272 / 761
272窯
しおりを挟む
経済が回らなくなり、商人も冒険者も来なくなってしまった。
領地を視察した後、休む間もなく直ぐに対策会議が行われている。
町の状況を聞いて俺なりに準備してきた対応策をOZのメンバーに提案してみると、エチゴさんが商人としてロダン侯爵と話をまとめてくれる事になった。
会議が休憩に入ったとき、会議に出席していたセバスチャンに説明を行うと、エチゴさんが話す時間を設けてくれた。
俺が用意したのは火の魔道具
前に、ピース医師とトリス練成術師に呪詛返しの腕輪を作った時に、ブルネリ公爵から頂いた物の中に入っていた魔石を使って作った物だ。
エチゴさんが話をまとめてくれ、魔道具の性能を試す事になった。
直ぐに、陶器を作る職人が呼ばれ、窯に魔道具の設置を行う。
「若い技術者だが、大丈夫か。」
俺を見た職人は心配しているみたいだが、窯に魔道具の設置作業を始めると納得してくれたみたいだ。
「名前は何という。」
「拓です。」
俺の名前を聞いた職人の動きが止まってしまった。どうしたのかと思っていたが
「すまない。俺は陶器職人のまとめ役をしているゲオルグだ。宜しく頼む。」
お互いに挨拶を済ますと、魔道具の動作を確認しゲオルグ親方の要求に合わせるように調整を行っていく。
設定が終わった所で、実際に職人に魔道具も魔力供給を行ってもらうと10人位でローテーションを組めば問題なさそうだった。
直ぐに職人達は陶器の準備を始めてもらったが、乾燥は俺が錬成術で行うとしても、実際に焼いて結果を出すまで10日はかかる。
その上、動作確認の試し焼きの予定のはずが
「すまない、拓殿。動作確認と言っておいたんだが、張り切ってしまって。
1年以上干されていたんで、儂も強く言えなくてな。」
全員が、本気で作品作りを行い始めてしまい焼く物の準備に4.5日はかかってしまうらしい。
そんな事を言っているゲオルグ親方自身も真剣に作品に取り組んでいる。
部屋の中は張り詰めた空気となっているので、完成したら呼んでもらう事にした。
1週間経ち、やっとゲオルグ親方か完成したとの連絡があった。
練成術で乾燥させ、素焼きを行い釉薬がけをして本焼き。
問題が起きた時に対応する為、窯を使っている間は、俺も直ぐ側で生活をする。
そして、いよいよ出来上がった陶器を取り出す日がやってきた。
窯の周りには職人だけでなく、ロダン侯爵やルーカスさん、セバスチャン、クリームのメンバーも集まっている。
臭いが抜けるまで隔離されているモーゼスさんとジークフリートさんも、この日位はと目の部分以外を完全に覆った怪しげな服装で参加している。
ただ可哀そうに、それでも彼等の周辺には他人は近付こうとはしない。
「よし、窯から取り出すぞ。」
ゲオルグ親方の掛け声で陶器の取り出すと、窯の何処に置いたかチェックしながら、1点1点、陶器の完成度を確認している。
そして、全ての陶器の確認を終えると
「窯の全ての場所に炎が回っている。製品全てが合格だ。」
「「「お~~~」」」
その場にいた全員から喜びの声が上がった。職人の中には泣いている人も居る。
ゲオルグ親方がロダン侯爵の前に来て礼をした。
「ロダン様、この魔道具を使った窯を使用出来る様に、取り計らって頂けないでしょうか。
どうか宜しくお願い致します。」
「ゲオルグ、分かっている。頭を上げてくれ。
エチゴ殿、この魔道具を使用する為の契約を正式に取り交わしたいのだが宜しいだろうか。」
エチゴさんが契約書を取り出すと、この場で契約が交わされた。
成功を見越して、契約を交わす準備をしていたみたいだ。
エチゴさんからの要求事項は4つ
1.今度ロダン伯爵領で作られる陶磁器の販売をエチゴ屋が優先的に取り扱う事が出来る。
ただし、独占販売ではない。
2.売り上げの3割をエチゴ屋、7割をロダン侯爵の取り分とする。
ブルネリ公爵領までの商品輸送にかかる費用はロダン侯爵が引き受ける。
双方の合意が取れた場合には、この限りでは無い
3.魔道具の使用料として年間 白金貨1枚を別途支払う。
期限は5年間とし、それ以降はロダン侯爵に譲渡するものとする。
4.500個の陶磁器を無料で提供する事。
この内容で、ロダン侯爵が受け取るのは火の魔道具5つ。
ロダン侯爵にとっては破格の好条件と言える。
取り分も一般的な割合で、相手の足元を見る様なマネはしていない。
魔道具の使用料も、結局は分割購入でしかない。しかも、性能を考えると入手する事自体が難しい魔道具だ。
使用できる窯の数は減ってしまうが、燃料を気にせずに稼働できるなら今まで以上の生産量を確保できる。
交わした契約書を見て、職人達から大きな歓声が上がった。
領地を視察した後、休む間もなく直ぐに対策会議が行われている。
町の状況を聞いて俺なりに準備してきた対応策をOZのメンバーに提案してみると、エチゴさんが商人としてロダン侯爵と話をまとめてくれる事になった。
会議が休憩に入ったとき、会議に出席していたセバスチャンに説明を行うと、エチゴさんが話す時間を設けてくれた。
俺が用意したのは火の魔道具
前に、ピース医師とトリス練成術師に呪詛返しの腕輪を作った時に、ブルネリ公爵から頂いた物の中に入っていた魔石を使って作った物だ。
エチゴさんが話をまとめてくれ、魔道具の性能を試す事になった。
直ぐに、陶器を作る職人が呼ばれ、窯に魔道具の設置を行う。
「若い技術者だが、大丈夫か。」
俺を見た職人は心配しているみたいだが、窯に魔道具の設置作業を始めると納得してくれたみたいだ。
「名前は何という。」
「拓です。」
俺の名前を聞いた職人の動きが止まってしまった。どうしたのかと思っていたが
「すまない。俺は陶器職人のまとめ役をしているゲオルグだ。宜しく頼む。」
お互いに挨拶を済ますと、魔道具の動作を確認しゲオルグ親方の要求に合わせるように調整を行っていく。
設定が終わった所で、実際に職人に魔道具も魔力供給を行ってもらうと10人位でローテーションを組めば問題なさそうだった。
直ぐに職人達は陶器の準備を始めてもらったが、乾燥は俺が錬成術で行うとしても、実際に焼いて結果を出すまで10日はかかる。
その上、動作確認の試し焼きの予定のはずが
「すまない、拓殿。動作確認と言っておいたんだが、張り切ってしまって。
1年以上干されていたんで、儂も強く言えなくてな。」
全員が、本気で作品作りを行い始めてしまい焼く物の準備に4.5日はかかってしまうらしい。
そんな事を言っているゲオルグ親方自身も真剣に作品に取り組んでいる。
部屋の中は張り詰めた空気となっているので、完成したら呼んでもらう事にした。
1週間経ち、やっとゲオルグ親方か完成したとの連絡があった。
練成術で乾燥させ、素焼きを行い釉薬がけをして本焼き。
問題が起きた時に対応する為、窯を使っている間は、俺も直ぐ側で生活をする。
そして、いよいよ出来上がった陶器を取り出す日がやってきた。
窯の周りには職人だけでなく、ロダン侯爵やルーカスさん、セバスチャン、クリームのメンバーも集まっている。
臭いが抜けるまで隔離されているモーゼスさんとジークフリートさんも、この日位はと目の部分以外を完全に覆った怪しげな服装で参加している。
ただ可哀そうに、それでも彼等の周辺には他人は近付こうとはしない。
「よし、窯から取り出すぞ。」
ゲオルグ親方の掛け声で陶器の取り出すと、窯の何処に置いたかチェックしながら、1点1点、陶器の完成度を確認している。
そして、全ての陶器の確認を終えると
「窯の全ての場所に炎が回っている。製品全てが合格だ。」
「「「お~~~」」」
その場にいた全員から喜びの声が上がった。職人の中には泣いている人も居る。
ゲオルグ親方がロダン侯爵の前に来て礼をした。
「ロダン様、この魔道具を使った窯を使用出来る様に、取り計らって頂けないでしょうか。
どうか宜しくお願い致します。」
「ゲオルグ、分かっている。頭を上げてくれ。
エチゴ殿、この魔道具を使用する為の契約を正式に取り交わしたいのだが宜しいだろうか。」
エチゴさんが契約書を取り出すと、この場で契約が交わされた。
成功を見越して、契約を交わす準備をしていたみたいだ。
エチゴさんからの要求事項は4つ
1.今度ロダン伯爵領で作られる陶磁器の販売をエチゴ屋が優先的に取り扱う事が出来る。
ただし、独占販売ではない。
2.売り上げの3割をエチゴ屋、7割をロダン侯爵の取り分とする。
ブルネリ公爵領までの商品輸送にかかる費用はロダン侯爵が引き受ける。
双方の合意が取れた場合には、この限りでは無い
3.魔道具の使用料として年間 白金貨1枚を別途支払う。
期限は5年間とし、それ以降はロダン侯爵に譲渡するものとする。
4.500個の陶磁器を無料で提供する事。
この内容で、ロダン侯爵が受け取るのは火の魔道具5つ。
ロダン侯爵にとっては破格の好条件と言える。
取り分も一般的な割合で、相手の足元を見る様なマネはしていない。
魔道具の使用料も、結局は分割購入でしかない。しかも、性能を考えると入手する事自体が難しい魔道具だ。
使用できる窯の数は減ってしまうが、燃料を気にせずに稼働できるなら今まで以上の生産量を確保できる。
交わした契約書を見て、職人達から大きな歓声が上がった。
25
あなたにおすすめの小説
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。
越路遼介
ファンタジー
篠永俊樹、五十四歳は三十年以上務めた消防士を早期退職し、日本一周の旅に出た。失敗の人生を振り返っていた彼は東尋坊で不思議な老爺と出会い、歳の離れた友人となる。老爺はその後に他界するも、俊樹に手紙を残してあった。老爺は言った。『儂はセイラシアという世界で魔王で、勇者に討たれたあと魔王の記憶を持ったまま日本に転生した』と。信じがたい思いを秘めつつ俊樹は手紙にあった通り、老爺の自宅物置の扉に合言葉と同時に開けると、そこには見たこともない大草原が広がっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる