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●100万分の1●
エピローグ
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退院してしばらくは自宅療養中だったが、どうしても溜まっている仕事が気になり、健はリモートで内部処理や会議に参加していた。
『何もそこまで仕事をしなくても良いんじゃないか?休める時は休んでおけ』
リモート会議で葵が言うと、会議に参加してる他の役員も笑う。
「よく言いますよ。私のデスクが書類の山だったのは知ってますよ。稟議書に目を通して決裁をして、どんどん部下へ指示を出さないと、何もせずに復帰したらデスクが埋もれて見えなくなる」
健の冗談を聞いて、その場がホッとしているのがよく分かる。
必要とされている事が健にも喜びだった。
『分かった。分かった。全く、少しは俺を頼ってくれよ』
「もちろん頼りにしてます、社長」
健と葵の掛け合いに場は和んだまま会議も終了した。
『健』
会議室に葵だけが残り、まだリモートは繋がったままだった。
「はい?」
『品川真古登の件だが、依願退職の処理が終わった』
健から頼まれた件を葵は報告する。
菜々緒の件で弁護士が動いた事で、真古登と別れた菜々緒は東京を離れ、真古登は借金の返済の目処も立たず、結局は実家を頼らざるおえなくなった。
借金の返済のために、退職金を不足なく受け取る方がいいと考え、真古登は依願退職を選んだ。
「そうですか。問題を起こされる前に退職して良かったです」
菜々緒の事を思えば腑に落ちない点は多々あるが、弁護士が介入した事で菜々緒への脅迫材料の画像も消され、2度と菜々緒に近づかないと言う念書も書かされている。
『なぁ、元気になったら一緒に墓参りに行くか』
「そうですね。やっと全て終わりましたから」
葵は立ち上がり大きな窓の前に立つと、健と繋がるパソコンに顔を向けた。
『そろそろさ、敬語やめてくれねーか?』
「あ……」
健は葵をいつも親父と呼び、敬語で接していた。
『俺達は親子だろ?』
全てが解決し、葵ももう健に遠慮してほしくない。
「……うん」
健はなんだかくすぐったくて仕方ない。
葵のことは、ずっと尊敬の対象でもあった。
『パパって呼んでも良いぞ』
ニヤニヤ葵は笑い、健は鼻で笑う。
「……父さん、ありがとう。俺、父さんに見つけてもらえて本当に良かった」
『ばぁか。親子なんだ。どこに離れていようと見つけ出すさ』
たとえ血が繋がっていなくても、葵の愛情に健は幼い頃から包まれていた。
『さて、俺はまだ仕事だ。お前はゆっくり休んでおけ』
「はい」
ネットが切れると、健はデスクから離れてベッドに横になった。
次に目を覚ます時も、またいつもの日常である事を願いながら。
完
『何もそこまで仕事をしなくても良いんじゃないか?休める時は休んでおけ』
リモート会議で葵が言うと、会議に参加してる他の役員も笑う。
「よく言いますよ。私のデスクが書類の山だったのは知ってますよ。稟議書に目を通して決裁をして、どんどん部下へ指示を出さないと、何もせずに復帰したらデスクが埋もれて見えなくなる」
健の冗談を聞いて、その場がホッとしているのがよく分かる。
必要とされている事が健にも喜びだった。
『分かった。分かった。全く、少しは俺を頼ってくれよ』
「もちろん頼りにしてます、社長」
健と葵の掛け合いに場は和んだまま会議も終了した。
『健』
会議室に葵だけが残り、まだリモートは繋がったままだった。
「はい?」
『品川真古登の件だが、依願退職の処理が終わった』
健から頼まれた件を葵は報告する。
菜々緒の件で弁護士が動いた事で、真古登と別れた菜々緒は東京を離れ、真古登は借金の返済の目処も立たず、結局は実家を頼らざるおえなくなった。
借金の返済のために、退職金を不足なく受け取る方がいいと考え、真古登は依願退職を選んだ。
「そうですか。問題を起こされる前に退職して良かったです」
菜々緒の事を思えば腑に落ちない点は多々あるが、弁護士が介入した事で菜々緒への脅迫材料の画像も消され、2度と菜々緒に近づかないと言う念書も書かされている。
『なぁ、元気になったら一緒に墓参りに行くか』
「そうですね。やっと全て終わりましたから」
葵は立ち上がり大きな窓の前に立つと、健と繋がるパソコンに顔を向けた。
『そろそろさ、敬語やめてくれねーか?』
「あ……」
健は葵をいつも親父と呼び、敬語で接していた。
『俺達は親子だろ?』
全てが解決し、葵ももう健に遠慮してほしくない。
「……うん」
健はなんだかくすぐったくて仕方ない。
葵のことは、ずっと尊敬の対象でもあった。
『パパって呼んでも良いぞ』
ニヤニヤ葵は笑い、健は鼻で笑う。
「……父さん、ありがとう。俺、父さんに見つけてもらえて本当に良かった」
『ばぁか。親子なんだ。どこに離れていようと見つけ出すさ』
たとえ血が繋がっていなくても、葵の愛情に健は幼い頃から包まれていた。
『さて、俺はまだ仕事だ。お前はゆっくり休んでおけ』
「はい」
ネットが切れると、健はデスクから離れてベッドに横になった。
次に目を覚ます時も、またいつもの日常である事を願いながら。
完
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