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9. 変化の理由
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「そろそろお暇しよう」
パーティーが再開してから10分、突然そんなことを言われ、思わず聞き返してしまった。
「もう、ですか?」
「アレシアが楽しめてなさそうだからね。リリア嬢のことが気になってるのか?」
「はい。いくら腹が立ってても、妹に死なれるのは嫌ですもの」
クラウス様の問いかけにそう答える私。
謝られる前に死なれるのは嫌だから、という理由もある。
でも、それ以上に、半分とはいえ血を分けた妹にこんな下らない理由で命を落としては欲しくなかった。
「なるほどな」
納得するように頷くクラウス様。
この会話から時間が経たないうちに医務室の前に着いて、私はノックをして扉を開けた。
「今まで何をしていた!」
直後、そんな怒鳴り声が耳に入ってきた。
「お暇をいただくまで、パーティーに参加していましたわ」
「妹が大怪我をしたのによくそんなことが出来るな!?」
正直に答えただけなのに、お父様はさらに声を荒げた。
それを見て、クラウス様は蔑むような視線を送っている。
「助けは出しましたわ」
「あの水はお前の仕業だというのか?
笑わせるな。お前は水を手元に生み出すことしか出来ないはずだ」
そう口にするお父様。
確かに、8年前まではそれしか出来なかった。
でも、こっそり練習するうちに水を自在に操れるようになっている。
でも、事実を伝えても損しかしないと分かっていたから、魔法のことは誤魔化すつもりでいた。
正直に言って、この反応はありがたかった。
「ええ、そうですわね。でも、お医者様を呼んだのは私ですわ」
「そうか。でも、付き添わなくてもいい理由にはならないぞ?
もういい、出て行け」
そう言って手を振るお父様。
そんな時だった。
「お姉様を追い出さないで……」
弱々しい声がカーテンの向こうから聞こえて来た。
「何故だ?」
「分からないなら、一旦廊下に出てください」
「分かった……」
渋々といった様子で医務室を後にするお父様。
「お姉様、そばに来て欲しいですわ……
「分かったわ」
弱っているリリアのお願いを断ることは出来なかった。
「今まで酷いことをしてごめんなさい……」
カーテンの中に入るとそんなことを言われて、私は戸惑った。
「唐突ね?」
「こんなに辛いことだとは思わなかったの。
言い訳みたいになってしまうけど、お母様に命令されて侍女の仕事をお願いしていたの。でも、支配しているって感じがして、何か気に入らないことがあったらお姉様に当たっていたのは私の意志。
本当にごめんなさい。こんなことで許してもらえるとは思ってないけど、せめて気持ちだけでも……」
そこで息を吸うリリア。私は静かに続きを待った。
「酷いことをしたのに、助けてくれてありがとう」
「気付いていたのね」
「お茶に入ってる魔力と同じものを感じたの」
この言葉を聞いて、私は衝撃を受けた。
魔力を感じることが出来る人は、魔法の使い手に限られるから。
つまり、これは……。
「もしかして、貴女も魔法が使えるの?」
「お姉様には及ばないけど、一応使えるわ。でも、このことを知られたらお父様に何をされるか分からないから、黙っていたの」
リリアもクズ親父ことお父様のことを恐れていたらしい。
もしかしたら、私を攻撃することで身を守ろうとしていたのかもしれない。
そう思うと、なんともいえない気持ちになった。
「貴女も怯えていたのね……」
「でも、お姉様に酷いことをしていい理由にはならないから……」
申し訳なさそうにそう言われて、私はリリアが反省していることを悟った。
そして、助けて良かったと本気で思ったを
「そうね。これだけは一応言っておくわ。
今は貴女のことを許すつもりは欠片もないから」
「うん……」
「最初から姉妹らしくしたかったわ」
「本当にごめんなさい……」
本心を告げると、涙を零しながらそう言われて。
「分かってくれたらそれで十分よ」
私はそれだけ言って、カーテンの外に出た。
パーティーが再開してから10分、突然そんなことを言われ、思わず聞き返してしまった。
「もう、ですか?」
「アレシアが楽しめてなさそうだからね。リリア嬢のことが気になってるのか?」
「はい。いくら腹が立ってても、妹に死なれるのは嫌ですもの」
クラウス様の問いかけにそう答える私。
謝られる前に死なれるのは嫌だから、という理由もある。
でも、それ以上に、半分とはいえ血を分けた妹にこんな下らない理由で命を落としては欲しくなかった。
「なるほどな」
納得するように頷くクラウス様。
この会話から時間が経たないうちに医務室の前に着いて、私はノックをして扉を開けた。
「今まで何をしていた!」
直後、そんな怒鳴り声が耳に入ってきた。
「お暇をいただくまで、パーティーに参加していましたわ」
「妹が大怪我をしたのによくそんなことが出来るな!?」
正直に答えただけなのに、お父様はさらに声を荒げた。
それを見て、クラウス様は蔑むような視線を送っている。
「助けは出しましたわ」
「あの水はお前の仕業だというのか?
笑わせるな。お前は水を手元に生み出すことしか出来ないはずだ」
そう口にするお父様。
確かに、8年前まではそれしか出来なかった。
でも、こっそり練習するうちに水を自在に操れるようになっている。
でも、事実を伝えても損しかしないと分かっていたから、魔法のことは誤魔化すつもりでいた。
正直に言って、この反応はありがたかった。
「ええ、そうですわね。でも、お医者様を呼んだのは私ですわ」
「そうか。でも、付き添わなくてもいい理由にはならないぞ?
もういい、出て行け」
そう言って手を振るお父様。
そんな時だった。
「お姉様を追い出さないで……」
弱々しい声がカーテンの向こうから聞こえて来た。
「何故だ?」
「分からないなら、一旦廊下に出てください」
「分かった……」
渋々といった様子で医務室を後にするお父様。
「お姉様、そばに来て欲しいですわ……
「分かったわ」
弱っているリリアのお願いを断ることは出来なかった。
「今まで酷いことをしてごめんなさい……」
カーテンの中に入るとそんなことを言われて、私は戸惑った。
「唐突ね?」
「こんなに辛いことだとは思わなかったの。
言い訳みたいになってしまうけど、お母様に命令されて侍女の仕事をお願いしていたの。でも、支配しているって感じがして、何か気に入らないことがあったらお姉様に当たっていたのは私の意志。
本当にごめんなさい。こんなことで許してもらえるとは思ってないけど、せめて気持ちだけでも……」
そこで息を吸うリリア。私は静かに続きを待った。
「酷いことをしたのに、助けてくれてありがとう」
「気付いていたのね」
「お茶に入ってる魔力と同じものを感じたの」
この言葉を聞いて、私は衝撃を受けた。
魔力を感じることが出来る人は、魔法の使い手に限られるから。
つまり、これは……。
「もしかして、貴女も魔法が使えるの?」
「お姉様には及ばないけど、一応使えるわ。でも、このことを知られたらお父様に何をされるか分からないから、黙っていたの」
リリアもクズ親父ことお父様のことを恐れていたらしい。
もしかしたら、私を攻撃することで身を守ろうとしていたのかもしれない。
そう思うと、なんともいえない気持ちになった。
「貴女も怯えていたのね……」
「でも、お姉様に酷いことをしていい理由にはならないから……」
申し訳なさそうにそう言われて、私はリリアが反省していることを悟った。
そして、助けて良かったと本気で思ったを
「そうね。これだけは一応言っておくわ。
今は貴女のことを許すつもりは欠片もないから」
「うん……」
「最初から姉妹らしくしたかったわ」
「本当にごめんなさい……」
本心を告げると、涙を零しながらそう言われて。
「分かってくれたらそれで十分よ」
私はそれだけ言って、カーテンの外に出た。
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