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282無力
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水晶の玉を取り出し、体内の魔力の流れを正常にし、後は経口保水液で脱水症状を抑えるだけだ。
重症患者にも薬を飲ませてみるが、少しは症状が楽になるみたいだった。
『薬を追加で用意した方が良いじゃろう。村人に薬草の採取を依頼するんじゃ。
無ければ、急いで町まで買いに行かせるんじゃ。』
村長を呼んで必要な薬草を集められるか確認すると、全てこの付近で採れるものだった。
ヤマトに周辺の護衛を頼んで、手の空いた村人で薬草採取に動いてもらう。
基本的な患者の対応は村の人に任せ、俺は水晶の玉で魔力の流れを正常にし、集めてもらった薬草で薬を錬成を続けた。
治療を始めてから多くの人が回復しているが、薬が効かず症状が悪化する人も多い。
俺には、その人達が亡くなるまで作った薬を飲ませ、水晶の玉で楽にしてあげる事しか出来なかった。
日にちの感覚が曖昧だが、この村に来てから10日以上経っていると思う。
外から、俺を呼ぶ浩司の声がするので、外に出ると浩司にスミスさんとアドルさん、他に白衣に着替えている人達が居た。
月明かりが村を照らしていて、明かりが無くても良く見える。
「拓ちゃん、大丈夫か。ブルネリさんが医師を派遣してくれた。」
俺は心配そうな顔をしている浩司の胸に頭を当て、
「何で魔法で病気は治らないんだ。何で俺はこんなに無力なんだよ。」
自分の中に積もっていた事を全てぶちまけてしまった。
自分の目の前で多くの人が亡くなっていく・・・初めて見た地獄のような光景。
「もう大丈夫、大丈夫だから。」
浩司が俺を抱きしめ、俺の背中を撫でてくれる。
俺が落ち着くのを待って、医師が話しかけてきた。
「拓殿、すみませんが、状況を教えてもらえませんか。」
この状況で俺は何をしていたんだ。
泣き言を言っている暇なんて無いというのに。涙を腕で拭う。
「すみませんでした。現在の状況ですが残った人達は回復して来ています。
村長に、別の隔離区画を用意してもらったので、嘔吐、下痢が治まった人はそちらに移しました。
体内に病原菌が残っていると危険ですので、移動してから2,3週間は隔離する予定です。
中を案内するので、マスクと手袋を付けてもらえますか。」
手伝ってくれる村人に渡してしまい、用意したマスクと手袋は2セットしかなかったので、代表者2人に渡して隔離区画の中に入ってもらう。
ベットとは呼べない木の板に乗せられた病人。下には下痢や嘔吐の為のバケツが用意されている。
殆どの人が回復傾向にあり、1ヶ月もすれば、起き上がる事が出来るだろう。
医師が、患者1人1人を診察した後、医師に連れられ建物の外に出ると
「拓殿が治療を行っていなければ、殆どの人達は助からなかったでしょう。本当にありがとうございました。」
そうは言われても、助けられない多くの命も有った。
「拓殿、私が医者になってから多くの人を看取ってきました。実際、私が治せる病気なんてたかが知れています。
そんな私でも、医者を続けていく上で1つだけ誓った事が有ります。
後悔する様な治療はしないと。
私自身が後悔する様な治療をしていたら、亡くなった人達に顔向け出来ません。
拓殿は、全力を出さずに、後悔する様な治療を行ったのですか。」
「いえ、今の自分が出来る事を全てやりました。」
「では、厳しいかも知れませんが、しっかり顔を上げて下さい。」
俺が顔を上げると、医師は話を続けた。
「この近辺の4つの村でも同じように黒死病が広がっています。
拓殿、薬を分けて頂く事は出来ないでしょうか。
残念ながら、我々では、高価でほとんど用意できませんでした。」
医師が鞄から小瓶を取り出した。
「この薬1つで1人完治できます。ただし、これ1つで金貨1枚分の価値があります。」
グリムも、この薬は知らなかった。
目に魔力を集めウルトラアイで薬から出ているオーラを見ると、良い薬なのは分かるが・・・
「完治させる薬。一部にしか使えないなら逆に反感を呼ぶか。」
ブルネリ公爵の対応が遅れた理由が、村の隔離と薬の準備だった。
しかし、薬は充分に用意は出来なかった。
病気の発生した村の把握、他の村、町からの隔離の為の準備を行っている所に浩司が現れた。
そして、俺がこの村で治療に取り掛かった事を知り、先に医師の方々が状況の確認をする為に来たらしい。
グリムに教わった薬は、長年の戦争で忘れ去られた知識なのだろう。
重症患者にも薬を飲ませてみるが、少しは症状が楽になるみたいだった。
『薬を追加で用意した方が良いじゃろう。村人に薬草の採取を依頼するんじゃ。
無ければ、急いで町まで買いに行かせるんじゃ。』
村長を呼んで必要な薬草を集められるか確認すると、全てこの付近で採れるものだった。
ヤマトに周辺の護衛を頼んで、手の空いた村人で薬草採取に動いてもらう。
基本的な患者の対応は村の人に任せ、俺は水晶の玉で魔力の流れを正常にし、集めてもらった薬草で薬を錬成を続けた。
治療を始めてから多くの人が回復しているが、薬が効かず症状が悪化する人も多い。
俺には、その人達が亡くなるまで作った薬を飲ませ、水晶の玉で楽にしてあげる事しか出来なかった。
日にちの感覚が曖昧だが、この村に来てから10日以上経っていると思う。
外から、俺を呼ぶ浩司の声がするので、外に出ると浩司にスミスさんとアドルさん、他に白衣に着替えている人達が居た。
月明かりが村を照らしていて、明かりが無くても良く見える。
「拓ちゃん、大丈夫か。ブルネリさんが医師を派遣してくれた。」
俺は心配そうな顔をしている浩司の胸に頭を当て、
「何で魔法で病気は治らないんだ。何で俺はこんなに無力なんだよ。」
自分の中に積もっていた事を全てぶちまけてしまった。
自分の目の前で多くの人が亡くなっていく・・・初めて見た地獄のような光景。
「もう大丈夫、大丈夫だから。」
浩司が俺を抱きしめ、俺の背中を撫でてくれる。
俺が落ち着くのを待って、医師が話しかけてきた。
「拓殿、すみませんが、状況を教えてもらえませんか。」
この状況で俺は何をしていたんだ。
泣き言を言っている暇なんて無いというのに。涙を腕で拭う。
「すみませんでした。現在の状況ですが残った人達は回復して来ています。
村長に、別の隔離区画を用意してもらったので、嘔吐、下痢が治まった人はそちらに移しました。
体内に病原菌が残っていると危険ですので、移動してから2,3週間は隔離する予定です。
中を案内するので、マスクと手袋を付けてもらえますか。」
手伝ってくれる村人に渡してしまい、用意したマスクと手袋は2セットしかなかったので、代表者2人に渡して隔離区画の中に入ってもらう。
ベットとは呼べない木の板に乗せられた病人。下には下痢や嘔吐の為のバケツが用意されている。
殆どの人が回復傾向にあり、1ヶ月もすれば、起き上がる事が出来るだろう。
医師が、患者1人1人を診察した後、医師に連れられ建物の外に出ると
「拓殿が治療を行っていなければ、殆どの人達は助からなかったでしょう。本当にありがとうございました。」
そうは言われても、助けられない多くの命も有った。
「拓殿、私が医者になってから多くの人を看取ってきました。実際、私が治せる病気なんてたかが知れています。
そんな私でも、医者を続けていく上で1つだけ誓った事が有ります。
後悔する様な治療はしないと。
私自身が後悔する様な治療をしていたら、亡くなった人達に顔向け出来ません。
拓殿は、全力を出さずに、後悔する様な治療を行ったのですか。」
「いえ、今の自分が出来る事を全てやりました。」
「では、厳しいかも知れませんが、しっかり顔を上げて下さい。」
俺が顔を上げると、医師は話を続けた。
「この近辺の4つの村でも同じように黒死病が広がっています。
拓殿、薬を分けて頂く事は出来ないでしょうか。
残念ながら、我々では、高価でほとんど用意できませんでした。」
医師が鞄から小瓶を取り出した。
「この薬1つで1人完治できます。ただし、これ1つで金貨1枚分の価値があります。」
グリムも、この薬は知らなかった。
目に魔力を集めウルトラアイで薬から出ているオーラを見ると、良い薬なのは分かるが・・・
「完治させる薬。一部にしか使えないなら逆に反感を呼ぶか。」
ブルネリ公爵の対応が遅れた理由が、村の隔離と薬の準備だった。
しかし、薬は充分に用意は出来なかった。
病気の発生した村の把握、他の村、町からの隔離の為の準備を行っている所に浩司が現れた。
そして、俺がこの村で治療に取り掛かった事を知り、先に医師の方々が状況の確認をする為に来たらしい。
グリムに教わった薬は、長年の戦争で忘れ去られた知識なのだろう。
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