異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
754 / 761

754落ち着け

しおりを挟む
再び立ち上がろうとする兵士達は、アスクがダークマインドを発動させて抑え込んでしまう。

『落ち着くんじゃ。少し頭を冷やせ。あれを殺す気か。』

グリムに言われ深呼吸をするが、やはり殺しても良いんじゃないだろうか?
正直、この世から居なくなった方が良い人間だ。
しかし、何処かで見た事のある顔なんだが・・・

思い出した時、俺はレイアローを貴族に打ち込んでいた。
直ぐに浩司が後ろから抱きしめられ、攻撃を止めさせられた。

「敵が城に籠城した時、余計な事を言って魔力暴走の引き金を作った男だ。
 あれで何人の兵士が無駄に亡くなったと思う。
 こんな奴、生かしておく必要はない。」
「落ち着け。頼むから落ち着いてくれ。」

浩司は俺を引きずる様にしてグリム達の方へと連れて行く。
少ししてバラン将軍を先頭に数人の騎士団がやって来る。
そして、その後ろからヨハン王子とサリナ姫、そしてガゼルス将軍の姿も有った。

「グリム大魔導士、アスク神官長。お待ちください。
 先ずは話を、お怒りを鎮めて頂けないでしょうか。」

サリナ姫がグリムとアスクに頭を下げる。
離れて様子を見ていた市民達はサリナ姫の対応と出てきた名前に驚きを隠せなかった。
『グリム大魔導士』それは誰もが知っている恐ろしい魔導士の名前。
この美しい青年がそうだと言うのか、誰もが信じられない気持ちで見ていた。
そして一部の人は『アスク神官長』という伝説のムハンマの神殿に出て来る名前と知っていたが、それをどう受け止めて良いのかも分からずにいた。

「サリナ様。顔をお上げください。
 儂等はこれ以上状況を悪化させない様にしたまでの事。頭に血が上っているのは拓じゃよ。
 あの様な貴族が居ては、アブラムとムーサーの様な人が再び現れるのではないかと心配しての事だと思うがな。」

サリナ姫が俺の方を向く。

「拓ちゃん、何が有ったのか教えてもらえないかしら。」

俺がサリナ姫に状況を説明し、貴族が破ったブルネリ公爵とヨギ魔導士の証明書を確認する。

「バラン将軍。この者達を連行しなさい。彼等の処分については改めて連絡します。」
「姫だと言って、こんな事が許されるとでも思っているのか。」

貴族が叫び一部の兵士が抵抗をする中、グリムからエスクプロードが叫ぶ貴族の頭上を飛び空中で爆発した。それも何発も・・・
さすがの貴族も口を閉ざし、兵士達は抵抗を止めた。
その様子を見ていた市民達は、このグリム大魔導士が本物だと思い知ることになった。

「私は、この魔道具がこの者の所有物だと知っています。貴族として恥を知りなさい。」

サリナ姫はバラン将軍に彼等を連行する様に命じた。

「彼には厳しい処分を下すわ。だから、落ち着いて。お願い。」

サリナ姫に言われ、俺は大きく息を吐き頷いた。
それを見て、浩司もやっと手を放してくれた。
ただ余りにも攻撃が強かった為、連行するのも大変な状態になっていた。

『エリアヒールという少し面白い治癒魔法を見せよう。』

アスクは俺にそう言うと、倒れている兵士達に向けて手を差し出すと、巨大な光で包んでしまう。
そして光が消えると、中に居た兵士達の怪我が治っていた。

『怪我人が多く、一人一人の対応では間に合わない時の魔法だ。
 少し面倒な魔法だが、覚えておけば便利だ。今度教えよう。』
『ありがとうございます。助かります。』
『なに、グリム殿を見ていて、私も鍛えてみたいと思っていた所だ。拓殿なら私以上の治癒魔導士に成れる。』

言葉を失ってしまった俺の後ろで、浩司が思わず笑っていた。
しかし、周囲は静まり返っていた。
アスクの強大な魔力と見た事の無い治癒魔法・・・アスクをムハンマの神殿の神官長として認めていた。


貴族とその私兵達が連れ出されるとサリナ姫が改めて俺達に話しかける。

「グリム大魔導士、アスク神官長、OZ、クリーム、アークの皆様。国王陛下にお会いして頂けないでしょうか。」

邪魔者が居なくなったというのに、サリナ姫は何て面倒な事を言うのだろう。
俺はこのまま姿を隠して、皆に後の事は任せてしまおうと考えていたのだが

「拓ちゃんもお願い。お父様は拓ちゃんと浩司さんの事は知りながらも、黙認していたのよ。
 でも今回の件で、国王として会わない訳にはいかないの。
 先に4本指の事は話してあるし、国王と一部の貴族しか立ち会わないから。」

サリナ姫に腕を掴まれてしまった。

「グリム大魔導士、アスク神官長。どうか宜しくお願いします。」
「サリナ様がそう言われるのであれば、国王陛下に会いましょう。」

グリムがそう言うのなら別に良いが、妙にサリナ姫を立てているように見える。

『拓は今まで世話になっているじゃろうが。それに、この先も迷惑を掛けるのなら礼を尽くす必要が有る。』

グリムが俺の頭に直接話しかけて来る。
俺は迷惑を掛けてないと思うが、浩司とアスクが頷いている。更に

『拓が町を発展させるとなると、国王にも恩を売っておいた方が良いにゃ。
 大体、拓のやりたい放題にゃんて迷惑という言葉で収まるかすら分からないのにゃ。』

ヤマトが余計な事を言うと、グリム、浩司だけでなくアスクにまで笑われてしまった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。

越路遼介
ファンタジー
篠永俊樹、五十四歳は三十年以上務めた消防士を早期退職し、日本一周の旅に出た。失敗の人生を振り返っていた彼は東尋坊で不思議な老爺と出会い、歳の離れた友人となる。老爺はその後に他界するも、俊樹に手紙を残してあった。老爺は言った。『儂はセイラシアという世界で魔王で、勇者に討たれたあと魔王の記憶を持ったまま日本に転生した』と。信じがたい思いを秘めつつ俊樹は手紙にあった通り、老爺の自宅物置の扉に合言葉と同時に開けると、そこには見たこともない大草原が広がっていた。

処理中です...