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4章 友達はいかがでしょうか
21 初めての友達
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ヴィヴィアンヌに急に連れ去られ、私はヴィヴィアンヌの馬に相乗りさせられた。
私を誘拐しようとしているわけではないようで、彼女は陽気に話しかけてきた。
「近くの村で祭りをやりますの! カナリア様もすごく楽しめますわ!」
「ええ……ありがとう」
頭を抱えてしまう事態になったが、だいぶ屋敷から離れてしまったため私一人で帰るのも難しい。
とりあえずはヴィヴィアンヌと一緒にいることが賢明だろう。
一応、目印になるように小瓶から着色した水滴を落としていく。
「ところでどうして私だけを連れ出したの?」
こういう時は直接的に聞いたほうがいい。
あんな無理矢理な方法で連れ去るのなら、何か見返りがないとおかしい。
私が尋ねると、ヴィヴィアンヌの頬が吊り上がり、本題が来ると身構えた。
「もちろんカナリア様とお友達になりたいからですわ!」
「……え?」
私は聞き返したが、同じような答えしか返ってこないため、諦めて馬に揺られた。
村にたどり着くと、本当に祭りをしていた。
馬を停めて、ヴィヴィアンヌが私の腕を引っ張っていこうとする。
「さあ、行きますわ──」
「見つけました!」
声の方向を見ると、そこにはエマが馬に乗って追いかけていた。
「もう追い付きましたの!?」
目印を辿ってきてくれたようだ。
馬で駆け寄ってきて、ヴィヴィアンヌと私の間に入った。
「カナリア様に無礼な真似は許しません!」
エマは馬から降りて私を守るように腕を広げて前に出た。
「カナリア様のメイドは凄いのですね。まあ、いいですわ! みんなで回ったほうが楽しいですし、ほら行きましょう!」
ヴィヴィアンヌは全くお構いなしで私たちの腕を引っ張っていく。
この子に緊張感という言葉は無縁なのかもしれない。
「カナリア様、お怪我はありませんか?」
「ええ。彼女に危害を加えるつもりはないようですからしばらくは様子を見ましょう」
エマは頷いて、私の判断に任せるつもりのようだ。
広場に行くと、賑わっている村人でいっぱいだった。
普通の田舎という感じで、気持ちがほっこりとしてくる。
「おや、ヴィヴィアンヌ様?」
村人の一人がヴィヴィアンヌに気付いて近付いてきた。
「こんにちは! もう始まってますのね!」
「はい。やはり祭りは気持ちを明るくしますのでね。ところで今日はものすごくお偉い方が来るのではなかったですか? こんなところに居たらまた旦那様に怒られますよ」
「大丈夫ですわ! ここに連れてきましたから!」
ヴィヴィアンヌが私の肩を持ってぐいっと前に出させる。
「お友達になりました、カナリア様です! ぜひこの村の良いところを見せてほしいですわ!」
「か、カナリアです。よろしくお願いいたします」
思わず真面目に挨拶をしてしまった。
相手も唖然とした表情となり、しばらくしてからやっと我に返った。
「こ、これはおもてなしも出来ずに申し訳ございません。すぐに専用の席を御用意しますので!」
村人は私が止める声も聞かずに慌てて走り出した。
するとすぐにたくさんの村人達が私たちの席を作ってくれた。
「さあ、カナリア様座ってください!」
ヴィヴィアンヌに促されるままに私は席に座った。
どんどん料理が運ばれ、私では食べきれないほどの料理が並んだ。
「ヴィヴィちゃんのお友達のお貴族様なんだって! そんな細い体だとここでは持たないよ!」
「ありがとう、ございます……」
たくさんの果物を渡され、どう接していいか分からずにとりあえず笑顔で返した。
「やっぱり帝国様のお貴族様はお綺麗だな」
「いいや、ヴィヴィちゃんだって負けてないべ」
「ヴィヴィちゃんの場合にはお転婆過ぎるのがな。並ぶだけでこの方とオーラが違うがな」
村人達は貴族だということを気にせずに思ったことを口にする。
人と人との距離が近いのは田舎の領地ではたまに聞く話だ。
「ふふん! カナリア様はすごいのですわよ! 第二王子のシリウス様の婚約者でもあり、なんと太陽神の試練を受けさせるように国王様に詰め寄ったのよ!」
「ちょっと!」
まるで私が無理矢理に試練を受けたように聞こえる。
案の定、村人達は「ほぅー、やっぱり帝国のお貴族様は度胸があるなぁ」と勝手に私の評価が上がっていく。
これは何を言っても無駄なようだ。
お腹が空いてきたので、この国に来て見慣れた平っべたいパンを手に取って、いつものようにパンの上に料理を載せていく。
「カナリア様、まだ毒味が──」
「大丈夫よ。ほら、貴女もお腹空いたでしょ? 私に遠慮せずに食べてね」
エマが心配そうに尋ねたが、この村人たちに悪い気はしなかった。
料理を載せたパンを丸めて思いっきり齧り付くと、村人達が私の食べるのをジーッと見ていた。
「えっと……どうかしましたか?」
どうしてそんなに見つめるのだろう。
ヴィヴィアンヌも驚いた顔で手を口元にやる。
「カナリア様は結構男性みたいにがっつくような食べ方をなさるのですね」
──なんですって!?
これが普通とシリウスに教わったはずなのだが。
何だか恥ずかしくなってきたが、村人たちは逆に盛り上がり出した。
「おらおら、お前ら! カナリア様にお食事を持ってこい!」
「カナリア様に俺たちの音楽も見せるぞ!」
祭りはどんどん盛り上がっていき、私は戸惑いながらも祭りを楽しんだ。
「カナリア様が楽しんでくださって良かったですわ」
ヴィヴィアンヌから言われ、時間を忘れて楽しんで自分に何だか気恥ずかしさがあった。
急に連れ去られたこともあって自分の気持ちを正直に言うのも癪だった。
「まあ……つまらなくはなかったわね」
「面白くはなかったですか? ごめんなさい、ですわ……」
少し遠回しに言うと彼女の声が分かりやすく落ち込んでいた。
私は慌てて訂正する。
「面白かったわよ! 料理も美味しかったし!」
「本当ですの! ならまた別の村でも祭りがあるみたいだから行きましょうね!」
「貴女、実はちゃっかり者でしょ……」
何だかこの子の術中にハマっている気もするが気にしないようにしよう。
ヴィヴィアンヌは村人達に呼ばれてどこかへ行く。
すると長老がやってきて話をしたいと席に座った。
「今日はご参加頂きありがとうございました」
「こちらこそお招き感謝いたします。皆さん活気があって良い村ですね」
「そう言ってもらえると嬉しい限りです。ヴィヴィ様が引っ張ってくれるからこそこの村はあるのですよ」
長老は楽しそうに談笑しているヴィヴィアンヌを見守るような目で見つめた。
そして私へ再度目を向けた。
「この領地は呪いのせいで悪評が広まってしまい、物を売ってくれる商人の足も途絶え出して一時は大変だったのですよ」
「呪い……」
この領地で急激に広まった病のことだろう。
急に皮膚に発疹が出てきて、ひどい者だと皮膚が変形してしまうほどらしい。
その見た目からまるで呪いだと言われている。
何個か思い当たる病状があるが、おそらくは感染症の類のはずだ。
「ヴィヴィ様は学校でも呪いの子として辛い時期をお過ごしになっていましたが、常に私たちのために気丈に振る舞ってくれます。お友達の話というのを聞いたことがありませんでしたので、お友達を連れてきたと聞いて大変驚いていました」
──まだ友達というほど深い関係ではありませんが……。
彼女と出会ったばかりでお互いのことをまだ知らない。
しかし彼女の人柄はなんとなく分かってきた。
「どうか、ヴィヴィ様をお頼みします。いつも無理をしすぎてしまうゆえ」
「ええ……」
ふと彼女はどうしてこんなに私に構ってくるのだろうか。
色々と気になることはあったが、それは少しずつ知っていけばいいだろう。
「カナリア! 無事か!」
しばらくしてからシリウスとヴィヴィアンヌの両親がやってきた。
ヴィヴィアンヌは母親に耳を引っ張られ、父親からは何度も頭を下げられて謝られた。
私を誘拐しようとしているわけではないようで、彼女は陽気に話しかけてきた。
「近くの村で祭りをやりますの! カナリア様もすごく楽しめますわ!」
「ええ……ありがとう」
頭を抱えてしまう事態になったが、だいぶ屋敷から離れてしまったため私一人で帰るのも難しい。
とりあえずはヴィヴィアンヌと一緒にいることが賢明だろう。
一応、目印になるように小瓶から着色した水滴を落としていく。
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私が尋ねると、ヴィヴィアンヌの頬が吊り上がり、本題が来ると身構えた。
「もちろんカナリア様とお友達になりたいからですわ!」
「……え?」
私は聞き返したが、同じような答えしか返ってこないため、諦めて馬に揺られた。
村にたどり着くと、本当に祭りをしていた。
馬を停めて、ヴィヴィアンヌが私の腕を引っ張っていこうとする。
「さあ、行きますわ──」
「見つけました!」
声の方向を見ると、そこにはエマが馬に乗って追いかけていた。
「もう追い付きましたの!?」
目印を辿ってきてくれたようだ。
馬で駆け寄ってきて、ヴィヴィアンヌと私の間に入った。
「カナリア様に無礼な真似は許しません!」
エマは馬から降りて私を守るように腕を広げて前に出た。
「カナリア様のメイドは凄いのですね。まあ、いいですわ! みんなで回ったほうが楽しいですし、ほら行きましょう!」
ヴィヴィアンヌは全くお構いなしで私たちの腕を引っ張っていく。
この子に緊張感という言葉は無縁なのかもしれない。
「カナリア様、お怪我はありませんか?」
「ええ。彼女に危害を加えるつもりはないようですからしばらくは様子を見ましょう」
エマは頷いて、私の判断に任せるつもりのようだ。
広場に行くと、賑わっている村人でいっぱいだった。
普通の田舎という感じで、気持ちがほっこりとしてくる。
「おや、ヴィヴィアンヌ様?」
村人の一人がヴィヴィアンヌに気付いて近付いてきた。
「こんにちは! もう始まってますのね!」
「はい。やはり祭りは気持ちを明るくしますのでね。ところで今日はものすごくお偉い方が来るのではなかったですか? こんなところに居たらまた旦那様に怒られますよ」
「大丈夫ですわ! ここに連れてきましたから!」
ヴィヴィアンヌが私の肩を持ってぐいっと前に出させる。
「お友達になりました、カナリア様です! ぜひこの村の良いところを見せてほしいですわ!」
「か、カナリアです。よろしくお願いいたします」
思わず真面目に挨拶をしてしまった。
相手も唖然とした表情となり、しばらくしてからやっと我に返った。
「こ、これはおもてなしも出来ずに申し訳ございません。すぐに専用の席を御用意しますので!」
村人は私が止める声も聞かずに慌てて走り出した。
するとすぐにたくさんの村人達が私たちの席を作ってくれた。
「さあ、カナリア様座ってください!」
ヴィヴィアンヌに促されるままに私は席に座った。
どんどん料理が運ばれ、私では食べきれないほどの料理が並んだ。
「ヴィヴィちゃんのお友達のお貴族様なんだって! そんな細い体だとここでは持たないよ!」
「ありがとう、ございます……」
たくさんの果物を渡され、どう接していいか分からずにとりあえず笑顔で返した。
「やっぱり帝国様のお貴族様はお綺麗だな」
「いいや、ヴィヴィちゃんだって負けてないべ」
「ヴィヴィちゃんの場合にはお転婆過ぎるのがな。並ぶだけでこの方とオーラが違うがな」
村人達は貴族だということを気にせずに思ったことを口にする。
人と人との距離が近いのは田舎の領地ではたまに聞く話だ。
「ふふん! カナリア様はすごいのですわよ! 第二王子のシリウス様の婚約者でもあり、なんと太陽神の試練を受けさせるように国王様に詰め寄ったのよ!」
「ちょっと!」
まるで私が無理矢理に試練を受けたように聞こえる。
案の定、村人達は「ほぅー、やっぱり帝国のお貴族様は度胸があるなぁ」と勝手に私の評価が上がっていく。
これは何を言っても無駄なようだ。
お腹が空いてきたので、この国に来て見慣れた平っべたいパンを手に取って、いつものようにパンの上に料理を載せていく。
「カナリア様、まだ毒味が──」
「大丈夫よ。ほら、貴女もお腹空いたでしょ? 私に遠慮せずに食べてね」
エマが心配そうに尋ねたが、この村人たちに悪い気はしなかった。
料理を載せたパンを丸めて思いっきり齧り付くと、村人達が私の食べるのをジーッと見ていた。
「えっと……どうかしましたか?」
どうしてそんなに見つめるのだろう。
ヴィヴィアンヌも驚いた顔で手を口元にやる。
「カナリア様は結構男性みたいにがっつくような食べ方をなさるのですね」
──なんですって!?
これが普通とシリウスに教わったはずなのだが。
何だか恥ずかしくなってきたが、村人たちは逆に盛り上がり出した。
「おらおら、お前ら! カナリア様にお食事を持ってこい!」
「カナリア様に俺たちの音楽も見せるぞ!」
祭りはどんどん盛り上がっていき、私は戸惑いながらも祭りを楽しんだ。
「カナリア様が楽しんでくださって良かったですわ」
ヴィヴィアンヌから言われ、時間を忘れて楽しんで自分に何だか気恥ずかしさがあった。
急に連れ去られたこともあって自分の気持ちを正直に言うのも癪だった。
「まあ……つまらなくはなかったわね」
「面白くはなかったですか? ごめんなさい、ですわ……」
少し遠回しに言うと彼女の声が分かりやすく落ち込んでいた。
私は慌てて訂正する。
「面白かったわよ! 料理も美味しかったし!」
「本当ですの! ならまた別の村でも祭りがあるみたいだから行きましょうね!」
「貴女、実はちゃっかり者でしょ……」
何だかこの子の術中にハマっている気もするが気にしないようにしよう。
ヴィヴィアンヌは村人達に呼ばれてどこかへ行く。
すると長老がやってきて話をしたいと席に座った。
「今日はご参加頂きありがとうございました」
「こちらこそお招き感謝いたします。皆さん活気があって良い村ですね」
「そう言ってもらえると嬉しい限りです。ヴィヴィ様が引っ張ってくれるからこそこの村はあるのですよ」
長老は楽しそうに談笑しているヴィヴィアンヌを見守るような目で見つめた。
そして私へ再度目を向けた。
「この領地は呪いのせいで悪評が広まってしまい、物を売ってくれる商人の足も途絶え出して一時は大変だったのですよ」
「呪い……」
この領地で急激に広まった病のことだろう。
急に皮膚に発疹が出てきて、ひどい者だと皮膚が変形してしまうほどらしい。
その見た目からまるで呪いだと言われている。
何個か思い当たる病状があるが、おそらくは感染症の類のはずだ。
「ヴィヴィ様は学校でも呪いの子として辛い時期をお過ごしになっていましたが、常に私たちのために気丈に振る舞ってくれます。お友達の話というのを聞いたことがありませんでしたので、お友達を連れてきたと聞いて大変驚いていました」
──まだ友達というほど深い関係ではありませんが……。
彼女と出会ったばかりでお互いのことをまだ知らない。
しかし彼女の人柄はなんとなく分かってきた。
「どうか、ヴィヴィ様をお頼みします。いつも無理をしすぎてしまうゆえ」
「ええ……」
ふと彼女はどうしてこんなに私に構ってくるのだろうか。
色々と気になることはあったが、それは少しずつ知っていけばいいだろう。
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