セカンドバージンな聖女様

青の雀

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「金色の空?はて、何のことでございましょうか?」

「司祭、隠し立てをするな!身のためにならんぞ」

 アントニウス様は、司祭様に詰め寄るも、パトリシアとの約束があるため、とぼけるしかできない。

 アントニウス様は、教会の扉を蹴飛ばし、乱暴に出ていく。

 司祭様が困ったように俯き、本音をボソっと呟く。

「あれでは、パトリシア聖女様が結婚を躊躇なさるも無理はない」

 アントニウスは、外面だけはいい暴君なのだ。パトリシアと婚約したいというのは、ただ義兄のものを欲しがっていたに過ぎない。それが婚約も思うようにはかどらず、聖女様が現れたことで、パトリシアから聖女様へ乗り換えるつもりが、聖女様の正体と行方が分からないので余計、苛ついている。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



「お父様、実は教会で聖女様に覚醒してしまったみたいなのです」

「まことかっ!?それでは、パトリシアが空を金色に染めたのか?」

「はい。思いがけずに。その時、わたくしはまだ、その……ギルバート様のことを愛していたということをハッキリ自覚してしまいましたの。それでアントニウス様との縁談をお断りしようと思っております」

「うむ。殿下のあの調子なら、ウチから聖女様に乗り換えたいとお思いなのだろう」

「しばらくは、気鬱の病にかかったということで、領地に引っ込みたいと考えております」

「それがよかろう。王家には、そのように伝えておくが、こっそり南国へ行ってみてはどうかな?自分の気持ちに踏ん切りがつくかもしれない」

「ええ。そのつもりでいます。とりあえず、領地まで転移で行き、そこから南国に向け出発しようかと」

 生娘にとり、初めての男には重大な意味や思い入れがある。誰でもいいから、処女を捨てたかったというわけではない。

 少しでも、相手に好意を持っていなければ、同意できない。そういうものなのだ。

 とりあえず、領地へ出立する準備を進めていく。聖女様だと言われてからなぜだか、カラダ中に魔力が巡り溢れかえっている感じがする。望めば、どんなことでも叶いそうな勢いに気圧されそうになるが、無意識に急げという警鐘が打ち鳴らされているように思う。

 同じ時刻、司祭様も聖騎士団に召集をかけている。アントニウス王子の手からパトリシア聖女様を護るために。

 あらかたの準備が調い、司祭様に挨拶に出向くと、すでに聖騎士をそろえて待っていてくれた。

「この者どもを連れて行ってください」

「よろしいのでしょうか?ミュンヘン家にも騎士はおりますが」

「相手は王家でございますれば、何人いても邪魔にはなりますまい」

 その言葉で、聖女覚醒した日にアントニウスが来たことがわかる。

「ありがとう存じます。とりあえず、わが領地へ向かってから南国に旅立つ所存でございます」

 一足先に、と聖騎士団に転移魔法をかけ、領地へ案内して、領地の執事に仔細を説明し、また教会に取って返し、暇乞いをする。

「なんと!あれだけの人数を一瞬で。さすがは、聖女様にござります。くれぐれも、お気をつけて」

 公爵邸に戻り、騎士を整列させ同じように転移魔法をかけ領地へ送る。

 領地では執事が馬の手配に大わらわしている。そうか、馬も一緒に送る必要があると判断し、また教会に戻り、馬の手配を頼み、公爵邸にあるだけの馬をそろえて、馬を転移させる。

 タウンハウスの執事に命じて、馬をなるべくたくさん買い付ける。それでできる限りの馬を買い付けたのち、再び領地に転移で送る。

 司祭様も自ら馬の買い付けに走ってくださり、なんとか騎士と馬の数をそろえることができた。

 さすがに教会が馬を集めるということは目立ちすぎたようで、王家から謀反の疑いをかけられそうになってしまう。

 パトリシアは気を咎め、司祭様と教会ごと領地へ転移させることを思いつく。

 王家から衛兵が国教会のあった場所へ行ったときには、すでに教会の跡地だけが残されていた。

「これぞ、まさしく神の奇跡だ」


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