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ティアラベルローゼは、また木の根っこのところに戻り、少し進んでは、一旦、王宮へ戻り、夜は必ず王宮の自室で眠り、翌朝早く元の場所に戻り、そこから出発するといったことを繰り返した。
そうして、アトランティスとの国境までの距離にいくつもの転移魔法陣を仕込んでいく。有事になれば、いつでもその魔方陣がものを言う。
アトランティス国内にも、転移ポイントを作りたいけど、何かあればスパイとして間違われるかもしれないから、今は、おとなしく学園の中だけに転移魔法陣を仕掛けることにしておく。
マーシャル国側の国境線を最後に、乗馬での移動はやめ、馬車での移動に変えたのだった。
それと同時に国教会に聖騎士を派遣するように頼み、国境線のところで落ち合うことにした。
これからは、一国の王女ではなく聖女様として異国の地に入るのだから、いくらアトランティスが大国とはいえ、用心するに越したことはない。それに聖女様としての移動に相応しい体裁を取らなければ足元を見られてしまう。
と思っていたのに、聖女様を掻っ攫うような不届き者が現れるとは、思ってもみなかったこと。アトランティス側に入国した途端、いきなり索敵魔法に反応があった。
ロバートもエレモアも、すぐその敵に狙いをつけ、常に敵の動向を窺う。ティアラベルローゼは、敢えて泳がし、敵が一か所に集中することに目をつける。おそらくアジトなのだろう。
そのアジトに向かい、火魔法で火を放ち、さらに強風で煽る。火はますます燃え広がり、盗賊団は、散り散りになりかけた。苦し紛れに、ティアラベルローゼに向かって、襲い掛かってきた連中をひとまとめにして魔方陣に誘い込む。
盗賊たちは、突然、足元が光り出し、面食らったまま消滅する。
「王女様、奴らは、一体どこへ?」
「うふふ。アプリコット国の死の森に送ってやったわよ」
平然と話すティアラベルローゼにロバートの背筋は凍る。15歳の小娘だからと言って、気は抜けないと思った。
同時に、今世は敵にならずに済んで、よかったとも。
その後、襲われることもなく、馬車列は順調に王都に到着する。
学園側からではなく、アトランティスの騎士団が出迎えてくれたので、国境付近で、盗賊に襲われたことを話したら、みるみるうちに団長の顔が険しくなり、すぐさま討伐に向かったみたい。
でも、盗賊は、今、アプリコット国にいるのよね。まあ、どうでもいいけど。これは、アトランティスの恥だから。
ティアラベルローゼは、被害者面をして、素知らぬ顔で学園に入り、必要な手続きを済ませた。
学園長や寮母は、ティアラベルローゼの案内役を買って出て、校舎の中や設備のこと、寮の中を案内してくれ、ティアラベルローゼは、アトランティスの王家の者でしか使用できない建物に案内される。
それは、寮とは別棟に建っており、まるでヴェルサイユ宮殿か迎賓館のような佇まいを見せている。
その一棟をティアラベルローゼに無償で贈与し、自由に使ってくれて構わないと申し出てきた。
ティアラベルローゼは、これを快諾し、早速、その屋敷に馬車からの荷物を運び入れることにした。
だが、その実態は、魔方陣の作成。マーシャル国と行き来するための転移場所として、選んだ。
ここに住まう気は、全くない。一通り屋敷内の設備、調度品などをチェックして回り、気に入らないモノは、どんどん処分して、マーシャル国の宮殿と同じ模様替えをしていく。
もらったものは、返さない。と意思表示したのだ。
その屋敷は、その後、マーシャル国の大使館として機能し、治外法権となる。
入学手続きが終わったというのに、学園長は、なかなか帰ってくれない。誰かが来るのを待っている風。
早く帰るように、箒をさかさまにして立てかけようとした時、ようやく待ち人が来たようだった。
その待ち人とは、アトランティス王家の使用人で、今宵、聖女様歓迎パーティをささやかながら、執り行いたいと申し出てくる。
正直なところ、めんどくさい。早くマーシャル国に帰り、自室のベッドにダイブしたいと思っているのに。
「今宵は、長旅の疲れを癒しとう存じます」
遠回しに断ると、「では、明後日でも」と、なかなか引き下がってくれない。
まあ、いいっか。タダで大使館をくれたのだから。
後は、外務大臣に丸投げしよっと。
そうして、アトランティスとの国境までの距離にいくつもの転移魔法陣を仕込んでいく。有事になれば、いつでもその魔方陣がものを言う。
アトランティス国内にも、転移ポイントを作りたいけど、何かあればスパイとして間違われるかもしれないから、今は、おとなしく学園の中だけに転移魔法陣を仕掛けることにしておく。
マーシャル国側の国境線を最後に、乗馬での移動はやめ、馬車での移動に変えたのだった。
それと同時に国教会に聖騎士を派遣するように頼み、国境線のところで落ち合うことにした。
これからは、一国の王女ではなく聖女様として異国の地に入るのだから、いくらアトランティスが大国とはいえ、用心するに越したことはない。それに聖女様としての移動に相応しい体裁を取らなければ足元を見られてしまう。
と思っていたのに、聖女様を掻っ攫うような不届き者が現れるとは、思ってもみなかったこと。アトランティス側に入国した途端、いきなり索敵魔法に反応があった。
ロバートもエレモアも、すぐその敵に狙いをつけ、常に敵の動向を窺う。ティアラベルローゼは、敢えて泳がし、敵が一か所に集中することに目をつける。おそらくアジトなのだろう。
そのアジトに向かい、火魔法で火を放ち、さらに強風で煽る。火はますます燃え広がり、盗賊団は、散り散りになりかけた。苦し紛れに、ティアラベルローゼに向かって、襲い掛かってきた連中をひとまとめにして魔方陣に誘い込む。
盗賊たちは、突然、足元が光り出し、面食らったまま消滅する。
「王女様、奴らは、一体どこへ?」
「うふふ。アプリコット国の死の森に送ってやったわよ」
平然と話すティアラベルローゼにロバートの背筋は凍る。15歳の小娘だからと言って、気は抜けないと思った。
同時に、今世は敵にならずに済んで、よかったとも。
その後、襲われることもなく、馬車列は順調に王都に到着する。
学園側からではなく、アトランティスの騎士団が出迎えてくれたので、国境付近で、盗賊に襲われたことを話したら、みるみるうちに団長の顔が険しくなり、すぐさま討伐に向かったみたい。
でも、盗賊は、今、アプリコット国にいるのよね。まあ、どうでもいいけど。これは、アトランティスの恥だから。
ティアラベルローゼは、被害者面をして、素知らぬ顔で学園に入り、必要な手続きを済ませた。
学園長や寮母は、ティアラベルローゼの案内役を買って出て、校舎の中や設備のこと、寮の中を案内してくれ、ティアラベルローゼは、アトランティスの王家の者でしか使用できない建物に案内される。
それは、寮とは別棟に建っており、まるでヴェルサイユ宮殿か迎賓館のような佇まいを見せている。
その一棟をティアラベルローゼに無償で贈与し、自由に使ってくれて構わないと申し出てきた。
ティアラベルローゼは、これを快諾し、早速、その屋敷に馬車からの荷物を運び入れることにした。
だが、その実態は、魔方陣の作成。マーシャル国と行き来するための転移場所として、選んだ。
ここに住まう気は、全くない。一通り屋敷内の設備、調度品などをチェックして回り、気に入らないモノは、どんどん処分して、マーシャル国の宮殿と同じ模様替えをしていく。
もらったものは、返さない。と意思表示したのだ。
その屋敷は、その後、マーシャル国の大使館として機能し、治外法権となる。
入学手続きが終わったというのに、学園長は、なかなか帰ってくれない。誰かが来るのを待っている風。
早く帰るように、箒をさかさまにして立てかけようとした時、ようやく待ち人が来たようだった。
その待ち人とは、アトランティス王家の使用人で、今宵、聖女様歓迎パーティをささやかながら、執り行いたいと申し出てくる。
正直なところ、めんどくさい。早くマーシャル国に帰り、自室のベッドにダイブしたいと思っているのに。
「今宵は、長旅の疲れを癒しとう存じます」
遠回しに断ると、「では、明後日でも」と、なかなか引き下がってくれない。
まあ、いいっか。タダで大使館をくれたのだから。
後は、外務大臣に丸投げしよっと。
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