2 / 24
Act.02 電話から始まる非日常のついて。②
しおりを挟む
「――それでね、人事異動の内示があって、近い内に一度そっちに帰国することになるから。もう少しだけ我慢してて、そーぢ。帰ったら飛びっきりの美味しい手料理を振る舞うから……って、あ、また呼び出し⁉︎ あの妖女――クシュン。お嬢様ったら本当にしつこいわね……じゃあ、切るわね?」
散々、愚痴ってスッキリしたのか、妙に怖い笑顔は形を潜め、普段通りの良く知った優しい笑顔でウィンクをしてくれた。
なんかピーピー電子音が鳴ってると思ったら、姉さんを呼び出すコール音だったのか……相変わらず忙しそうだね。
「楽しみにしてるよ。――オレも今働いてる職場は性に合ってて楽しいから、心配しなくても大丈夫。――また明日」
オレのスマホの画面が待ち受けに戻る。
ちなみに、待ち受け画像はオレの誕生日に一緒に撮った、姉さんの素敵なバストアップな笑顔。
たった今もリアルタイムで最愛の姉さんの素敵な笑顔が見れたオレは、昨日も今日も毎日が気力充実!
シスコン上等! 世間でバッシング喰らおーが間違ってよーがコレで良いんだ!
「目も覚めたし……起きてゲームの続きでもするかな」
もそもそと起き上がり、大きく背伸びをする。
窓のカーテンを開けて外を見やると、確かに朝の日差しではなかった。
その時だった――。
布団に投げ出していたオレのスマホが、再びブルブルと振動し始める。
「姉さんかな? ……ナニか言い忘れたことでもあったのかな?」
オレのスマホを怪訝そうに拾い上げ、発信者通知を見てみると――姉さんではなかった。
表示されているのは、オレが勤めている会社からだった。
「オレ、今日は休みなのに……もしもし、御手洗ですけど。どうかしましたか?」
大好きな姉さんの素敵な笑顔で英気を養ったのに台なしにされたオレは、渋々かつ本気の嫌々で電話に出た。
ちなみに、姉さんからの電話以外は全て音声会話オンリー。
「――お休みのところ、大変、申し訳御座いません。社長から御手洗くんに連絡する旨、仰せつかりまして。実は――」
電話の相手はオレの上司からだった。
姉さんほどではないけど、この上司も中々に容姿に恵まれている女性。
義理の姉って言うと言い過ぎだけど、オレの面倒をいつも良く見てくれる、気さくで優しい良いヒトだ――。
内容を聴いてみると、どうやらオレにも人事異動の内示が発令されたらしい。
でもさ……休みの日に、態々、電話を掛けてまで言うこと?
今日や明日の急務じゃなく異動ったって日程に余裕があるんだからさ、次の出社時でも良くね?
そう思ってしまったら態度と言うか声色に出てしまって、終始、不機嫌で無愛想な受け答えになってしまったオレだった。
出社したら、いの一番にキチンと謝っておこう。
「はぁ、解りました――では」
聴き終わると、そのまま通話を終了してスマホを布団にポイっと投げ出した。
「姉さんじゃないけど、ウチも大概にヒト遣いが荒いよな……全く」
オレの内示――辞令はこうだった。
長期旅行の為に不在にすることになった、とある店舗の代理営業を任された。
誰でも良いんじゃないですかとオレが尋ねる前に、どうしてもオレをご指名らしいことを伝えてきた。
依頼人の名を聴いて、オレをご指名な理由を直ぐに納得したけど。
仕事の内容は、店長代理として数人のスタッフの纏め役として派遣されるらしい。
昨日から改装に着手したとのことで、早ければ来月早々には、リニューアルオープンのセレモニーを行うと言った内容だった。
細かい打ち合わせを直ぐにしたいと言う、なんでも異様に上機嫌でノリノリなウチの社長の我が儘で、オレはいきなり休日に出社させられるハメになってしまったわけで。
「態々、休みの日に駆り出されるほど急務な用件はない気もするけど。――ま、他ならぬあのヒトからのご指名だから、オレとしては良いっちゃ良いけど……来月以降の予定で有れば、今直ぐでなくて良いんぢゃねーの?」
貴重な休みを潰された所為で、電話口では不機嫌になっただけ。
指名してきた人物の名を聴いたあとでは、この辞令は逆に願ったり叶ったりで、嬉しいことこの上なくだよ。
高校のバイト時代から数年間、親の居ないオレが独り立ちできるようにと、ありとあらゆる技術などをマンツーマンでみっちりと叩き込んでくれた――あのヒト。
お陰で、若干、二十歳にして店長職を任せて頂けるほどになれたんだから。
それだけではなく、私生活での便宜や手続きなどの、姉さんだけでは難しい身元保証人云々な世間一般の面倒なことに到るまで、嫌な顔一つせずに口利きや世話をしてくれた、本当の親にも等しいヒトだ。
社員に雇用された今現在も、未だ相談に乗ってもらったりと色々と世話になりっ放しだから、辞令については恩返しのつもりで精一杯に頑張ってみるさ。
「――良し! 代休は姉さんの帰って来る日に捥ぎ取るとして、さっさと用意して出掛けますか!」
速攻で会社の制服に身を包み、身嗜みもキチンと整え、大事なオレの愛車を部屋の壁掛けスタンドから下ろして準備する。
オレが高校時代に手に入れた、結構な値のつくマウンテンバイクだ。
あのヒトから技術のイロハを学んで最初に組み上げた、思い入れが深い自転車でもある。
「今こそ受けた恩を返させてもらいますよ、義父さん、義母さん。――この御手洗そーぢがバッチリ引き受けて差し上げますってね! ヒャッホーウ!」
自転車に乗って出掛けるには絶好の天気。
逸る気持ちを押さえてと言うか、奮い立つ気持ちを鎮めつつと言うか、詳しい打ち合わせの為に愛車を軽快に漕ぎ、急ぎ会社へと向かうのだった――。
―――――――――― つづく。
散々、愚痴ってスッキリしたのか、妙に怖い笑顔は形を潜め、普段通りの良く知った優しい笑顔でウィンクをしてくれた。
なんかピーピー電子音が鳴ってると思ったら、姉さんを呼び出すコール音だったのか……相変わらず忙しそうだね。
「楽しみにしてるよ。――オレも今働いてる職場は性に合ってて楽しいから、心配しなくても大丈夫。――また明日」
オレのスマホの画面が待ち受けに戻る。
ちなみに、待ち受け画像はオレの誕生日に一緒に撮った、姉さんの素敵なバストアップな笑顔。
たった今もリアルタイムで最愛の姉さんの素敵な笑顔が見れたオレは、昨日も今日も毎日が気力充実!
シスコン上等! 世間でバッシング喰らおーが間違ってよーがコレで良いんだ!
「目も覚めたし……起きてゲームの続きでもするかな」
もそもそと起き上がり、大きく背伸びをする。
窓のカーテンを開けて外を見やると、確かに朝の日差しではなかった。
その時だった――。
布団に投げ出していたオレのスマホが、再びブルブルと振動し始める。
「姉さんかな? ……ナニか言い忘れたことでもあったのかな?」
オレのスマホを怪訝そうに拾い上げ、発信者通知を見てみると――姉さんではなかった。
表示されているのは、オレが勤めている会社からだった。
「オレ、今日は休みなのに……もしもし、御手洗ですけど。どうかしましたか?」
大好きな姉さんの素敵な笑顔で英気を養ったのに台なしにされたオレは、渋々かつ本気の嫌々で電話に出た。
ちなみに、姉さんからの電話以外は全て音声会話オンリー。
「――お休みのところ、大変、申し訳御座いません。社長から御手洗くんに連絡する旨、仰せつかりまして。実は――」
電話の相手はオレの上司からだった。
姉さんほどではないけど、この上司も中々に容姿に恵まれている女性。
義理の姉って言うと言い過ぎだけど、オレの面倒をいつも良く見てくれる、気さくで優しい良いヒトだ――。
内容を聴いてみると、どうやらオレにも人事異動の内示が発令されたらしい。
でもさ……休みの日に、態々、電話を掛けてまで言うこと?
今日や明日の急務じゃなく異動ったって日程に余裕があるんだからさ、次の出社時でも良くね?
そう思ってしまったら態度と言うか声色に出てしまって、終始、不機嫌で無愛想な受け答えになってしまったオレだった。
出社したら、いの一番にキチンと謝っておこう。
「はぁ、解りました――では」
聴き終わると、そのまま通話を終了してスマホを布団にポイっと投げ出した。
「姉さんじゃないけど、ウチも大概にヒト遣いが荒いよな……全く」
オレの内示――辞令はこうだった。
長期旅行の為に不在にすることになった、とある店舗の代理営業を任された。
誰でも良いんじゃないですかとオレが尋ねる前に、どうしてもオレをご指名らしいことを伝えてきた。
依頼人の名を聴いて、オレをご指名な理由を直ぐに納得したけど。
仕事の内容は、店長代理として数人のスタッフの纏め役として派遣されるらしい。
昨日から改装に着手したとのことで、早ければ来月早々には、リニューアルオープンのセレモニーを行うと言った内容だった。
細かい打ち合わせを直ぐにしたいと言う、なんでも異様に上機嫌でノリノリなウチの社長の我が儘で、オレはいきなり休日に出社させられるハメになってしまったわけで。
「態々、休みの日に駆り出されるほど急務な用件はない気もするけど。――ま、他ならぬあのヒトからのご指名だから、オレとしては良いっちゃ良いけど……来月以降の予定で有れば、今直ぐでなくて良いんぢゃねーの?」
貴重な休みを潰された所為で、電話口では不機嫌になっただけ。
指名してきた人物の名を聴いたあとでは、この辞令は逆に願ったり叶ったりで、嬉しいことこの上なくだよ。
高校のバイト時代から数年間、親の居ないオレが独り立ちできるようにと、ありとあらゆる技術などをマンツーマンでみっちりと叩き込んでくれた――あのヒト。
お陰で、若干、二十歳にして店長職を任せて頂けるほどになれたんだから。
それだけではなく、私生活での便宜や手続きなどの、姉さんだけでは難しい身元保証人云々な世間一般の面倒なことに到るまで、嫌な顔一つせずに口利きや世話をしてくれた、本当の親にも等しいヒトだ。
社員に雇用された今現在も、未だ相談に乗ってもらったりと色々と世話になりっ放しだから、辞令については恩返しのつもりで精一杯に頑張ってみるさ。
「――良し! 代休は姉さんの帰って来る日に捥ぎ取るとして、さっさと用意して出掛けますか!」
速攻で会社の制服に身を包み、身嗜みもキチンと整え、大事なオレの愛車を部屋の壁掛けスタンドから下ろして準備する。
オレが高校時代に手に入れた、結構な値のつくマウンテンバイクだ。
あのヒトから技術のイロハを学んで最初に組み上げた、思い入れが深い自転車でもある。
「今こそ受けた恩を返させてもらいますよ、義父さん、義母さん。――この御手洗そーぢがバッチリ引き受けて差し上げますってね! ヒャッホーウ!」
自転車に乗って出掛けるには絶好の天気。
逸る気持ちを押さえてと言うか、奮い立つ気持ちを鎮めつつと言うか、詳しい打ち合わせの為に愛車を軽快に漕ぎ、急ぎ会社へと向かうのだった――。
―――――――――― つづく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる