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前世
6.結婚前提
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その頃、ステファニーは夢を見ていた。前世の松原愛理だった頃の夢。
マイ箸運動を謳うファミリーレストランの厨房にいる。食券を見ながら次々に注文をさばいているコックをしているような様子。
「愛理ちゃん、次、お願いね」
「はーい。お待ちお願いしまーす」
マイ箸とは間伐材を遣っている割り箸がもったいないという理由で、環境関係なく勝手にやっている運動のことで、主に他店とは違うという商売の宣伝目的のためにしている。
愛理が務めているファミリーレストランは東証一部上場企業なので、そこそこデカイ割には、従業員の民度が低い。
社長は創業者一族の息子さんで、アメリカの大学に留学後、会社を継いでいる。いわゆるお坊ちゃん経営者なのだ。
女子社員によく「おやつ」を買ってきてくださるところは嬉しいが、どうも給料が低い。一応店舗の近くに寮はあるが、寮では、彼氏も呼べない。安普請で壁が薄いからで、隣の部屋の住人がナニをしているときの声や振動がそのまま伝わってくるというわけ。
といっても、愛理には今のところ、恋人と呼べる存在はいない。でも、近いうちに作る予定ではある。
だから目下のところ、部屋探しに夢中なのだ。最低、2LDKは欲しいところと思っている。
だって、たまには彼氏をウチに泊めたいもの。その時、ベッドルームが一部屋しかなければ、まるで誘っているみたいに見えるのは嫌だから。と言っても、部屋に招き入れるということは、もう、そのつもりでいるのだけどね。
そこはオトコ日照りを隠すためにも、女としての見栄を張らなければならないところ。
でも、次の休みの日には部屋探しはお預けになる。それは、家電量販店で知り合った人とデートが入っているのよ。
もう何年ぶりのデートかしらね。デートと言っても、いきなりホテルへ直行というわけでもないけど、一応、ちゃんとした下着を着けて行こう。
愛理は、学生時代に彼氏はいたけど、そういう恋人関係ではなかったの。だからいまだに処女を卒業していない。
今のファミリーレストランは、大学時代、アルバイトをしていたところで、そのまま就職に至ったわけだけど、愛理は管理栄養士の資格を持っているので、本当は、もっとちゃんとした資格を生かせるような職場に転職したい。だけど、昔からアルバイトをしていたことから、言い出せずにズルズルとそのまま就職したので、言い出しづらい。だから、せめて寮だけは、自分の好きなところに住みたいと思っている。
デートのお相手は、家電量販店で店長をしている榎本真一さん、冷蔵庫を買いに行ったとき、大幅にマケてくれたのが気に入ったのよ。帝国大学を卒業している理系さんというところも、気に入ったのよ。文系女子から見れば、理系男子はなんとなく未知なる世界を持っている憧れの存在なの。
それから従販があると、いつも愛理のためにいろいろ買っておいてくれて、それをプレゼントしてくれる素敵な男性なの。だから、今日こそは正式に交際を申し込もうと思っている。
悪いから、お金を払うと言っても、決して受け取らないところも素敵なのよね。
その日は映画を観て、家電の話を聞きながら食事をして、少しお酒を飲む。
なぜか、二人ともモジモジし始めて、なかなか言いたいことがうまく言えない。それで話をはぐらかすつもりはなかったのだが、今、住む家を探していると言ってしまった。
「え?どうして?」
「今、会社の寮にいるから、家賃は安いけど、その……手狭だから」
いくら何でも彼氏を呼びたいからとは、言えないよ。
「だったら、ウチ来る?……あ、いや、その……変な意味ではなくその下心があるとかそういう意味ではないんだ。いや、やっぱりあるかな?愛理ちゃん、もしよかったら俺と結婚を前提としてお付き合いしてくれませんか?」
「え!いいの?嬉しい。私も今日、真一さんに告白しようと思ってきたのよ」
「じゃあ、OKでいいということ?」
「もちろんよ。よろしくお願いします」
「あっは。なんか、緊張しちゃったな。じゃ、家電は俺に任せて、愛理ちゃんは身一つで来てくれたらいいからさ」
「ええ、でも、そんな厚かましいこと……」
「何なら、これからウチへ来てみないか?何もしないからさ」
本当はしてほしいけど、そんなこと恥ずかしくて言えない。
マイ箸運動を謳うファミリーレストランの厨房にいる。食券を見ながら次々に注文をさばいているコックをしているような様子。
「愛理ちゃん、次、お願いね」
「はーい。お待ちお願いしまーす」
マイ箸とは間伐材を遣っている割り箸がもったいないという理由で、環境関係なく勝手にやっている運動のことで、主に他店とは違うという商売の宣伝目的のためにしている。
愛理が務めているファミリーレストランは東証一部上場企業なので、そこそこデカイ割には、従業員の民度が低い。
社長は創業者一族の息子さんで、アメリカの大学に留学後、会社を継いでいる。いわゆるお坊ちゃん経営者なのだ。
女子社員によく「おやつ」を買ってきてくださるところは嬉しいが、どうも給料が低い。一応店舗の近くに寮はあるが、寮では、彼氏も呼べない。安普請で壁が薄いからで、隣の部屋の住人がナニをしているときの声や振動がそのまま伝わってくるというわけ。
といっても、愛理には今のところ、恋人と呼べる存在はいない。でも、近いうちに作る予定ではある。
だから目下のところ、部屋探しに夢中なのだ。最低、2LDKは欲しいところと思っている。
だって、たまには彼氏をウチに泊めたいもの。その時、ベッドルームが一部屋しかなければ、まるで誘っているみたいに見えるのは嫌だから。と言っても、部屋に招き入れるということは、もう、そのつもりでいるのだけどね。
そこはオトコ日照りを隠すためにも、女としての見栄を張らなければならないところ。
でも、次の休みの日には部屋探しはお預けになる。それは、家電量販店で知り合った人とデートが入っているのよ。
もう何年ぶりのデートかしらね。デートと言っても、いきなりホテルへ直行というわけでもないけど、一応、ちゃんとした下着を着けて行こう。
愛理は、学生時代に彼氏はいたけど、そういう恋人関係ではなかったの。だからいまだに処女を卒業していない。
今のファミリーレストランは、大学時代、アルバイトをしていたところで、そのまま就職に至ったわけだけど、愛理は管理栄養士の資格を持っているので、本当は、もっとちゃんとした資格を生かせるような職場に転職したい。だけど、昔からアルバイトをしていたことから、言い出せずにズルズルとそのまま就職したので、言い出しづらい。だから、せめて寮だけは、自分の好きなところに住みたいと思っている。
デートのお相手は、家電量販店で店長をしている榎本真一さん、冷蔵庫を買いに行ったとき、大幅にマケてくれたのが気に入ったのよ。帝国大学を卒業している理系さんというところも、気に入ったのよ。文系女子から見れば、理系男子はなんとなく未知なる世界を持っている憧れの存在なの。
それから従販があると、いつも愛理のためにいろいろ買っておいてくれて、それをプレゼントしてくれる素敵な男性なの。だから、今日こそは正式に交際を申し込もうと思っている。
悪いから、お金を払うと言っても、決して受け取らないところも素敵なのよね。
その日は映画を観て、家電の話を聞きながら食事をして、少しお酒を飲む。
なぜか、二人ともモジモジし始めて、なかなか言いたいことがうまく言えない。それで話をはぐらかすつもりはなかったのだが、今、住む家を探していると言ってしまった。
「え?どうして?」
「今、会社の寮にいるから、家賃は安いけど、その……手狭だから」
いくら何でも彼氏を呼びたいからとは、言えないよ。
「だったら、ウチ来る?……あ、いや、その……変な意味ではなくその下心があるとかそういう意味ではないんだ。いや、やっぱりあるかな?愛理ちゃん、もしよかったら俺と結婚を前提としてお付き合いしてくれませんか?」
「え!いいの?嬉しい。私も今日、真一さんに告白しようと思ってきたのよ」
「じゃあ、OKでいいということ?」
「もちろんよ。よろしくお願いします」
「あっは。なんか、緊張しちゃったな。じゃ、家電は俺に任せて、愛理ちゃんは身一つで来てくれたらいいからさ」
「ええ、でも、そんな厚かましいこと……」
「何なら、これからウチへ来てみないか?何もしないからさ」
本当はしてほしいけど、そんなこと恥ずかしくて言えない。
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