欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

文字の大きさ
444 / 586

444準備

しおりを挟む
明日は結婚式。
結婚式は身内だけで教会で行われ、屋敷の庭で知人を呼んで披露宴が行われる。
そして参加者は結婚式の前日に祝いの品を渡す。
渡すにも順番が有り、立場の高い者から会うことになる
OZは冒険者としての参加だというのに、何故かクロイツ公爵と一緒にズゲベ侯爵、カーラ、ダリウスと一番初めに面会する。
祝いの口上はクロイツ公爵が行い、クロイツ公爵夫人、OZは「結婚、おめでとうございます」と言うだけで済んだ。
そして、入室前に渡しておいた祝いの品が運び込まれるとクロイツ公爵を除いた全員が声を上げる。
警備に付いていた護衛まで思わず前に乗り出すようになる。
クロイツ公爵が用意したのは剣。
そして、OZの用意したキラーアントクィーンとキラーアントの素材。

「この様な素晴らしい品をありがとうございます。大切に使わせて頂きます。」
「ありがとうございます。」

ダリウスとカーラが礼を言う。

「浩司、由美、里香から『おめでとうございます』との言葉を預かっています。
 王都に来られたら茶会を開くと思うので・・・ご愁傷さまです。」
「はっはっは。ご愁傷様か。勇者様にありがとうございますとお伝えください。」

カーラとダリウスがお互いに顔を見合わせていると、後ろに控えているズゲベ侯爵が笑って答えている。
きっと前回と同様、由美と里香から質問の嵐を受ける事になるのだろう。
挨拶が終わり部屋を出た所で、クロイツ公爵がOZのこの後の予定を聞いてくる。

「せっかくなので、準備の様子を見せて頂こうかと考えています。」
「そうか。慌ただしく動いているだろうから、服は着替えた方が良いだろう。」

クロイツ公爵はゆっくりと休むらしくOZだけで披露宴会場の様子を見に来たのだが、殆どが女性だった。

「あんた達、男手が足りなくて困っているんだよ。ボーっとしてないで、テーブルをセットするのを手伝っておくれ。」

恰幅の良い女性に言われ、せっせと会場準備の手伝い。
拓がアイテムボックスを使ってテーブルを移動させ、ガラやレオが置く場所の調整を行っていると、次々に物の移動させる指示が出てくる。
会場の状況を確認しに来た執事が、OZの3人が働いているのを見て慌てていたが、拓が唇に人差し指を当てて何も言わない様にとジェスチャーで伝える。

「あんた達のお陰で助かったわ。しかし、魔導士って凄いね。重い物も簡単に運べるんだから。」

拓は恰幅の良い女性に背中を思いっきり叩かれて咳込んでしまった。

「後は、男共が花を摘んで来れれば良いんだけどね。」

話を聞くと、花嫁と花婿が登場する時に花を撒いて道を作るのだが、今年は暑すぎて花の集まりが悪く兵士達が町の外へ花を探しに行っているとの事。
季節によって撒く花は決まっていて、他の花だと縁起が良くないという。
OZの3人はそのまま会場の準備を行っている人達と夕食を頂きながら明日の話で盛り上がっていた。
ただ、花を集めに行った兵士達が戻って来たのだが、集まったのは目標の3割にも満たなかった。

「ちょっと、どうするんだい。カーラ様とダリウス様を花の無い道を歩かせるつもりかい。」
「仕方ありません、今から紙で花を作ります。疲れていると思いますが協力をお願いします。」

兵士長が今後の対応について話をする。他の花を混ぜるより紙で似た花にする方が印象が良いらしい。
皆が腕まくりをする中、拓が立ち上がる。

「あの、私は簡単な魔法を使えます。もしかすると何か手伝えるかもしれません。」
「・・・拓殿。OZの3人がどうしてここに?」
「明日の会場作りの手伝いに。そんな事はどうでもいいので、会場をまとめている方と話をさせてもらえませんか?」

驚いた兵士長の言葉に、食堂は無音となっていた。
拓に仕事を指示した女性の顔は真っ青に・・・まさか免責札を持つ相手に仕事をさせていたとは・・・

「皆さんの努力を無駄にしない様に協力させてもらいます。貴族の結婚式は初めてですが、本を読んでどんな感じかは分かっています。」
「ありがとうございます。では、部屋を代えて話をさせて頂けないでしょうか。他の者は方針が決まるまでここで待機願います。」

直ぐに執事も呼ばれOZの3人と打ち合わせをする事に。
拓は食堂を出る前に恰幅の良い女性に「明日の結婚式は絶対に成功させましょう。」笑いかけていた。
ガラやレオも「こういう雰囲気は良いな。」「せっかくの結婚式、拓がやり過ぎない様に気を付けねぇとな。」笑って拓の後を付いて行く。

結局、用意された花だけで対応することになり、予定通り残りの準備を行うことになった。
拓に手伝う様に言った恰幅の良い女性は、拓の前に来ると体を震わせて頭を下げて謝罪するが、拓は笑って頭を上げさせる。

「ここに居るのは只の冒険者パーティOZですから気にしないでください。」
「しかし・・・」
「こういうのは楽しいですね。明日の為の計画を立てるので今日はこれで帰らせてもらいますが、明日は本人達も驚く様な結婚式にしましょう。
 小説の様なファンタジーな結婚式か。魔法の腕の見せどころです。楽しみにしていてください。」

その晩、拓は本を読みながら結婚式のイメージを膨らませていた。
時々ニタニタと笑う拓を見たガラとレオは、結婚式が成功するようにしっかりと見張る事を決めた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

一夜限りで終わらない

ジャム
BL
ある会社員が会社の飲み会で酔っ払った帰りに行きずりでホテルに行ってしまった相手は温厚で優しい白熊獣人 でも、その正体は・・・

男だって愛されたい!

朝顔
BL
レオンは雑貨店を営みながら、真面目にひっそりと暮らしていた。 仕事と家のことで忙しく、恋とは無縁の日々を送ってきた。 ある日父に呼び出されて、妹に王立学園への入学の誘いが届いたことを知らされる。 自分には関係のないことだと思ったのに、なぜだか、父に関係あると言われてしまう。 それには、ある事情があった。 そしてその事から、レオンが妹の代わりとなって学園に入学して、しかも貴族の男性を落として、婚約にまで持ちこまないといけないはめに。 父の言うとおりの相手を見つけようとするが、全然対象外の人に振り回されて、困りながらもなぜだか気になってしまい…。 苦労人レオンが、愛と幸せを見つけるために奮闘するお話です。

黒に染まる

曙なつき
BL
“ライシャ事変”に巻き込まれ、命を落としたとされる美貌の前神官長のルーディス。 その親友の騎士団長ヴェルディは、彼の死後、長い間その死に囚われていた。 事変から一年後、神殿前に、一人の赤子が捨てられていた。 不吉な黒髪に黒い瞳の少年は、ルースと名付けられ、見習い神官として育てられることになった。 ※疫病が流行るシーンがあります。時節柄、トラウマがある方はご注意ください。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【完結】自称ヒロイン役を完遂した王家の影ですが、断罪パーティーをクリアした後に王太子がぐいぐい来ます。

竜鳴躍
BL
優秀過ぎる王太子×王家の影(失業)。 白い肌に黒髪黒瞳。小柄な体格で――そして両性具有。不出来な体ゆえ実の親に捨てられ、現在はその容姿を含め能力を買われて王家の影をしていたスノウ=ホワイト。男爵令嬢として王太子にハニトラを仕掛け、婚約者を悪役令嬢に仕向けて王太子への最終試験をしていたのだが、王太子は見事その試練を乗り越えた。これでお役御免。学園を退学して通常勤務に戻ろう――――――。 そう思っていたのに、婚約者と婚約解消した王太子がぐいぐい来ます! 王太子が身バレさせたせいで王家の影としてやっていけなくなり、『男子生徒』として学園に通うスノウとそんなスノウを妃にしたくてつきまとう王太子ジョエルの物語。 ☆本編終了後にいちゃいちゃと別カップル話続きます。 ☆エンディングはお兄ちゃんのおまけ+2ルートです。

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...