転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

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来世:サザビー王女として

65.神界へ

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「公爵令嬢アフロディーテ・ソノベ、貴様との婚約は今をもって破棄させてもらうこととする!」

「は?」

 返事をしたのは、アイリーン。あまりのことで、開いた口が塞がらなかったためで、思わず、聞き返してしまう。

「いや、王女殿下とは、関係がございませんので」

 申し訳なさそうに、頭を搔きながらマクシミリアン・アンドロイド。筆頭公爵家の嫡男で、女子生徒からは、一番人気のイケメン。生徒会長をしていた。

「あの……、なぜでございますか?」

「ですから、この婚約破棄は、王女殿下とは何も関係がございませんので」

 だからと言って、引き下がるわけにはいかない。隣にいるハリーは、おろおろしている。

 アイリーンの勢いに気圧されたかのようにマクシミリアンは、ぽつりぽつりと話し出す。

「実は、この娘の双子の姉が十三参りに行ったとき、姉の水晶玉は確かに光ったというのに、姉はいつの間にか姿を消し、その後にアフロディーテ嬢が不敵な笑みをこぼしていたと訴えがありまして。聞くところによると、アフロディーテ嬢も水晶玉を光らせたと聞き及んでおりますが、教会からは何の発表もなく……、この娘が言うには、アフロディーテ嬢が何らかの策を講じて、この娘の姉の手柄を奪ったのではないかと申しております」

「それで……?」

「この娘は、自分も聖女だと言い張っており、真偽はわかりかねますが、我が家にある水晶玉は確かに光りました。この娘が言うには、アフロディーテ嬢が魔女だと申しますので……」

「はあ?そんなこと、あるわけないでしょう?あの時、わたくしも教会におりましたわ。それもアフロディーテの真横にずっとおりましたの。筆頭公爵家のご嫡男ともあろう方が、こんな平民の嘘つき聖女の世迷言を真に受けるなど、この娘に惚れましたか?それとも魅了魔法にかかっておられるのかしら?」

「王女殿下!いくら何でも、嘘つき聖女に魅了魔法とは……!言い過ぎではございませんか?」

「そこまでおっしゃるのなら、教皇様、司祭様に白黒つけていただきましょうか?」

 スザンヌの双子の妹を名乗る娘、リリアーヌのカラダからは、スザンヌの時と同様の黒い靄が出ているのが見て取れる。

 おそらく幻影魔法とマクシミリアン様に魅了魔法をかけ、アフロディーテを陥れ、あわよくばマクシミリアンの妻にでも収まろうとしている魂胆なのだろう。 

 筆頭公爵家が後ろ盾になれば、贅沢な暮らしは思いのままになる。

 リリアーヌは、アイリーンが教皇様、司祭様を呼ぶと言ってから、急に慌てだす。

 アイリーンは、司祭様や教皇様を呼び出すなどとは言っていない。だって、この会場にいらっしゃるものをどうやって、呼び出すなんてできるのかしら?

 アイリーンが教皇様に会釈するだけで、すぐに駆けつけてくれた。

「この娘、魔女の双子の妹で、自分は聖女だと言っておりますけど、事実でしょうか?」

「こんなどす黒い女が聖女様であろうはずがございません。聖女様は光り輝いている存在でございます。どなたか光魔法をこの女に浴びせてください。ああ、そうか女神さまにお願いすればいいことでしたね」

 そう、言いながらアイリーンとアフロディーテを見やる。

「教皇様、実は、筆頭公爵家のご嫡男が、この娘に惚れて、アフロディーテと婚約破棄すると宣言されたばかりなのです」

「なんと、それはまことか……!」

「できるだけ穏便にコトを済ませたかったので、ございますけど、こうなればもう、し方がございませんわね」

「いや、待ってください。おい!聖騎士!この無礼な女とアンドロイド家の嫡男を拘束しろ!早く!」

「リリアーヌ!これは一体どういうことなのか、説明してくれ!」

「私は聖女です、魔女ではありません!」

 それまで沈黙だったアフロディーテが急に、高笑いを始めて、

「あっはははは。ああ、おかしい。とんだ茶番を見せてもらったわ。なんだか、めんどくさいことになってしまったわね。アイリーンあなたもそう思っているでしょ?マクシミリアン様、婚約破棄の件、しかとお受けいたしました。それでは、わたくしたちは元の世界に戻ることにいたしましょうか?でも、その前に愚弄されたままでは帰れません!」

「どうか、お許しを……!」

 教皇様は必死になり頭を下げられるも、アフロディーテもアイリーンも許す気などない。

「ハリー、わたくしのことを愛してくださり、ありがとうございました。でも、もう、そろそろ行く時間になってしまったようです。あなたのことは忘れません。お元気で」

 ハリーは、ただただ茫然としている。

 アイリーンとアフロディーテは、女神の姿を顕現させる。そこにはまばゆいばかりの光を纏う、まぎれもなく尊いお姿が現れる。

 と同時に、リリアーヌの本来の姿を見せ、それは真っ黒い人型の塊がうごめいている。まさしく魔女の姿そのものであり、マクシミリアンは驚きすぎて言葉も出ない。

 自分が明日、結婚するはずの相手が女神さまで、自分は騙されていたことを知っても、もう後の祭りでしかない。

 マクシミリアンは、膝から崩れ落ち、その場を動けないでいる。

 アイリーンとアフロディーテは、「天罰じゃ!」と叫び、卒業パーティで、令嬢に婚約破棄を言い渡した男性全員をゴキブリに変えてしまう。

 そして、アフロディーテが宣言する。

「このつまらない男から、自由になり、おめでとうございます。これからは自由に生きてください。もし、親から勘当されそうになっているご令嬢がいらっしゃいましたら、どうか、わたくし達と共に神界へ来られませんか?神界は、若いご令嬢を歓待します。なぜなら、神界は嫁不足でして……、ですから、一度、神界へ遊びに来てください。希望者の方は、この指、止まれ!」

 笑いを交えながら、挨拶を済ませると、教皇様がなぜかキラキラした目をなさって、

「儂も神界へ遊びに行きたい」

「は?」

「ご令嬢だけですよ。生娘でないと、神界の結界は通れません!」

「童貞では、ダメか?」

 まさかのカミングアウトに、一同凍り付く。

 それからあとは、続々と手を挙げる令嬢たち、その令嬢たちとともに、意気揚々と神界へ旅立つ。
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