欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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数日後、3大貴族と呼ばれるブルネリ公爵、クロイツ公爵、バラキエ公爵が登城した。
城の部屋では、3大貴族の他に勇者3人と拓の姿が有った。

「今日はわざわざ御越し頂きありがとうございます。」

拓が立ち上がり、3大貴族に礼を言う。

「本日は貴族としての日常業務、領地の管理、派閥、貴族間でのやり取り等について教えを請いたいと考えています。
 どうぞ、よろしくお願い致します。」

今日の目的は浩司に貴族という生き物がどの様な感じか知ってもらう事だった。

こうして全員が揃うと、バラキエ公爵は自分の所へ拓がこの話しの場に参加して欲しいと依頼してきた時の事を思い出していた。


「拓殿。拓殿が私に良い感情を抱いていないのは分かっている。にも拘わらず、何故この様な事を依頼する?」
「勇者の3名に貴族の事を実際に知って頂く訳ですが、勇者が特定の貴族と懇意にするのは体制上良くないと判断したからです。
 私が3大派閥から1名づつ声を掛けようとすると、クロイツ公爵の派閥で王都での知り合いはクロイツ公爵しかいません。
 バラキエ公爵の派閥にも懇意にさせて貰っている方は居ません。
 大変図々しいとは思いましたが、バラキエ公爵、ブルネリ公爵に声を掛けさせて頂く以外に選択肢が有りませんでした。
 お願いできないでしょうか。」

拓としては依頼を受けて頂ければ、依頼料を渡すつもりだった。
正直、バラキエ公爵としても派閥の長としての面目を考えると、拓の申し出は有難い。おまけに、自分の事を立てた上での依頼の形式を取っている。

「それで、勇者に何を教えたいと考えている?」
「貴族の生活についてです。
 貴族間の情報戦、金や行為についての貸し借り、腹の探り合い、領地をまとめる上での優先順位の付け方など
 上辺の話だけではなく、現実的な事柄を踏まえての話を伺えたらと考えています。」
「それは勇者が貴族に成った時の為の心構えとしてか?」
「いえ。勇者がこの先の道を選ぶ際の判断材料としてです。この先、彼等が選べる選択肢がどの様な物かを知って頂きたいのです。」

バラキエ公爵は少し考えて拓に問う。

「拓殿は、今の状態が治まると思って居るのか?」
「何時かは治まると考えています。それまでの間、国が耐えられるようにと私なりに力を使ってきたつもりです。
 私としてはこの世界の騒動はこの世界の人間で対処し、勇者の3人には戦う以外の道も用意しておきたい。」
「分かった。協力させて貰おう。拓殿自身は貴族に興味はないのか?
 国王陛下からの話を断っていたが、拓殿なら貴族、教会、商人、そして冒険者達からも絶大な支持を受けられるだろう。」
「ありません。その支持と言うのは、混乱している状態で有ればこそです。
 そうでなければ、冒険者として生計を立てるのが丁度良いでしょう。」

拓は全く貴族に興味を持っていない。
その辺がバラキエ公爵には理解できていない。望めば、3大公爵を超える強大な権力も得られるというのに・・・

「拓殿には何時かの事を謝罪したいと思っていた。私にの望む物は有るか?」
「免責札の・・・」
「それは出来ない。拓殿の功績を考えれば、国王でも受け入れる事は出来ないだろう。」

拓が最後まで言う前にバラキエ公爵に否定された。

「・・・私が魔道具のテントを持っているのを知っていますね。あれと同じものを入手出来ないでしょうか?」
「分かった。その様な物で良ければ用意しよう。受け取ってもらいたい。」

拓は直ぐに運ばれてきたテントの中が十分な広さになっている事を確認し、アイテムボックスに収納した。
余りにも簡単に話が通ったので、このテントは簡単に手に入るのかとも思ったが、聞く様な事はしなかった。
実際はとても珍しい魔道具だが、畳むことも出来ず、単体でもそれなりの重さが有り、中に物を入れればその重さも加算される。
馬車に乗せるには幅が広過ぎ、拓の様な広いアイテムボックスを持っていないと使い勝手が悪く需要が無い。

「ありがとうございます。宜しければ、こちらをお受け取り下さい。テントと今回の依頼を受けて頂く礼です。」

拓はワイバーンの素材と肉を取り出しバラキエ公爵に渡す。
エチゴがこの素材を売っていた事は知っていたが、拓が関わっているため購入出来なかった。
バラキエ公爵は喜びを顔に出すことなく、拓に礼を言って受け取っていた。

今更、好感度を上げる事を出来るとは思っていないが、拓が合理的な考えで対応してくれるのであれば、こちらは誠意を持って対応する。
それにしても、勇者の3人より拓の方が貴族に向いているのではないだろうか?
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