異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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******(貴族)

ラグテルの町には護衛の1人に義手を作ってもらう為にやってきたのだが

「この町は、王国の直轄領だというのに、他の直轄領とはずいぶんと雰囲気が違うな。」

町に入って驚いたのは、獣人差別が無いことだった。
差別を許さない貴族の領地であれば理解できるが、この規模の直轄地だと他には無いだろう。
トリス練成術師の工房には明日伺う予定なので、先ずは話を聞いていた店に寄ることにしたのだが思った以上の行列だった。

「旦那様、私が並んでいますので他で休まれては如何ですか。」

護衛にそう言われるが、お忍び姿でその対応は問題だろう。
そのまま列に加わると、後ろに飲食店には不釣合いな姿の子供達が並んだ。獣人の子供も一緒だ。
この様な子供達は、何処の町にでも存在してしまう。
自分の領地でも孤児院が有るが、実際にはそれ以上の孤児が居る。

しかし、驚いたのは店員の対応だ。
彼は店には入れられないが庭に席を用意すると言う。
興味本位で私も庭で食事を取らせてもらうように依頼すると、なかなか良い席だった。
臨時で用意した席だが、気遣ってくれているのが分かる。
直ぐに給仕の女性がメニュー表を持ってきてくれたが

「あの、僕達、これでカレーを3つください。」

一番の年上の子が握り締めていた金を出して、メニューも見ずに頼んでいた。
6人の子供で3つのカレーか。どう対応するのか見ていると

「分かりました。カレーを3つですね。
 本日は、3種類用意してありまして、こちらの金額ならこの2つから選べます。
 後、今回は臨時の席での対応なので、サービスとして飲み物を用意させて頂きますね。」

子供達にカレーの種類を説明し注文を受けていた。
ここまでの接客が出来るとは、本当に良い店を教えてもらった。
私もカレーと子供達の分を合わせたデザートを注文をしたのだが

「申し訳ありません。本日はデザートは、残り3つとなってしまいました。」

人気が有るとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。

「そうか、ではデザートは子供達に。
 足らない分は、カレーを用意してもらえないか。
 3種類のカレーが2個づつになるように子供達に出してくれ。」

デザートは残念だが、約束だから仕方が無い。
メニューにはシャーベットと書いてあり、果物の絵が描かれていた。
この町には暫く滞在するので、次に来た時に食べれば良いだろう。

待っている間、子供達の話を聞くことに
子供達はスラム街に住んでいるらしいが、治安も良くまともな仕事を紹介してくれる人もいる。

「紹介してくれるのはドクさんっていうお医者様なんだけど」
「違うよ、あの人はダリアさんって言うんだよ。」
「そうなの、皆ドクさんって言っているよ。」
「それは、あだ名なんだって。」
「そうなんだ。それでね、私達 最近は畑仕事の手伝いをしてるの。」

スラム街とはいえ、私の領地とはずんぶんと違うな。
話が脱線しながらも、色々と話してくれていると

「お待たせ致しました。カレーでございます。」

食欲をそそる香りと共にカレーが運ばれてきた。
子供達がカレーから目が離せなくなっているので、話は終わりにしてカレーを頂くことにした。

「これは、初めて食べる味だ。この刺激は癖になるな。」

人気のあるとはいえ大衆食堂だと思っていたが、他の貴族が噂にするだけの事はある。
明日、改めて他の種類を食べる事にしよう。

皿が下げられ、次に出てきたデザートは、凍った果物を崩したものだった。

「凄い、冷たいよ。」
「美味しい。」

子供達が美味しそうに食べる姿を見て、羨ましいと思ったのは仕方が無い。
私にこの店を教えた奴が、もったいぶってデザートの事を教えなかったのが問題だ。
大衆食堂で、こんなデザートが出てくると誰が思うというのだ。

「「「おじさん、ご馳走様でした。」」」

羨ましいと思っていることを気付かれない様に、子供達に挨拶をして分かれた。


次の日、トリス練成術師の工房に伺わせてもらった。

「シュミト公爵、わざわざ来て頂けるとは。」
「トリス練成術師、こちらこそ無理を聞いて頂き助かった。」

義手の話しを伺い、申し訳ないが公爵という立場で無理を言って対応してもらっている。
用意してもらったのは、私を守る為に片腕を失った護衛ブルの義手。
本人は護衛をやめると言っているが、私が無理やり続けさせている。

「では、義手の用意が出来ていますので、こちらへどうそ。」

手袋をした男が義手の装着について説明をすると、そのまま指導を行うみたいだ。
簡単に構造について説明を受けると、さっそく実際に動かす様に指示を出されている。
何とか動かす事が出来たが、コップやボールを掴むのが精一杯みたいだ。
それでも

「はっはっは、俺でも物が掴める。見てください。物を掴むことが出来ます。」

嬉しそうに、私にボールを掴んだ義手を見せるブル。
良かった、本当に良かった。
喜んでいるブルの前に指導員が左手を差し出し、手袋を外すと

「まさか、あなたは義手だったのですか。」

手袋の下から、同じ金属で出来た手が現れた。

「思ったより分からないと思いませんか。
 親指が複雑に動きますので、指先で摘まんだりすることが出来ます。
 私は、特別な才能も訓練も受けていない普通の冒険者でした。
 その私でも、ここまで動かすことが出来ます。
 ブル様が早く動かせるように手伝わせてもらいますので、宜しく願い致します。」

「先生、宜しくお願いします。」

頭を下げるブルに、「先生と呼ばれる様な立場では無いのですが」そう言って困っている指導員が居た。
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