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アントニウス様は、パトリシアとギルバートの関係を知っていながら、父の陛下にパトリシアとの婚約を願い出たという。
母の王妃様の後押しもあり、陛下は、次の婚約者をギルバートからアントニウスへ変更したいと考えられた。
パトリシアは、5歳の頃より10年間お妃教育をしてきて、終了している。諸外国の政治経済的な事情や姻戚関係、外国語のマスター、諸外国のマナーなど徹底的に仕込まれている。
他に同等の教育を受けているのは、王妃様ぐらいしかいない。だから、ギルバートと婚約解消した後、他の誰かとすぐ婚約者になることは事実上の不可能なことに近い。
それは一朝一夕では、到底身につかないレベルのものである。
アントニウスにとっても、これほど好条件の相手はいない。
それにアントニウスは昔から、パトリシアに恋焦がれていたのだ。アントニウスの気持ちを両親は知っていた。だからこそ、息子の初恋の相手を婚約者にしたいという心情もわからなくはない。
さりとて、ミュンヘン家側からすれば、失意のどん底にある娘を、またしても王家に嫁がせるような婚約をして、果たして幸せになれるだろうかという懸念がある。
また時が過ぎれば、弄ばれるだけ、弄ばれて捨てられるという可能性がないわけではない。
今すぐ結婚というわけにはいかないのだ。ギルバートとのためのウエディングドレスはもう出来上がっているが、身ごもっている可能性もあるから、それがハッキリするまで、身動きが取れない状態にいる。
白い婚約者のままなら、今すぐ結婚や修道院という可能性もなくはない。だが、ギルバートによってキズモノにされた我が身を考えれば、今はジッとしているしか他はない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、ギルバートは聖女様との旅行に浮かれているが、パトリシアの味を知っているギルバートは少々物足りなさを感じていることも事実。
やっぱり、パトリシアが最高にイイ。帰ったら、パトリシアを召し出そうと考えていると、そこに陛下からの通告書が届く。
「……」
突然の王位継承権はく奪と廃嫡に目を剥くが、ここは遠く異国の地。今から急いで戻っても1か月はかかる。
何か誤解があるとは思うが、ここまで父が激怒されるのも珍しいこと。ひょっとすれば、リリアーヌが偽聖女様だというのか!?
いや、待て。確かにリリアーヌは、ブカブカだが、仮にも聖女様なのだから、何かあれば必ずダーウィンのためになってくれるだろうと信じている。
その時になれば、父もきっとわかってくれる筈。だから、今は甘んじて受け入れて、その時に吠え面をかかせてやろうと思い直す。
ギルバートは、自分は聖女様と結婚した賢王になれると信じて疑わない。
王家からの書状が来て、1週間。のんきにバカンスを楽しんでいるギルバートとリリアーヌに、土地の領主から依頼状が届く。
沿岸部のプライベートビーチに深海の魔物「ポセイドン」が現れたので、退治してくれというものだった。
土地の領主は、ダーウィンから来られた聖女様御一行が逗留されているという噂を聞きつけ、藁にもすがる思いで書状を認めたのだ。
ギルバートは、内心、こんなにも早く賢王としての実績を証明できる機会が来るとは思っていなかったので、ほくそ笑む。
これをうまく処理すれば、父上もきっと、わかってくれ、王位継承権をもとに戻してくださることになろう。
リリアーヌは、エステサロンで全身オイルマッサージをしている最中だから、終わったら、ちょこちょこっと聖魔法を駆使してもらい、ポセイドン退治に一役買ってもらえれば幸甚である。
よしんば、退治できなくても、浅瀬から追い払ってくれればそれでもいい。
ギルバートはリリアーヌのエステが終わるのを待ち、領主からの依頼内容を聞かせた。
リリアーヌの返答は、意外にも「NO」で、ギルバートは訝しがるが、その理由が「せっかくバカンスに来たのに、お仕事なんて、するのイヤ」というものだったために、渋々、それを認め、断わりの手紙を認める。
母の王妃様の後押しもあり、陛下は、次の婚約者をギルバートからアントニウスへ変更したいと考えられた。
パトリシアは、5歳の頃より10年間お妃教育をしてきて、終了している。諸外国の政治経済的な事情や姻戚関係、外国語のマスター、諸外国のマナーなど徹底的に仕込まれている。
他に同等の教育を受けているのは、王妃様ぐらいしかいない。だから、ギルバートと婚約解消した後、他の誰かとすぐ婚約者になることは事実上の不可能なことに近い。
それは一朝一夕では、到底身につかないレベルのものである。
アントニウスにとっても、これほど好条件の相手はいない。
それにアントニウスは昔から、パトリシアに恋焦がれていたのだ。アントニウスの気持ちを両親は知っていた。だからこそ、息子の初恋の相手を婚約者にしたいという心情もわからなくはない。
さりとて、ミュンヘン家側からすれば、失意のどん底にある娘を、またしても王家に嫁がせるような婚約をして、果たして幸せになれるだろうかという懸念がある。
また時が過ぎれば、弄ばれるだけ、弄ばれて捨てられるという可能性がないわけではない。
今すぐ結婚というわけにはいかないのだ。ギルバートとのためのウエディングドレスはもう出来上がっているが、身ごもっている可能性もあるから、それがハッキリするまで、身動きが取れない状態にいる。
白い婚約者のままなら、今すぐ結婚や修道院という可能性もなくはない。だが、ギルバートによってキズモノにされた我が身を考えれば、今はジッとしているしか他はない。
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その頃、ギルバートは聖女様との旅行に浮かれているが、パトリシアの味を知っているギルバートは少々物足りなさを感じていることも事実。
やっぱり、パトリシアが最高にイイ。帰ったら、パトリシアを召し出そうと考えていると、そこに陛下からの通告書が届く。
「……」
突然の王位継承権はく奪と廃嫡に目を剥くが、ここは遠く異国の地。今から急いで戻っても1か月はかかる。
何か誤解があるとは思うが、ここまで父が激怒されるのも珍しいこと。ひょっとすれば、リリアーヌが偽聖女様だというのか!?
いや、待て。確かにリリアーヌは、ブカブカだが、仮にも聖女様なのだから、何かあれば必ずダーウィンのためになってくれるだろうと信じている。
その時になれば、父もきっとわかってくれる筈。だから、今は甘んじて受け入れて、その時に吠え面をかかせてやろうと思い直す。
ギルバートは、自分は聖女様と結婚した賢王になれると信じて疑わない。
王家からの書状が来て、1週間。のんきにバカンスを楽しんでいるギルバートとリリアーヌに、土地の領主から依頼状が届く。
沿岸部のプライベートビーチに深海の魔物「ポセイドン」が現れたので、退治してくれというものだった。
土地の領主は、ダーウィンから来られた聖女様御一行が逗留されているという噂を聞きつけ、藁にもすがる思いで書状を認めたのだ。
ギルバートは、内心、こんなにも早く賢王としての実績を証明できる機会が来るとは思っていなかったので、ほくそ笑む。
これをうまく処理すれば、父上もきっと、わかってくれ、王位継承権をもとに戻してくださることになろう。
リリアーヌは、エステサロンで全身オイルマッサージをしている最中だから、終わったら、ちょこちょこっと聖魔法を駆使してもらい、ポセイドン退治に一役買ってもらえれば幸甚である。
よしんば、退治できなくても、浅瀬から追い払ってくれればそれでもいい。
ギルバートはリリアーヌのエステが終わるのを待ち、領主からの依頼内容を聞かせた。
リリアーヌの返答は、意外にも「NO」で、ギルバートは訝しがるが、その理由が「せっかくバカンスに来たのに、お仕事なんて、するのイヤ」というものだったために、渋々、それを認め、断わりの手紙を認める。
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