夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀

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 もちろん第1王子様のことが好きになったわけではない。パートナーに浮気された者同士だということを思い出し、勝手に親近感を持っているだけのこと。

 でも、さすがに年の功か。第1王子様は、ティアラベルローゼの考えていることがわかるように、クスッと笑い、静かに椅子を座らせてくれた。

「君って、面白い娘だね。聖女様って言うべきだったね?」
「いえ、それほどでも」

 ティアラベルローゼのその返事に、第1王子様は大爆笑される。

 ティアラベルローゼは、何が第1王子のツボにはまったのか理解できず、きょとんとして小首をかしげる。

「来週、学園の卒業式があるんだ。その後、パーティもあるから、よかったら来てよ」

 第1王子は、3歳年上だったのか。とその時、初めて年齢を知る。だから前世、一度も学園でお見かけしたことがなかったのか、と納得する。

 別に興味はなかったけど、相手の公爵令嬢の顔を見てみたいという欲が出てきた。どんな女が王子を捨てて、他の男と関係を持つのか知りたかった。あるいは、アンドリューと共通点を見つけられれば、今後の参考になると思って、つい、行くと返事してしまったのだ。





-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-





 そして、一週間後。ティアラベルローゼは、再びマーシャル国の侍女に磨かれている。

 今度のヒールは、船底型で安定しているから、前のパーティみたいに足がしびれるほどの痛みはないだろう。

 あの後、職人に命じて、ピンヒールをすべて、船底型に変えてもらったのだ。それに入浴前から、しっかりと食べて、低血糖にならないように気を付ける。

 コルセットも、卒業パーティに浮気女の顔を見に行くだけだからと、緩めのコルセットに変えてもらい、パーティに行く前にケーキをどっさり食べる。

 準備万端で、意気揚々とパーティ会場に出向いたら、学園長が出迎えてくれた。まるで人寄せパンダみたいな扱いに困惑するも、聖女様の存在は、学園の格を上げるので、仕方なく微笑んで受け流しておく。

 第1王子は、ティアラベルローゼが来たのを見計らって、婚約破棄を断行した。
「公爵令嬢マーガレット・サッチャー、本日、今をもって貴様との婚約を破棄するものとする!」
「なぜでございますか?」
「すまぬ。他に好きな女性ができたのだ」

 それを聞いた元婚約者の令嬢は、視線をティアラベルローゼに向ける。
「へ?わたくし、関係ないけど……?」

 そんな呟きなど無視されて、サッチャー侯爵令嬢は、つかつかとティアラベルローゼのところまで歩み寄り、いきなりビンタされそうになったけど、寸前でエレモアが阻止に入った。

「悔しい!この泥棒猫!聖女様だか、なんだか知らないけど、よくも他人の男を奪ってくれたわね!」

 へー。自分は、将来、浮気するけど、相手が浮気するのは許せないタイプなんだ。でも、浮氣なんて、されてないよ。ティアラベルローゼと第1王子との間には、何の関係も一切ないから。焼きもちを焼くのは、勝手だけど、変な言いがかりよしてよ。

 いつの間にか、第1王子もティアラベルローゼの傍まで来て、
「聖女様は関係ないだろ?マーガレットがそういう態度を取るのなら、本当の理由を言ってあげるよ。マーガレット、君は、学園に入学当初から、ブライアント寝ていただろ?ブライアンだけではなく、2年生になると、今度はバーミヤン公爵令息のダニエルとも関係を持っただろう?そればかりか、3年生になると、……」

 マーガレットは第1王子の声を遮って、
「嘘よ。そんなこと、でっち上げだわ」

 冷ややかな視線をマーガレットに向ける第1王子は
「証拠があるよ。この学園は王族が通うために作られた学園だということを忘れてやいないか?至る所に監視魔法が張り巡らされていて、君たちがあられもない共生をあげている声までしっかりと録音されているのだよ」

 第1王子が指をパチンと鳴らすと、天井がまるで巨大なスクリーンになったかのように、18禁の映像が音声付きで流れ始めた。

「いや、やめて……!わかったから、婚約破棄を認めます。承諾します。だから映像を止めて」

 こんな映像を流されたからは、もうどこにも嫁の貰い手がなくなる。

 サッチャー侯爵は、怒りのあまり、その場でマーガレットを勘当してしまう。

 うわっ!これって最悪なパターンね。結婚してから浮気していたのかと思えば、婚前から浮気していたなんて、それをティアラベルローゼのせいにするなんて許せないオンナ。でも、父親から勘当されてしまったから、もう、いいかな?これ以上、追及する気になれないので、ティアラベルローゼは、さっさと暇乞いをして帰宅することにした。

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