似合わない2人が見つけた幸せ

木蓮

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「お、あそこで殿下とメルティス侯爵令嬢が躍っているぞ。メルティス侯爵令嬢ってあんまりこういう場に出ないって聞いたけど、やっぱり神がかった美人は何をしてもきれいだな、っと」
「きゃっ!! ちょっとラング、ふざけていないで降ろしてよ!!」

 ダンスの途中に急に抱き上げられたユーラが抗議すると、ラングはユーラを力強い腕で抱えて華麗に一回転して降ろすと得意げに笑った。

「ごめんごめん。俺のユーラ姫の可憐さを周りに見せつけてやろうと思って、頑張っちゃった」
「頑張らなくていいから、普通にして普通に!!」

 ダンスが苦手なユーラが抗議するもラングは「じゃあ、また今度のお楽しみで」とけろっと流し、意味深なまなざしをしてユーラの耳元に口を寄せてきた。

「……な、ユーラ。あれってホントだと思う?」
「何が?」
「この学園祭でさ、お互いの色を身につけてダンスを踊ると、気に入ったカップルに女神様が祝福をくれるって噂」

 学園で有名な噂にユーラはこくりとうなずいた。学園祭に参加する恋人たちや婚約者同士は皆お揃いの色を身につけて、美しい女神様に見初められるように美しく着飾るのだ。
 たくさんの生徒たちの中でも一番目立っている第2王子グラディスとミレイはお互いによく似た水色とはちみつ色を身につけて息のあったダンスを披露している。それを見たユーラは有名な噂を思い出した。

 ――第2王子とミレイは昔から想い合っているが、王族とギフト持ちは結ばれないのだと。

 今夜、もし愛しい人のために美しく着飾った2人が一緒に過ごす姿を目にしたら、慈悲深い女神様がお似合いの2人の幸せを願って祝福を授けてくれるかもしれない、とユーラはぼんやりと思った。

「もちろん、知っているわ。女神様はお優しいから、ここにいる全員を祝福してくれるかもね」
「お、良いこと言うな。ユーラが信じるなら俺も信じるか。じゃあ、ユーラ。俺と婚約してください」
「はいっ!? それ、今ここで言うことじゃないわよね!?」

 明日家に遊びに行く、的な軽さで婚約話を出してきたラングにユーラが突っ込むと、いつもユーラをからかって遊ぶラングは珍しく困ったような顔をした。

「俺は本気で言ったんだけどなあ。それにもし本当に女神様の祝福がもらえたらさ。俺にも金ぴか君みたいにすっごい才能が芽生えて、ユーラが好きな物を貢いで喜んでもらえるかなって」
「そんな気を遣わないでよ。それに、貢ぐとか言われると私ものすごい悪女になった気分になる」

 いつものひょうひょうとした態度はどこにいったやら。しょんぼりした(フリかもしれない)ように見えるラングに、ユーラはそっと背伸びして耳元にささやいた。

「私、いろんな物をもらうより心のこもった物をもらう方がうれしい。皆にもらったこの私の憧れの海色のドレスを着てこうしてあなたと踊ったこと、一生の宝物にする。……だから、その。プロポーズはすごくうれしい、です」

 それを聞いたラングは「やった、ユーラ大好きだ!」と叫んで、小柄なユーラを横抱きにしてその場でくるくると回った。
  周りから生温かい目で見られたユーラはしばらく怒ってラングと口を利かなかった。
 その後、やっと怒りを収めたユーラの元にラングからサファイアの指輪が届いた。愛する婚約者から初めてプレゼントされた指輪をユーラは大事に身に着けた。
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