異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
80 / 761

080ゴルゴ

しおりを挟む
******(ゴルゴ)

簡単な依頼のはずだった。
冬が来る前に少し蓄えを増やそうとDランクの依頼を受けた。
街道沿いでタランキュラスを1体見つけた時は運が良いと思った。
町にも近く、鮮度の良い状態で肉を持って帰る事ができる。
群れから逸れて街道まで出てきてしまったのだろう。
この肉は美味く、高く売れる。
DランクのタランキュラスならCランクの俺達で十分対応できるはずだった。

「ゴルゴ、避けろ」

仲間に声でタランキュラスが1体だけで無いことを知った。
町へ向かう街道は4体が塞ぎ、森の中にも気配を感じる。

「街道に沿って逃げろ。魔法を使って牽制する事を忘れるな。」

逃げながら確認できたのは10体のタランキュラス
町の方へ逃げたくても、道は塞がれている絶望的だった。
誰かが犠牲になっても10体相手では時間稼ぎも出来ない。
手段もなく、ただ逃げ続けた。
前方に誰かが居る。
声を上げても動こうともしない。

OZじゃねえか。ガラめ何をやっていやがる。
Fランクのガキや獣人を連れて戦える相手で無いことくらい分るだろうが。
声を上げてもガキも逃げやしない。
ここで戦うしかないか。
俺達が振り返り武器を構えた瞬間、地面から突き出した土の槍がタランキュラスを貫いていた。
タランキュラスが吐く糸をシールドで防御し、その中をガラ達が走り抜けていく。

「残りはどうした」

周りを見渡すと、浩司が魔法で牽制している。
そして、残りを誘い出し一気に叩き潰した。
俺達とは実力が違い過ぎる。


「Fランクに助けられる程度の冒険者に何が返せる。」

拓の言葉に何も言い返す事ができなかった。
俺達は、そのままラグテルの町に戻る事にした。
誰も喋らず、ただ無言で歩き続けた。


ある日、森の中で誰かが魔獣と戦っている気配を感じ、その場に向かうと獣人のパーティがグリーンウルフと交戦中だった。
以前、俺がバカにしていた初心者達だ。
グリーンウルフが獣人を囲んでいる。
このままだと大怪我を負うだろう。運が悪ければ死人が出るかも知れない。

『借りは他の獣人に回せよ。』

あいつの言葉が頭をよぎる。ちくちょう。
俺達は助けに入り、誰も怪我をせずに討伐を完了した。
しかし、獣人達の俺達をみる目は冷たい。
獣人達から憎まれている。当然だ。
他に魔獣の気配は無い。俺達はその場を離れた。
あいつの言った勇気の意味が分り、黙り込む俺の背中を仲間が叩く。

「俺達のやってきた事を考えれば当然だよな。だが、借りを次に回すんだろ。」

その言葉に俺は頷いた。
その後も、俺達は獣人のパーティが危険な時は助けに入った。
しかし彼等の冷たい目が怖くなり、その場を離れる。
今まで俺は何をやってきたんだ。ちくちょう。


ある日、ギルド会館に入ると

「この間は、助けて頂きありがとうございました。」

この間、助けに入った獣人のパーティが俺達に礼を言ってきた。

「何を言ってんだよ。俺等は俺等が助けられた借りを返しているだけだ。
 礼を言われる筋合いなんてねぇよ。」

嬉しいくせに、口から出たのは下らない言葉だった。
それでもとポーションを渡そうとするので

「いらねーよ”情けは人の為ならず”って言葉があんだよ。」

その後は、あいつに言われた事を喋っていた。
なんで俺はこんな言い方しかできねぇんだ。

「助けられと思ったら、次に回せ。分ったら、さっさと行けよ。」

最期まで、こんな調子だった。ちくちょう。
俺達も受ける依頼を確認しに行こうとしたとき、OZのメンバーが居るのを知った。

「なんだ糞ガキ。借りは次に回しているぞ。」

あいつが俺の事を見ていた。
俺が言っていた事を全て聞かれていたのか。笑いたきゃ笑え。ちくしょう。

「おっさん、俺の名前は糞ガキじゃない。拓だ。」

俺を笑おうともせず名乗った。この俺に対して

「俺はおっさんじゃねぇ、ゴルゴだ。覚えておけ、糞ガキの拓。」

また、余計な一言が出てくる。ちくしょう。

「ゴルゴのおっさんも怪我をしないように気をつけろよ。」

拓を見ると笑っていた。決して俺をバカにした笑いじゃない。ちくしょう。
それを見て、俺も笑っていた。ちくしょう。
ちくしょう、嬉しいじゃねえか。

******(拓)

ギルド会館に入ると、ゴルゴが獣人のパーティに何かを言っていた。
言葉使いは悪いが、嫌なオーラでは無い。
話を聞いていると、獣人のパーティに礼を言われて、どう対応して良いのか分からないみたいだ。
俺達に助けられた借りを次の人に返しているのか。
彼等がやってきたことは許される事では無いが、この先、獣人が受け入れてくれる事を願ってしまう。
しかし、露骨に照れ隠しだと分かるが、おっさんのツンデレに需要は無い。
暑っ苦しいし、鬱陶しい。
しかし、ここまでくると、笑いが込み上げてくる。
相手も気付いているみたいだし、その方が面白いので放置で良いのかな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。

越路遼介
ファンタジー
篠永俊樹、五十四歳は三十年以上務めた消防士を早期退職し、日本一周の旅に出た。失敗の人生を振り返っていた彼は東尋坊で不思議な老爺と出会い、歳の離れた友人となる。老爺はその後に他界するも、俊樹に手紙を残してあった。老爺は言った。『儂はセイラシアという世界で魔王で、勇者に討たれたあと魔王の記憶を持ったまま日本に転生した』と。信じがたい思いを秘めつつ俊樹は手紙にあった通り、老爺の自宅物置の扉に合言葉と同時に開けると、そこには見たこともない大草原が広がっていた。

処理中です...