

 それと同時にもう片方の目から血が吹き出た。

「もうお前達の言いなりにはならないわ!」

「私を裏切ってタダで済むと思っているのかパペット!!」

(パペットって事は柊───!)

 アマネは驚愕の表情を浮かべた。
 どうして急にグリードを裏切ったのか分からずその場で固まった。

「アマネくん!何してるんすか!行くっすよ!」

 サカガミに肩を叩かれ、我に返るアマネ。

「は、はい!」

 二人はリーシャのいる方へと急いで向かった。
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