異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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630魂の同化

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******(浩司)

「大丈夫か。」

目を覚ますとリッチが声を掛けてきた。
体の方は問題ないが、拓ちゃんは、それにもう一人の俺はどうなったのだろう。

「拓は無事だ。その内に目が覚めるだろう。
 呪いで作られた人格は、お前の中にいる。良く助けられたな。
 この様な状態は初めてで、どう影響が出るか分からないが今のところ問題は無さそうだ。」

そうか、拓ちゃんも、もう一人の俺も無事なのか。

『全く、浩司も無茶をする。』
「なぁ、グリム。意識の中で、もう一人の俺と拓ちゃんを合わせることは出来ないか。
 夢が崩壊して挨拶も出来なかったから。」
『そのお人好しな性格も、良し悪しじゃな。
 どうなるかは分からないが、やってみよう。』
『仕方がにゃいので我輩も行くにゃ。拓にゃら浩司が2人いるといって喜ぶにゃ。』

拓ちゃんなら、本当に喜びそうで怖いな。
もう一人の俺と拓ちゃんを合わせても大丈夫か心配になってきた。


リッチに眠らされ、気が付くとグリムの待つ白い空間に立っていた。
横には、もう一人の俺が居る。

「何とかなるものじゃな。それにしても瓜2つじゃな。
 着ている服が同じじゃったら見分けがつかんぞ。」

改めて見ると本当にそっくりだ。
とりあえず、もう一人の俺に直接会える場所としてグリムにお願いしたことを説明した。
肝心の拓ちゃんはというと、未だ眠りから覚めていない。

「夢の様なものとはいえ、自分の世界が壊れたんじゃ。
 この世界だとしても、目覚めるまで少し時間が掛かるじゃろう。

心配する俺達にグリムが安心するようにと言ってくれる。

「拓なら、スケベ心で隅々まで調べたいと言いそうだな。科学的検証だとか言い訳をして。
 裸にされないように気をつけた方が良い。」

元のAランクの魔獣の姿に戻ったヤマトが、そう言ってニヤリと笑う。
ヤマトの中での拓ちゃんの立ち位置が可愛そうな事になっている気がするが、否定も出来ないのが残念だ。

「そろそろ、起きるみたいだぞ。」

ヤマトに言われて拓ちゃんを見ると、丁度目を開けた。
もう一人の俺と一緒に拓ちゃんを覗き込むと、未だ意識がはっきりしていないのか目の焦点が合っていない。
徐々に意識がはっきりしてくると

「ここは何処だ。浩司はどうなった。」

いきなり起き上がったので、思いっきり俺達と頭をぶつけた。

「ごめんって、何で浩司が2人居る。ここはグリムの意識の世界だよね。どうなっている。」

俺が拓ちゃんの夢が壊れてからの話をすると

「浩司、ありがとう。それに、もう一人の浩司もありがとう。」

俺達2人に抱きついて来た。

「浩司が2人も居ると得した気分になるね。それにしても、本当にそっくりだな。」
「俺は拓さんの記憶から作られた存在だから、それだけ良く本人を見ていたんですよ。」

まじまじと見比べる拓ちゃんに対しもう、一人の俺が答えていた。

「あくまでも科学的検証としてなんだけど、何処まで同じか調べてみたいね。」

あまりにもヤマトの言う通りの発言をするので、俺達だけでなくヤマトもグリムも笑ってしまった。
そんな中、もう一人の俺が拓ちゃんをしっかりと抱きしめた。

「拓さん、会えて良かった。夢の中とはいえ、本当に楽しかった。本当にありがとう。」

そう言って、拓ちゃんと唇を合わせた。
その位受け入れるつもりでいたが、やはり嫉妬してしまう。
暫く2人は抱き合っていたが、もう一人の俺が最後に笑って拓ちゃんに別れを告げた。
何時までも留まるのは、もう一人の俺に悪いと思い俺は目覚めた。


「その顔は、上手く行った様だな。」

表情からは分からないが、リッチが安心してくれているみたいだ。

「リッチ、もう一人の俺は大丈夫なのか。」

リッチは俺の体に手を当て魔力を流して確認してくれる。

「存在は残っているが浩司の魂に同化し始めている様に感じる。」
「それは、俺の中で消滅するって事か。」
「初めての事で明確な答えは言えないが、元々が拓のイメージの具現化されたもの。
 本人とは異なるが、かなり近い存在なのだろう。
 同じ魂として浩司の自我の一部となると言ったほうが正しいかもしれない。」
「それじゃ、消滅と変わらないじゃないか。」

俺は結局、助けられなかったのか。

『そんなことは無い。俺は救われた。
 拓さんを泣かせるなよ。魂の片隅で見ているからな。』

もう一人の言葉が頭に響く。なんとなくだが笑っている様に思えた。
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