7 / 8
7
しおりを挟む
「お、あそこで殿下とメルティス侯爵令嬢が躍っているぞ。メルティス侯爵令嬢ってあんまりこういう場に出ないって聞いたけど、やっぱり神がかった美人は何をしてもきれいだな、っと」
「きゃっ!! ちょっとラング、ふざけていないで降ろしてよ!!」
ダンスの途中に急に抱き上げられたユーラが抗議すると、ラングはユーラを力強い腕で抱えて華麗に一回転して降ろすと得意げに笑った。
「ごめんごめん。俺のユーラ姫の可憐さを周りに見せつけてやろうと思って、頑張っちゃった」
「頑張らなくていいから、普通にして普通に!!」
ダンスが苦手なユーラが抗議するもラングは「じゃあ、また今度のお楽しみで」とけろっと流し、意味深なまなざしをしてユーラの耳元に口を寄せてきた。
「……な、ユーラ。あれってホントだと思う?」
「何が?」
「この学園祭でさ、お互いの色を身につけてダンスを踊ると、気に入ったカップルに女神様が祝福をくれるって噂」
学園で有名な噂にユーラはこくりとうなずいた。学園祭に参加する恋人たちや婚約者同士は皆お揃いの色を身につけて、美しい女神様に見初められるように美しく着飾るのだ。
たくさんの生徒たちの中でも一番目立っている第2王子グラディスとミレイはお互いによく似た水色とはちみつ色を身につけて息のあったダンスを披露している。それを見たユーラは有名な噂を思い出した。
――第2王子とミレイは昔から想い合っているが、王族とギフト持ちは結ばれないのだと。
今夜、もし愛しい人のために美しく着飾った2人が一緒に過ごす姿を目にしたら、慈悲深い女神様がお似合いの2人の幸せを願って祝福を授けてくれるかもしれない、とユーラはぼんやりと思った。
「もちろん、知っているわ。女神様はお優しいから、ここにいる全員を祝福してくれるかもね」
「お、良いこと言うな。ユーラが信じるなら俺も信じるか。じゃあ、ユーラ。俺と婚約してください」
「はいっ!? それ、今ここで言うことじゃないわよね!?」
明日家に遊びに行く、的な軽さで婚約話を出してきたラングにユーラが突っ込むと、いつもユーラをからかって遊ぶラングは珍しく困ったような顔をした。
「俺は本気で言ったんだけどなあ。それにもし本当に女神様の祝福がもらえたらさ。俺にも金ぴか君みたいにすっごい才能が芽生えて、ユーラが好きな物を貢いで喜んでもらえるかなって」
「そんな気を遣わないでよ。それに、貢ぐとか言われると私ものすごい悪女になった気分になる」
いつものひょうひょうとした態度はどこにいったやら。しょんぼりした(フリかもしれない)ように見えるラングに、ユーラはそっと背伸びして耳元にささやいた。
「私、いろんな物をもらうより心のこもった物をもらう方がうれしい。皆にもらったこの私の憧れの海色のドレスを着てこうしてあなたと踊ったこと、一生の宝物にする。……だから、その。プロポーズはすごくうれしい、です」
それを聞いたラングは「やった、ユーラ大好きだ!」と叫んで、小柄なユーラを横抱きにしてその場でくるくると回った。
周りから生温かい目で見られたユーラはしばらく怒ってラングと口を利かなかった。
その後、やっと怒りを収めたユーラの元にラングからサファイアの指輪が届いた。愛する婚約者から初めてプレゼントされた指輪をユーラは大事に身に着けた。
「きゃっ!! ちょっとラング、ふざけていないで降ろしてよ!!」
ダンスの途中に急に抱き上げられたユーラが抗議すると、ラングはユーラを力強い腕で抱えて華麗に一回転して降ろすと得意げに笑った。
「ごめんごめん。俺のユーラ姫の可憐さを周りに見せつけてやろうと思って、頑張っちゃった」
「頑張らなくていいから、普通にして普通に!!」
ダンスが苦手なユーラが抗議するもラングは「じゃあ、また今度のお楽しみで」とけろっと流し、意味深なまなざしをしてユーラの耳元に口を寄せてきた。
「……な、ユーラ。あれってホントだと思う?」
「何が?」
「この学園祭でさ、お互いの色を身につけてダンスを踊ると、気に入ったカップルに女神様が祝福をくれるって噂」
学園で有名な噂にユーラはこくりとうなずいた。学園祭に参加する恋人たちや婚約者同士は皆お揃いの色を身につけて、美しい女神様に見初められるように美しく着飾るのだ。
たくさんの生徒たちの中でも一番目立っている第2王子グラディスとミレイはお互いによく似た水色とはちみつ色を身につけて息のあったダンスを披露している。それを見たユーラは有名な噂を思い出した。
――第2王子とミレイは昔から想い合っているが、王族とギフト持ちは結ばれないのだと。
今夜、もし愛しい人のために美しく着飾った2人が一緒に過ごす姿を目にしたら、慈悲深い女神様がお似合いの2人の幸せを願って祝福を授けてくれるかもしれない、とユーラはぼんやりと思った。
「もちろん、知っているわ。女神様はお優しいから、ここにいる全員を祝福してくれるかもね」
「お、良いこと言うな。ユーラが信じるなら俺も信じるか。じゃあ、ユーラ。俺と婚約してください」
「はいっ!? それ、今ここで言うことじゃないわよね!?」
明日家に遊びに行く、的な軽さで婚約話を出してきたラングにユーラが突っ込むと、いつもユーラをからかって遊ぶラングは珍しく困ったような顔をした。
「俺は本気で言ったんだけどなあ。それにもし本当に女神様の祝福がもらえたらさ。俺にも金ぴか君みたいにすっごい才能が芽生えて、ユーラが好きな物を貢いで喜んでもらえるかなって」
「そんな気を遣わないでよ。それに、貢ぐとか言われると私ものすごい悪女になった気分になる」
いつものひょうひょうとした態度はどこにいったやら。しょんぼりした(フリかもしれない)ように見えるラングに、ユーラはそっと背伸びして耳元にささやいた。
「私、いろんな物をもらうより心のこもった物をもらう方がうれしい。皆にもらったこの私の憧れの海色のドレスを着てこうしてあなたと踊ったこと、一生の宝物にする。……だから、その。プロポーズはすごくうれしい、です」
それを聞いたラングは「やった、ユーラ大好きだ!」と叫んで、小柄なユーラを横抱きにしてその場でくるくると回った。
周りから生温かい目で見られたユーラはしばらく怒ってラングと口を利かなかった。
その後、やっと怒りを収めたユーラの元にラングからサファイアの指輪が届いた。愛する婚約者から初めてプレゼントされた指輪をユーラは大事に身に着けた。
325
あなたにおすすめの小説
皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]
風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが
王命により皇太子の元に嫁ぎ
無能と言われた夫を支えていた
ある日突然
皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を
第2夫人迎えたのだった
マルティナは初恋の人である
第2皇子であった彼を新皇帝にするべく
動き出したのだった
マルティナは時間をかけながら
じっくりと王家を牛耳り
自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け
理想の人生を作り上げていく
愛する事はないと言ってくれ
ひよこ1号
恋愛
とある事情で、侯爵の妻になってしまった伯爵令嬢の私は、白い結婚を目指そうと心に決めた。でも、身分差があるから、相手から言い出してくれないと困るのよね。勝率は五分。だって、彼には「真実の愛」のお相手、子爵令嬢のオリビア様がいるのだから。だからとっとと言えよな!
※誤字脱字ミスが撲滅できません(ご報告感謝です)
※代表作「悪役令嬢?何それ美味しいの?」は秋頃刊行予定です。読んで頂けると嬉しいです。
元婚約者のあなたへ どうか幸せに
石里 唯
恋愛
公爵令嬢ローラは王太子ケネスの婚約者だったが、家が困窮したことから、婚約破棄をされることになる。破棄だけでなく、相愛と信じていたケネスの冷酷な態度に傷つき、最後の挨拶もできず別れる。失意を抱いたローラは、国を出て隣国の大学の奨学生となることを決意する。
隣国は3年前、疫病が広がり大打撃を受け、国全体が復興への熱意に満ち、ローラもその熱意に染まり勉学に勤しむ日々を送っていたところ、ある日、一人の「学生」がローラに声をかけてきて―――。
エデルガルトの幸せ
よーこ
恋愛
よくある婚約破棄もの。
学院の昼休みに幼い頃からの婚約者に呼び出され、婚約破棄を突きつけられたエデルガルト。
彼女が長年の婚約者から離れ、新しい恋をして幸せになるまでのお話。
全5話。
完結 振り向いてくれない彼を諦め距離を置いたら、それは困ると言う。
音爽(ネソウ)
恋愛
好きな人ができた、だけど相手は振り向いてくれそうもない。
どうやら彼は他人に無関心らしく、どんなに彼女が尽くしても良い反応は返らない。
仕方なく諦めて離れたら怒りだし泣いて縋ってきた。
「キミがいないと色々困る」自己中が過ぎる男に彼女は……
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
(完)婚約破棄ですね、従姉妹とどうかお幸せに
青空一夏
恋愛
私の婚約者は従姉妹の方が好きになってしまったようなの。
仕方がないから従姉妹に譲りますわ。
どうぞ、お幸せに!
ざまぁ。中世ヨーロッパ風の異世界。中性ヨーロッパの文明とは違う点が(例えば現代的な文明の機器など)でてくるかもしれません。ゆるふわ設定ご都合主義。
殿下!婚姻を無かった事にして下さい
ねむ太朗
恋愛
ミレリアが第一王子クロヴィスと結婚をして半年が経った。
最後に会ったのは二月前。今だに白い結婚のまま。
とうとうミレリアは婚姻の無効が成立するように奮闘することにした。
しかし、婚姻の無効が成立してから真実が明らかになり、ミレリアは後悔するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる