聖女のひ孫~婚約破棄されたのなら自由に生きます

青の雀

文字の大きさ
15 / 33

15.

しおりを挟む
 時はさかのぼり、アリエールがハーバムルト国に着いたその日の夜、アムステルダム公爵が早馬を飛ばし、息せき切って国王陛下と面談する。

 「夜分、恐れ入ります。実は、私の姪で聖女フルーチェ様のひ孫の聖女が隣国から、魔法修行のため、今日、入国したばかりなのです。」

 「何⁉ それは真か?我が国にも聖女様が来られたということか?」

 「はい。しかも隣国の王太子と婚約破棄して、自殺未遂を起こしたらしいです。」

 「なんと……!それでは、聖女様には今、誰も婚約者がおられぬということだな。」

 国王陛下は、起ちあがり、側近にグレゴリー殿下を呼んでくるように耳打ちする。

 「それで、なぜ?自殺未遂まで起こされたのだろうか?それほどまでに隣国の婚約者を愛していたというのか?」

 「いえ、義弟の紹介状によると、学園で男爵令嬢に唆され、聖女アリエールにあらぬ冤罪の疑いをかけられたそうです。自殺未遂を起こしたのは、それだけが原因ではなく、その前に婚約者から乱暴されたので、純潔を穢され婚約破棄されたことで絶望したのではないか、とありました。」

 「何!お輿入れ前の聖女様を乱暴するとは!……あい、わかった。それでは我が国が聖女様をいただいても、文句がないということだな。」

 そこへグレゴリーが、きちんと着替えて王の間へやってくる。

 「父上、何用でございますか?こんな夜更けに。」

 「聞いて驚くなよ。隣国の聖女アリエール様が、我が国に来られた。」

 「え!本当でございますか?」

 「しかも誰とも婚約されていない身で。完ぺきにお妃教育が終わられている聖女様がだ。」

 「もしかして、私と婚約させようとしているのでは?まだ、エリーナを失ってから……まだそんなこと考えられません。」

 「まぁそう先走るな。お前、魔法大学に籍を置いてるだろ?」

 「我が国は、聖女様がいらっしゃらないので、国防のため、皆が少しずつ魔力を蓄え操れるように努力しています。」

 「明日、聖女様を魔法大学へお連れする。お前は偶然を装って、聖女様をモノにしろ。ただし、くれぐれも聖女様を怖がらせるような真似や、一線を越えることがあってはならない。慎重に聖女様のお心を掴めるように努力しろ。事を急ぐでないぞ。」

 アムステルダム公爵は、息子のレオナルドに案内させるとして、息子にはこのことを伏せる。そして、アリエールの容姿を事細かく、グレゴリー殿下に伝授する。

 翌日、正門前で挙動不審な女がいるが、聞いていたアリエールの容姿と……似てる?まぁ、何でもいいっか。とりあえずダメ元で、声をかけて見たら、速攻無視!聖女様が金眼の俺を無視するわけがない。

 なんだやっぱり人違いかと思ったら、レオが大慌てで来る。

 そしたら、やっぱり聖女様だという。

 親父に言われた通り、交際は順調で、ある時たまらないぐらい愛おしくなって、ついキスをしてみた。

 それからは、聖女様が何か期待されているような視線を向けてくるので、自制するだけで精いっぱいになったけど。ついに、その時がきてしまって、焦るわ。困るわの、大わらわ。急遽、指だけで満足させたけど、あの後も何度も誘ってこられる。

 グレゴリーは、アリエールが誘ってこられるたびに、どんな拷問だと、心の中で叫んでいる。

 エリーナとは、こんなことなかったのに。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 いよいよグレゴリー王太子殿下と聖女アリエール様の結婚式の発表が国民に公示された。

 この取り合わせが、政略結婚ではなく、純粋な恋愛結婚だとわかり、国民の間では大変な熱狂ぶりである。

 「王子様と聖女様が偶然の出会いをされたなんて、素敵すぎる。」

 「聖女様のひいお婆様は、フルーチェ聖女様だそうよ。」

 「隣国の王位継承権者で、聖女様で公爵令嬢なんて、恵まれすぎてるわね。」

 「この前、こっそり実物を見たんだけど、すごい美人でビックリしたわ。」

 「うらやましいわ。早く結婚式が来ないかしらね。楽しみだわ。」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《完結》初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

【完結】氷の令嬢は愛を請わない - 捨て子の『義妹』に愛も家族も奪われたマリーローズの逆襲

恋せよ恋
恋愛
銀髪紫眼の美貌の侯爵令嬢、マリーローズ。 完璧な淑女に育った彼女だったが、母は捨て子ジュリエットを寵愛。 婚約者の公爵家嫡男アレックスも、友人も、次々に奪われる――。 家族に裏切られ、すべてを失った彼女が下した決断は、 家族を見かぎり、国を捨て、自らの人生を取り戻すこと。 理不尽な悲恋を力に変え、運命をひっくり返す令嬢の逆転劇! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~

ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」 義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。 父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。 けれど―― 公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。 王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。 さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。 そして下されたのは――家ごとの褫奪。 一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。 欲しがったのは肩書。 継いだのは責任。 正統は叫びません。 ただ、残るだけ。 これは、婚約を奪われた公爵令嬢が “本当に継がれるべきもの”を証明する物語。

処理中です...