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378勝者
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国王が立ち上がると、闘技場が静かになる。
「拓よ、見事であった。勝者として何か希望する事は有るか?」
「では、私と戦った者については、私に一任させて頂けないでしょうか。」
「よかろう。」
「それと、今回私に決闘を挑んで来たのは、バラキエ公爵の派閥の貴族と聞いています。
今回、切り札とも言える魔道具が壊れてしまいました。
可能で有れば、バラキエ公爵には派閥をまとめてもらい、
休憩所作りを今まで対応してきた3倍の価格で発注してもらえる様に働きかけをして頂きたい。」
バラキエ公爵もこの決闘を見に来ていて、その場に呼び出される。
「バラキエ公爵。余としては拓殿の要求を受けたいと考えている。
あの魔道具はそれ以上の価値が有っただろう。」
「分かりました。私の方で派閥内をまとめさせて頂きます。」
バラキエ公爵は頭を下げ、国王の言葉を受け入れた。
「ありがとうございます。重ねて申し訳ありませんが、この場で免責札を返上させて頂けないでしょうか。
有難いものですが、私には荷が重く身分不相応な物だと感じています。」
「・・・それについては受け入れる事は出来ない。それに、この先の拓の行動に免責札は必要になるだろう。」
拓はブルネリ公爵に視線で国王を説得するように訴えたが、ブルネリ公爵は黙ったままゆっくりと首を横に振る。
国王は免責札が必要になると言うが、こんなの必要だと思った事も無い。むしろ問題を呼び込んでいる様にしか思えない。
アイテムボックスの肥やしにするしかないと諦めたが、この試合で十分な結果を得られたと安心していた拓に国王が話しかける。
「決闘を申し込んだ、貴族に対しは何か有るか?」
「えっ?」
今まで淀みなく話していた拓が、急に間の抜けた顔になる。
国王はその顔を見て一瞬眉が動くが、そのまま拓の言葉を待つ。
「これだけの金額を迷惑料として受け取り、今後は禁酒と言う事で全て終わりと言う事で如何でしょうか。
私としては完全に支払って頂きたいので、爵位は現状維持が望ましいと考えます。」
拓は妥当な金額が分からず、人差し指を伸ばして金額を国王に任せることにした。
ふと、この行為は不敬罪になるのかも知れないとも思ったが国王は笑って受け入れてくれた。
「では、その要望を受け入れよう。爵位は現状維持とし、拓殿に白金貨10枚を支払う様に。
一度に支払う事は出来ないだろう。後で拓が納得する計画を提示するように。」
白金貨10枚?拓は高過ぎると思ったが、貴族はそれを受け入れ今回の騒動は幕を閉じた。
国王が多くの貴族の前で拓の要求を通したので、この件について余計な事を言う者は居ない。
話が終わった後、酔っ払いが父親と共に拓に対し謝罪の言葉を述べ、今回の裁定に礼を言う。
白金貨10枚という金額が言い渡されたというのに大丈夫かと思ったが、拓はその謝罪を受け入れた。但し一言だけ言わせてもらう。
「貴方の息子は、下らない偏見を持ち過ぎています。
今回、私だけでなく他の貴族に対しても失礼な発言をしています。
その偏見が無くなったときには、その方に対しても謝罪してもらいたい。」
2人は深く頭を下げると「必ず」と答えていた。
全ては終わり拓はブルネリ公爵とクロイツ公爵から食事にと声を掛けられたが辞退し、ガラとレオと一緒にエチゴ屋に向かった。
エチゴとアルの他にクリームとゴルゴ、サブが待っていた。
ゴルゴとサブは訪ねてきた拓を見て安心するが、次の言葉が出て来なかった。
拓はアイテムボックスから用紙を取り出して全員に見せる。
「拓さん、これは何ですか?」
エチゴの質問に、拓が少しドヤ顔になる。
「ワンガさんの身柄については、俺に一任すると言う国王の書面です。
これで貴族であろうと、手出しは出来ない。」
ゴルゴとサブは礼を言うが、ゴルゴの顔は優れない。
「色々とやったから後始末が色々と有るけど、何とかなると思う。さて、昼食にでもしようか。」
拓はゴルゴが気になったが、食事をしながらガラとレオが決闘の時の話をする。
「しかし、呪いのロッドは残念だったな。」
ガラが最後に残念そうに言うので、拓はアイテムボックスからロッドを取り出した。
「あれは観客達にロッドが壊れる幻影を見せたんだよ。」
「・・・」
「手の内を隠したいし、劇的な終わり方でカッコ良かっただろ。俺、演出家としての才能も有るかも知れないな。」
「・・・」
「免責札の返却は断られたけど、ここまで上手く行くとは思わなかったよ。俺って凄くない。」
「・・・」
得意げに話す拓に、他のメンバーは何とも言い難い表情になっていた。
拓も周りと温度差を感じたので、話を変える。
「エチゴさん、休憩所の改造依頼が来ます。後、確定ではないですが新規の依頼も。」
「改造と言うのは、この間、拓さんが行ったやつですか?」
「そうです。新規は、地図に書き込んだだけで、実際には対応しなかった分です。
良ければ、今までと同じ様にエチゴさんの商隊として動きたいのですが、お願いできないでしょうか。」
「そうですか。そう言う事なら喜んで対応させて頂きます。」
食事が終わると、拓はゴルゴとサブと一緒にワンガが居る場所へと向かうことにした。
ガラとレオも付いて行こうとしたが、
「今回は3人だけにしてもらえるかな。その方が話をまとめらると思う。」
拓に言われてガラとレオは「何か有れば直ぐに呼べよ」そう言って付いて行くのを止めた。
「拓よ、見事であった。勝者として何か希望する事は有るか?」
「では、私と戦った者については、私に一任させて頂けないでしょうか。」
「よかろう。」
「それと、今回私に決闘を挑んで来たのは、バラキエ公爵の派閥の貴族と聞いています。
今回、切り札とも言える魔道具が壊れてしまいました。
可能で有れば、バラキエ公爵には派閥をまとめてもらい、
休憩所作りを今まで対応してきた3倍の価格で発注してもらえる様に働きかけをして頂きたい。」
バラキエ公爵もこの決闘を見に来ていて、その場に呼び出される。
「バラキエ公爵。余としては拓殿の要求を受けたいと考えている。
あの魔道具はそれ以上の価値が有っただろう。」
「分かりました。私の方で派閥内をまとめさせて頂きます。」
バラキエ公爵は頭を下げ、国王の言葉を受け入れた。
「ありがとうございます。重ねて申し訳ありませんが、この場で免責札を返上させて頂けないでしょうか。
有難いものですが、私には荷が重く身分不相応な物だと感じています。」
「・・・それについては受け入れる事は出来ない。それに、この先の拓の行動に免責札は必要になるだろう。」
拓はブルネリ公爵に視線で国王を説得するように訴えたが、ブルネリ公爵は黙ったままゆっくりと首を横に振る。
国王は免責札が必要になると言うが、こんなの必要だと思った事も無い。むしろ問題を呼び込んでいる様にしか思えない。
アイテムボックスの肥やしにするしかないと諦めたが、この試合で十分な結果を得られたと安心していた拓に国王が話しかける。
「決闘を申し込んだ、貴族に対しは何か有るか?」
「えっ?」
今まで淀みなく話していた拓が、急に間の抜けた顔になる。
国王はその顔を見て一瞬眉が動くが、そのまま拓の言葉を待つ。
「これだけの金額を迷惑料として受け取り、今後は禁酒と言う事で全て終わりと言う事で如何でしょうか。
私としては完全に支払って頂きたいので、爵位は現状維持が望ましいと考えます。」
拓は妥当な金額が分からず、人差し指を伸ばして金額を国王に任せることにした。
ふと、この行為は不敬罪になるのかも知れないとも思ったが国王は笑って受け入れてくれた。
「では、その要望を受け入れよう。爵位は現状維持とし、拓殿に白金貨10枚を支払う様に。
一度に支払う事は出来ないだろう。後で拓が納得する計画を提示するように。」
白金貨10枚?拓は高過ぎると思ったが、貴族はそれを受け入れ今回の騒動は幕を閉じた。
国王が多くの貴族の前で拓の要求を通したので、この件について余計な事を言う者は居ない。
話が終わった後、酔っ払いが父親と共に拓に対し謝罪の言葉を述べ、今回の裁定に礼を言う。
白金貨10枚という金額が言い渡されたというのに大丈夫かと思ったが、拓はその謝罪を受け入れた。但し一言だけ言わせてもらう。
「貴方の息子は、下らない偏見を持ち過ぎています。
今回、私だけでなく他の貴族に対しても失礼な発言をしています。
その偏見が無くなったときには、その方に対しても謝罪してもらいたい。」
2人は深く頭を下げると「必ず」と答えていた。
全ては終わり拓はブルネリ公爵とクロイツ公爵から食事にと声を掛けられたが辞退し、ガラとレオと一緒にエチゴ屋に向かった。
エチゴとアルの他にクリームとゴルゴ、サブが待っていた。
ゴルゴとサブは訪ねてきた拓を見て安心するが、次の言葉が出て来なかった。
拓はアイテムボックスから用紙を取り出して全員に見せる。
「拓さん、これは何ですか?」
エチゴの質問に、拓が少しドヤ顔になる。
「ワンガさんの身柄については、俺に一任すると言う国王の書面です。
これで貴族であろうと、手出しは出来ない。」
ゴルゴとサブは礼を言うが、ゴルゴの顔は優れない。
「色々とやったから後始末が色々と有るけど、何とかなると思う。さて、昼食にでもしようか。」
拓はゴルゴが気になったが、食事をしながらガラとレオが決闘の時の話をする。
「しかし、呪いのロッドは残念だったな。」
ガラが最後に残念そうに言うので、拓はアイテムボックスからロッドを取り出した。
「あれは観客達にロッドが壊れる幻影を見せたんだよ。」
「・・・」
「手の内を隠したいし、劇的な終わり方でカッコ良かっただろ。俺、演出家としての才能も有るかも知れないな。」
「・・・」
「免責札の返却は断られたけど、ここまで上手く行くとは思わなかったよ。俺って凄くない。」
「・・・」
得意げに話す拓に、他のメンバーは何とも言い難い表情になっていた。
拓も周りと温度差を感じたので、話を変える。
「エチゴさん、休憩所の改造依頼が来ます。後、確定ではないですが新規の依頼も。」
「改造と言うのは、この間、拓さんが行ったやつですか?」
「そうです。新規は、地図に書き込んだだけで、実際には対応しなかった分です。
良ければ、今までと同じ様にエチゴさんの商隊として動きたいのですが、お願いできないでしょうか。」
「そうですか。そう言う事なら喜んで対応させて頂きます。」
食事が終わると、拓はゴルゴとサブと一緒にワンガが居る場所へと向かうことにした。
ガラとレオも付いて行こうとしたが、
「今回は3人だけにしてもらえるかな。その方が話をまとめらると思う。」
拓に言われてガラとレオは「何か有れば直ぐに呼べよ」そう言って付いて行くのを止めた。
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