僕と幼馴染と死神と――この世に未練を残す者、そして救われない者。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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File.10 死神さんは大概な性格。

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 帰路の途中、通学路に揺蕩ったり徘徊したりしている有象無象の霊を視ないように視線を泳がせてやり過ごす。

 SAN値正気度はゴリゴリ削られるものの無事に自室へと帰り着いた僕は、制服のままベットへと突っ伏したのだった――。


 だがしかし――。


『ご機嫌好う……』

 突っ伏してる僕の目の前。
 つまりベットの下から顔を通過させて覗き見ている死神さんが居た。


「どっから湧くんだよ! 僕をSAN値直葬正気度失って狂人化させる気かよ!」

 腕立て伏せの要領で素早く跳び退き、ベットに胡座を組んで憤慨する僕。

『滅相も御座いません』

 僕の胡座から頭を出して否定する死神さん。

「更に股座またぐらから顔出すなや! まず人を脅かさないように行動することをきちんと学べ!」

 憤慨しつつ股座から出している頭をポンポン叩いてやった。


 実際、叩けたのにも驚いていたり。


⁉︎ ……善処致します。――ところで!』

 股座をスルスルと擦り抜け、一旦、ベットの僕の上に揺蕩うと、一気に目と鼻の先まで天地逆向きの白骨の顔を押し付けてくるときた!


 そして――。


『――隣、宜しくて?』

 僕の魂の叫びを容赦なく無碍にして、最早、お約束のようにそう問うてくるときた。


 怖いから。あらゆる意味で怖いから。
 行動の全てが意味不明過ぎて怖いから。
 

「――ど、どうぞ」『失礼致します』

 止むなく了承すると、例の如く隣に座ると言うか揺蕩ってくれました。

「何しに?」

 例によって問うてみる。

『強いて言うなら特に何も』

 予想の斜め上の返答。


 殺意に変わった瞬間だった。


「ギャグに付き合う気分じゃねー!」

 怒り任せに纏っている黒いローブを引っ掴み、思いっきり引っ張ってやった!


 なんと、掴めちゃいました。


 黒いローブをひん剥かれ、裸体ならぬ骸骨を曝す死神さん。

『あ~れ~⁉︎ 、辱められる~。――貴方様は骨専ですか? なんたる剛の者』

 野太い男前な声で悲鳴をあげる真似をして、恐らくさぞかし大事な部分であろう場所を骨の手で覆い隠して何ぞほざく。

 見せられないよ、或いは黒ベタ。
 最近では光る、そんな場所。
 ただ、骨の手で隠したところで隠し切れてないし意味もない。

「喧しい! 骸骨見てもなんとも思わんわ! 欲情なんて絶対に有り得ないわ!」

 死神さんの元の超絶美人さんな姿を思い浮かべたらなんとか欲情できる?


 無理。


 目の前で女性が着替えてますよ的に、態々、黒いローブをもたもたと見せつけるように纏い直して僕の前に揺蕩う。

『冗談に御座います』「そうは見えんわ!」

 とかなんとか。
 余計に憤慨させられる僕。


 そして――。


『本当に申し訳ありませんでした』

 さっきまでの巫山戯た態度を改めて、礼儀正しく傅くと深々と頭を下げた。

「その変わり身の早さに脱帽だよ……急に何? ――もしかして凛音のこと? 或いは幼馴染のこと? さては僕を揶揄ったこと?」

『揶揄ったこと以外、全てに御座います』

「僕を揶揄うのは良いんかい!」

『本来、器たる身体を用意する筈に御座いましたが猶予がなく――実際は刻の女神が操作すれば、無限の時間を確保できたのですが……いかんせん代償が高くつきますので。――結果、安易で杜撰な対応をしてしまったが為に、ご迷惑をお掛けしたことへの謝罪です』

「色々と面倒臭い事情があるのは予想がつく。――でも、あー言う後味が最悪なのは今後はなしで」

『御意』

「用事ってそれだけ?」

『いえいえ、死神の力に関するレクチャーに伺ったので御座いますが――どうやら既に極自然に使えているようで』

「――は?」

『先ほど私に触れられたうえに掴めたでは御座いませんか。要は霊体や私のような高次存在に物理的に干渉できる――それこそがもう一つの死神の力です。教えずとも既に理解なさっておいでとは驚きました』

「なるほど――ホントだ。触感って言うの? ローブが布っぽく骨が固い質感まで解る。言われるまで、全然、知らなかったけどね?」


 死神さんをペタペタと触って確認する。


『あ、あまり変な――あ。ま、弄らないで下さいま――ん。流石に恥ずかしく――あふ――御座います』

 野太い男前な声で艶っぽい女性の仕草。
 更に骸骨で無表情ときた。


 破壊力絶大なオネェだね、全く。
 僕じゃなければ病んでるぞ?


「――キモい」『有難う御座います』

「お礼を言うなや! ――ところで幼馴染が入った凛音の様子は?」

『滞りなく全てが順調に御座います。明日になれば――あ、そろそろ失礼致します』

「途中で話し切ってとっとと去るのやめて! 無性に気になるから! ――って、速攻かよ」

 最初から最後までマイペースな死神さんに呆れる僕が、心からの魂の叫びをあげた頃には既に居なくなっていた――。



 ――――――――――
 誰が為に僕はゆく?
 それは僕のみぞ知る――。
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