悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する

青の雀

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 マリアベルーナは、今まで諦めの人生を送ってきたことに対し、恥じてはいないが、後悔しているところもある。

 ベネディクト様は、しょっちゅう王都から、ヘミングウエイ領主の館に来て、あれこれ、マリアベルーナの世話を甲斐甲斐しく焼いてくださっている。

 そしてまた、ヘミングウエイさんも同様に、いろいろお世話をしてくださる。

 二人ともタイプは異なるが、美丈夫だから、マリアベルーナの心臓に悪い。

 王太子殿下は、銀髪に銀眼、ヘミングウエイさんは、紺の髪色に青い瞳が印象的。二人とも慎重185センチぐらいあり、スラリと伸びた手足に胸板が厚い。

 どちらもカッコよくて、どちらも彼氏にしたいと思うのは、欲張りすぎだろうか?

 二人から、すでにプロポーズをされているが、まだ、どちらを選ぶか決めかねている。

 でも、このサンフランシスコにいることは、ほぼ決定事項だから、王妃陛下にお手紙することにしました。

 内容は、元気にやっているということと、王太子と辺境伯、実は同級生で従兄弟同士の二人から同時にプロポーズされて、どちらを選ぶか決めかねているということや、アマリリスでの暮らしが陰惨たるものだったことを書き加えて、伝書鳩に託す。

 聖女様になったのだから、転移魔法という手段もあったけど、今、王妃陛下にお会いしたら里心が付きかねない。

 だから、あえて伝書鳩を遣う。

 王妃陛下から、すぐお返事が届き、サンフランシスコとブランシェで文通するようになってしまった。

 王妃陛下の采配で、投獄されていたアマリリスの使用人たちは、皆、断頭台送りになってしまったらしいということを手紙で知る。

 やっぱり、普通よりもひどい扱いをされていたことを改めて認識する。肝心のお父様やお義母様、異母妹のことは、消息に触れられていないので、平民落ちになったとばかり思っていたのだ。

 レオンハルトは、どうでもよかった。たぶん、廃嫡にはなっていると思っていたから、手紙でもあえて書かなかったのだ。

 政略結婚とは、そういうもの。生前の母から、口癖のように言われ続けてきたから。

 だから、マリアベルーナは、恋愛結婚をしたいと思っている。しかも、その候補は見目麗しい殿方が二人も同時に、マリアベルーナに恋をしてくださっている。

 こんな幸せなことはない。

 気持ち的には、第1印象から4対6の割合でヘミングウエイ様が優っているけど、この先、どうなるかわからない。

 マリアベルーナは、しばらく二人相手の恋模様を愉しみたい。

 ブランシェ国は表向き一夫一妻制だったけど、サンフランシスコ国では、多夫一妻制も充分アリだと、王妃陛下から教えられ、目を輝かせているマリアベルーナ。

 特に聖女様を妻にしたいと考える殿方が多くいるので、聖女様だけは例外に当てはまるとか?

 ハッキリとは言明されなかったけど、聖女様が王族と結婚する場合、王位に就くのは聖女様で、王配、男妾の序列は、聖女様が産んだ子供の髪色などで決まるというものらしい。

 ふうん。それなら、マリアベルーナの選択は一択しかない。マリアベルーナは、女王になるなんて、まっぴらごめんだから、ヘミングウエイ様との婚儀しか考えられない。愛する夫と愛する子供たちに囲まれて、幸せに暮らしたいと願っている。

 ヘミングウエイ様となら、辺境の地で国境線にも近い。母のお墓参りも、その気になればすぐに行ける立地もいい。

 でも、せっかくモテ期に入ったばかりなのだから、しばらく恋愛を楽しみたいというのも本音にある。

 まだまだ若いし、それに今度は異母妹リリアーヌに邪魔される心配もないだろうから、ゆっくり考え結論を急がなくてもいいという気楽さがある。

 一年後、教会のベルが鳴り響く。

 たくさんのサンフランシスコ国民が教会の前に集まってくれて、来てくれた民衆に笑顔で祝福を授けるマリアベルーナの姿が眩しく、より一層美しさに磨きがかかっている。

 このニュースは、全世界を駆け巡り、数多くのマリアベルーナファンが悔し涙を流したという噂まである。

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