身分違いの恋

青の雀

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 その頃、王宮では、ベルーナの乳母が大騒ぎしている。

 ベルーナのミルクの時間がきたので、ベルーナの寝室に顔を出すと、その場で眠っているはずのベルーナが忽然と姿を消している。

 まだハイハイができない。だから、誰かに連れ去られたことはわかるが……、一体だれが?

 乳母はすぐさま王妃陛下に報告し、王宮を挙げての大捜索が行われる。

 王宮の者は、何人かがベルーナの部屋に入っていく侍女の姿を目撃しているが、皆、忙しく、ジっとその動向を注視していたわけではないので、侍女が犯人とは断言できない。

 侍女を拷問すると、あっさり下位貴族派に買収されていたことを白状するが、ベルーナの行方は分からない。

 下位貴族派を締め上げるも、実行犯の男はすでに国外へ逃亡した後で、その行方もわからない。

 ベルーナの容姿は金髪金眼で、国王陛下にそっくりだということぐらいしか、情報はなく捜査は難航した。

 すでに殺されているという意見があったものの、国王夫妻は諦めきれない。それらしき赤子の死体が出てきたという知らせがない。

どうにかして、男を捕まえ、締め上げるが男も、あの場に打ち捨てたから生死はわからないという。

 その男がいう「あの場」に急行するも、時間の経過によるものか、一切の痕跡はなかったのだ。

 男と侍女は、王女殿下誘拐の咎により、死罪が決まった。

 この事件がきっかけで、一気に下位貴族派は弱体化していく。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 あれから1年が経ち、ベルーナには弟ができていた。エミリアは、2人の乳飲み子を抱え、マディソンは、他の冒険者とパーティを組み、稼いだ金をすべて、エミリアに渡し家族を養ってきた。

 マディソンが冒険から帰ってくると、エミリアはマディソンの装備を確認し、傷んでいないかチェックをする。

 それから洗濯をし、豪勢な料理をふるまう。疲れて帰ってきたマディソンをねぎらうために。

 夜になると、マディソンのカラダをマッサージし、自然な流れで子作りに突入する。

 そんな生活が5年も続けば、マディソン家は、すっかり子だくさんとなり、冒険者ギルドの中でもちょっとした有名人になっている。

 ベルーナは長女として、弟妹の面倒をよく見る。それに誰かに教わっていないのに、剣術や魔法も使えるようになっていく。

 この世界で魔力があるのは貴族だけと決まっていたのだが、一部の冒険者にも使えるものがいて、さほど不思議がられることもなかった。

 
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