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第二章 父の後悔(ハント伯爵視点に変わります)
王と二人だけの会談
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三日後、私は王に、二人だけでの内密の会談を申し入れた。
この三日間で、私は大体の動きを決め、そのための手配にかかり切っていた。それらがひと段落したので、後回しにしていた、王家への殴り込みにかかったのだ。
その間にロイは何度も王から呼び出されたそうだ。ハント伯爵から何か聞いていないかと問われたという。
そうなるとわかっていたので、彼には具体的な事は何も話していない。だから、嘘を言う必要もない。ロイは不服そうだが、王子の側近という立ち位置は貴重で、それを無傷で温存したい。
トーマスは非常に積極的に協力を申し出てくれる。ただし、かつての友人ジョナサンの様に、無茶なことをしそうな危うさがある。彼の人となりや、力量を知らないからというのもあるが、それ以上に、二度と同じような後悔をしたくないのだ。
私が王宮に着くと、侍従が迎えに来て、王の私室に案内された。
私は黙っていた。
そして相手がどう出るか待った。
王は、久しぶりだなと言ったあと、通商条約の提携が、と関係ないことを話し始めた。カッとなったが、そう言えば私は条約の交渉で隣国に行っていたのだった。
だが、それがどうした。娘の一大事と、そんなものが比べられるか?
「王、どうでもいい話で、先延ばしするのは辞めてください。今回のリディアに対する非道な仕打ちについて、ご説明いただきたい」
王はピタッと口を閉じた。
「どうでもいい、はないだろう。繊維の流通に関して有利な条件を握るのは、わが国にとって大きな意味がある」
「私にとっては、リディアの安全と比べたら、実にどうでも良いことです。それで、誰がどうしてリディアを修道院に送ったのでしょうか」
王が息を呑んだ。真っ向から、リディア以外はどうでも良いと言い切るとは、思っていなかったようだ。普段から、これが私の基本姿勢なのだが、わかっていなかったとは驚きだ。
この国だけでなく、他国でも事業を立ち上げ、土地や建物、資産は各国でかなりの規模になっている。それらは婚姻などで他国に移住した親族や、私が見い出した有能な者たちによって運営され、発展していっている。
商会主や各事業主は別人が勤めているが、それらの本当の主は私だ。あまりに規模が大きくなりすぎたので、これを王家に開示したら、危険視されるのは確実だ。
だから全てを王家に開示してはいない。
知らせる必要も、知らせる気もないが、ハント家の財力の前には、この国など一地方都市のようなものなのだ。
私がじっと待っていると、王が観念したように話し始めた。
「リディアとの婚約解消の件をユーリに話した。それでユーリが、卒業パーティーでリディア嬢に、婚約解消のことを伝えようとしたらしい。その会話の中で、リディア嬢が行き過ぎた事を言ったらしい」
概ね合っているが、だいぶソフトに変換されている。
夜会で孤立させ、婚約破棄を突き付けて辱めようとした。それを正論で言い負かされ逆ギレした、が正しいはずだ。
「それで、修道院では不敬罪だと聞きましたが、リディアは何をしたんです」
王がぐっと詰まった。
それはそうだ。間違った行いを、婚約者としてたしなめただけなのだ。それで不敬罪になるなら、誰も何も言えなくなる。
「いや、不敬罪とした事自体が手違いだった。ちょっとした痴話喧嘩だったと聞いている」
「私がリディアから聞いたところでは、大嫌いで顔も見たくないから、修道院に追いやる、と言われたそうですが」
王が真っ青になった。
「まさか、そんなことはないだろう。それにリディア嬢は衆人の前で、ユーリをののしったと聞いているぞ」
「その前に、出席者を集めた後に、一人で会場に入らせ、断罪すると言ったのが始まりです。もちろん、ご存じですよね」
王の顔色を見るに、全く聞いていないようだ。ユーリ殿下は、自分に都合よく話しているに違いない。
側近たちも口を噤んでいるのだろう。ロイもトーマスもいい判断だ。
「それにののしった、ではなくご忠告申しあげたのです。婚約者以外をエスコートするのはいかがなものかと。壇上の殿下の隣に、お揃いのドレスを着た女性が、立っていたそうですよ」
そんなことは、と言ったきり言葉が途切れた。
「流石にリディアも婚約解消に同意しました。まずは、ユーリ殿下がしようとしていた婚約破棄、ではなく、解消の手続きをお願いします」
破棄、と呟いてから王は言った。
「側近たちを呼んで、夜会の様子を聞いたが、そんな話は出てこなかった」
「何とお聞きになったのでしょう。聞かれなければ、わざわざユーリ殿下に不利な事は言わないでしょうね」
しばらく考えて、あきらめたようだ。
侍従を呼び出し、書類を手配させた。
私は一言も話さずに、書類が届くのを待った。
婚約解消の手続きは、あっさり終わった。一部を受け取り懐に収めると、やっと気が楽になった。
「解消に関して慰謝料はいりません。その代わり、私の願いを聞いていただきたいのです。ご存じの通り、シリカ修道院に入ったリディアは、1年間出てこられません。私はせめて娘の近くにいたいと思います。これから1年は、修道院に近い場所に引越すつもりです。それをお認めください」
「隣国のスピカとの境にあるはずだが、あんな辺鄙な所に引っ越すと言うのか? 伯爵家の事業に支障が出るのではないか?」
「出ますね。ですがリディアには代えられません。事業は、ある程度整理しなくてはなりません。ですから、国家事業からも手を引きます。また資金援助や、献金などもできなくなりましょう。だが全て、リディアには代えられないのです」
そう、今まで国のためにしてきたことから、手を引く。そんな暇はないのだ。
「いきなり、それは困る」
「そう言われても、どうにもなりません。リディアを守るために必要なのです」
王が急に激昂した。
「君が主導して進めていた、織物産業の工業化は、皆が期待して見守っている。それを投げ出すと言うのか!」
「仕方ありません。何度も言いましたが、リディアの無事が最優先です」
「修道院に入っているだけだ。何の不安があると言うのだ」
「そのお言葉、そのままお返しします。そうおっしゃるなら、王女殿下をあそこに入れられますか? 王女殿下が、入った時のままで、出て来られると思っていらっしゃいますか?」
答えを聞くまでもない。誰があんな修道院に、大事な娘を入れるものか。
十七年前は、密かに淑女の矯正施設と言われていたが、今はもっと密かに墓場と噂されているそうだ。
修道院の戒律が、あの頃よりずっと厳しくなっているらしく、生きて出て来られない者もいると聞く。その墓場を、ユーリ殿下は、わざわざ送り先に選んだのだ。
考えるとこめかみに青筋が走る。
「たかが修道院だぞ。しかも貴族令嬢だけを対象とした、由緒と歴史のある施設だ。めったなことは言うな!」
「その由緒と歴史のある修道院は、私のエメラルドのタイピンと引き換えに、ほんの一瞬だけ娘に会わせてくれました。修道女達は、体調を崩していた娘を、看病することもなく身ぐるみ剥いで放置し、宝飾品を押収できなかった事に、文句を付けたそうです」
そんなまさか、と言う王の目が泳いでいる。私がくだらない嘘を言うような人間でないことを、王は重々知っている。私は告げた。
「もしリディアの体や心が、損なわれるような事があれば、私は許せないかもしれません。それに関わった全てを」
言うだけ言ってじっと王の目を見つめた。たぶん今の私の目は、暗い緑の沼のようなのだろう。王の目におびえが浮かんでいる。
「1年間、国の事業から離れることを許そう」
「寛大なお言葉、ありがとうございます。それでは、これでお暇させていただきます」
この三日間で、私は大体の動きを決め、そのための手配にかかり切っていた。それらがひと段落したので、後回しにしていた、王家への殴り込みにかかったのだ。
その間にロイは何度も王から呼び出されたそうだ。ハント伯爵から何か聞いていないかと問われたという。
そうなるとわかっていたので、彼には具体的な事は何も話していない。だから、嘘を言う必要もない。ロイは不服そうだが、王子の側近という立ち位置は貴重で、それを無傷で温存したい。
トーマスは非常に積極的に協力を申し出てくれる。ただし、かつての友人ジョナサンの様に、無茶なことをしそうな危うさがある。彼の人となりや、力量を知らないからというのもあるが、それ以上に、二度と同じような後悔をしたくないのだ。
私が王宮に着くと、侍従が迎えに来て、王の私室に案内された。
私は黙っていた。
そして相手がどう出るか待った。
王は、久しぶりだなと言ったあと、通商条約の提携が、と関係ないことを話し始めた。カッとなったが、そう言えば私は条約の交渉で隣国に行っていたのだった。
だが、それがどうした。娘の一大事と、そんなものが比べられるか?
「王、どうでもいい話で、先延ばしするのは辞めてください。今回のリディアに対する非道な仕打ちについて、ご説明いただきたい」
王はピタッと口を閉じた。
「どうでもいい、はないだろう。繊維の流通に関して有利な条件を握るのは、わが国にとって大きな意味がある」
「私にとっては、リディアの安全と比べたら、実にどうでも良いことです。それで、誰がどうしてリディアを修道院に送ったのでしょうか」
王が息を呑んだ。真っ向から、リディア以外はどうでも良いと言い切るとは、思っていなかったようだ。普段から、これが私の基本姿勢なのだが、わかっていなかったとは驚きだ。
この国だけでなく、他国でも事業を立ち上げ、土地や建物、資産は各国でかなりの規模になっている。それらは婚姻などで他国に移住した親族や、私が見い出した有能な者たちによって運営され、発展していっている。
商会主や各事業主は別人が勤めているが、それらの本当の主は私だ。あまりに規模が大きくなりすぎたので、これを王家に開示したら、危険視されるのは確実だ。
だから全てを王家に開示してはいない。
知らせる必要も、知らせる気もないが、ハント家の財力の前には、この国など一地方都市のようなものなのだ。
私がじっと待っていると、王が観念したように話し始めた。
「リディアとの婚約解消の件をユーリに話した。それでユーリが、卒業パーティーでリディア嬢に、婚約解消のことを伝えようとしたらしい。その会話の中で、リディア嬢が行き過ぎた事を言ったらしい」
概ね合っているが、だいぶソフトに変換されている。
夜会で孤立させ、婚約破棄を突き付けて辱めようとした。それを正論で言い負かされ逆ギレした、が正しいはずだ。
「それで、修道院では不敬罪だと聞きましたが、リディアは何をしたんです」
王がぐっと詰まった。
それはそうだ。間違った行いを、婚約者としてたしなめただけなのだ。それで不敬罪になるなら、誰も何も言えなくなる。
「いや、不敬罪とした事自体が手違いだった。ちょっとした痴話喧嘩だったと聞いている」
「私がリディアから聞いたところでは、大嫌いで顔も見たくないから、修道院に追いやる、と言われたそうですが」
王が真っ青になった。
「まさか、そんなことはないだろう。それにリディア嬢は衆人の前で、ユーリをののしったと聞いているぞ」
「その前に、出席者を集めた後に、一人で会場に入らせ、断罪すると言ったのが始まりです。もちろん、ご存じですよね」
王の顔色を見るに、全く聞いていないようだ。ユーリ殿下は、自分に都合よく話しているに違いない。
側近たちも口を噤んでいるのだろう。ロイもトーマスもいい判断だ。
「それにののしった、ではなくご忠告申しあげたのです。婚約者以外をエスコートするのはいかがなものかと。壇上の殿下の隣に、お揃いのドレスを着た女性が、立っていたそうですよ」
そんなことは、と言ったきり言葉が途切れた。
「流石にリディアも婚約解消に同意しました。まずは、ユーリ殿下がしようとしていた婚約破棄、ではなく、解消の手続きをお願いします」
破棄、と呟いてから王は言った。
「側近たちを呼んで、夜会の様子を聞いたが、そんな話は出てこなかった」
「何とお聞きになったのでしょう。聞かれなければ、わざわざユーリ殿下に不利な事は言わないでしょうね」
しばらく考えて、あきらめたようだ。
侍従を呼び出し、書類を手配させた。
私は一言も話さずに、書類が届くのを待った。
婚約解消の手続きは、あっさり終わった。一部を受け取り懐に収めると、やっと気が楽になった。
「解消に関して慰謝料はいりません。その代わり、私の願いを聞いていただきたいのです。ご存じの通り、シリカ修道院に入ったリディアは、1年間出てこられません。私はせめて娘の近くにいたいと思います。これから1年は、修道院に近い場所に引越すつもりです。それをお認めください」
「隣国のスピカとの境にあるはずだが、あんな辺鄙な所に引っ越すと言うのか? 伯爵家の事業に支障が出るのではないか?」
「出ますね。ですがリディアには代えられません。事業は、ある程度整理しなくてはなりません。ですから、国家事業からも手を引きます。また資金援助や、献金などもできなくなりましょう。だが全て、リディアには代えられないのです」
そう、今まで国のためにしてきたことから、手を引く。そんな暇はないのだ。
「いきなり、それは困る」
「そう言われても、どうにもなりません。リディアを守るために必要なのです」
王が急に激昂した。
「君が主導して進めていた、織物産業の工業化は、皆が期待して見守っている。それを投げ出すと言うのか!」
「仕方ありません。何度も言いましたが、リディアの無事が最優先です」
「修道院に入っているだけだ。何の不安があると言うのだ」
「そのお言葉、そのままお返しします。そうおっしゃるなら、王女殿下をあそこに入れられますか? 王女殿下が、入った時のままで、出て来られると思っていらっしゃいますか?」
答えを聞くまでもない。誰があんな修道院に、大事な娘を入れるものか。
十七年前は、密かに淑女の矯正施設と言われていたが、今はもっと密かに墓場と噂されているそうだ。
修道院の戒律が、あの頃よりずっと厳しくなっているらしく、生きて出て来られない者もいると聞く。その墓場を、ユーリ殿下は、わざわざ送り先に選んだのだ。
考えるとこめかみに青筋が走る。
「たかが修道院だぞ。しかも貴族令嬢だけを対象とした、由緒と歴史のある施設だ。めったなことは言うな!」
「その由緒と歴史のある修道院は、私のエメラルドのタイピンと引き換えに、ほんの一瞬だけ娘に会わせてくれました。修道女達は、体調を崩していた娘を、看病することもなく身ぐるみ剥いで放置し、宝飾品を押収できなかった事に、文句を付けたそうです」
そんなまさか、と言う王の目が泳いでいる。私がくだらない嘘を言うような人間でないことを、王は重々知っている。私は告げた。
「もしリディアの体や心が、損なわれるような事があれば、私は許せないかもしれません。それに関わった全てを」
言うだけ言ってじっと王の目を見つめた。たぶん今の私の目は、暗い緑の沼のようなのだろう。王の目におびえが浮かんでいる。
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