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8.遷都
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ハワード様は前国王から譲位され、晴れて国王に就任されました。
その前にアーノルド様は、前国王との間で、ひと悶着あり廃嫡について、ずいぶん抵抗なされたと聞き及ぶ。
お小さいときから、将来の国王になるための教育を受けてきたアーノルド様には、大人の事情など理解しがたい。
「父上は、来るべき戦に対して、備えよと仰せだったのに、なぜ私が廃嫡せねばならないのでございますか?」
「お前が偽公女と浮気をして、自ら聖女様との婚約を破棄したことは忘れたか?」
「確かに浮気しましたが、浮氣は浮気であって本気ではない。だから婚約破棄も無効になっているものとばかり、思っていました」
「そんな都合がいい話がどこにある?男なら、いったん口にしたことを反故になどできないのだ。それにバレンシア嬢は、次期国王妃に内定している。だから、いくらあれは嘘の婚約破棄だったと申し出ても、どうにもならないのだよ」
「つまりバレンシアと婚約破棄が成立してしまったので、私が廃嫡されるということですか?」
「そうだ。そういうことだ」
「バレンシアは、王太子よりも偉いということなのですね?」
「バレンシア嬢は、聖女様だからお前より偉いのだ。わかったか?」
「なぜ聖女様は偉いのですか?」
前国王は、また話が降り出しに戻ってしまったことにいら立ちが隠せない。側妃の孫というだけで、ここまで知力が低下するものなのだろうか?
とにかく自分の命乞いのためにも、ここは円満に譲位する方が身のためというもの。下手に抵抗して、王都が焼け野原になり、王族以外の者たちと連座制にされるのはまっぴらごめんというところ。
前国王は、バレンシアがハワードになびいたのは、顔だけが原因ではないとわかっている。頭が違うからで、見た目だけで負けたとは思っていない。
ましてバレンシア嬢は、聖女様で、お妃教育も完ぺきに終了しているのだから、アーノルドとは比べようがないほど、賢い。
だからわかっているが、逃がした魚が大きいということに、アーノルドが気付いてくれれば、まだ救いはあるが、それすらも気づけない程に、アーノルドは知能が低い。
せめてハワード位の賢さがあれば、よかったのに。と悔やんでも悔やみきれない。子育ての失敗作がここにいる。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
隠ぺい魔法で王城から帰ってからというもの、吊り橋効果も手伝って、ハワードの容赦ない調教に身を委ねてしまった結果。バレンシアは、結婚式までの間に、すっかりハワードに開発され尽くしていて、もう自分の意志とは無関係に、ハワードの愛撫に飼いならされてしまっている。
でも、こんなに気持ちがいいものだとは知らずにいたのだから、もしかして、マリアンローゼが訪ねてこなければ、学園で、アーノルドに襲われていたかもしれない。そうなれば、初めての男がアーノルドになり、否が応でも二人の結婚は相整ったと思うと、ゾッとするし、相手がハワードで良かったという気さえする。
あのマリアンローゼというニセモノがバレンシアの身代わりになってくれたことは、今から思うとよかったと思う。
結局、マリアンローゼは、アーノルドからも捨てられ、自ら偽公女だと名乗り出たので、処刑は免れ、娼館送りとなったのだ。
ただし、借金を背負わされることなく、生まれ育った娼館で、のんびり娼婦を送りながら、いい人が見つかれば、結婚することもできるらしい。
娼館の権限は、王太后が握っていて、これはバレンシアの願いを聞き入れてくれて、こんな甘い処分となったのだ。
それもこれも、マリアンローゼが先にアーノルドと仲良くなってくれたおかげだと、バレンシアは思っているから。
ハワードと話し合った結果、新しい王都はセレナーデに決まり、遷都の儀式も終えた。
前国王は、ハワードが成人するまで住んでいた別宮に居を移し、今までの王城は、観光施設として、諸外国や観光客に一般公開されることになった。
セレナーデに移築してもよかったのだけど、新しい王城を新築することで経済の発展、活性化を図ることと国防にも力を入れるつもりでいる。
セレナーデでは、今日も今日とて、花火を盛大に打ち上げ、バレンシアとハワードの結婚式を祝している。
その前にアーノルド様は、前国王との間で、ひと悶着あり廃嫡について、ずいぶん抵抗なされたと聞き及ぶ。
お小さいときから、将来の国王になるための教育を受けてきたアーノルド様には、大人の事情など理解しがたい。
「父上は、来るべき戦に対して、備えよと仰せだったのに、なぜ私が廃嫡せねばならないのでございますか?」
「お前が偽公女と浮気をして、自ら聖女様との婚約を破棄したことは忘れたか?」
「確かに浮気しましたが、浮氣は浮気であって本気ではない。だから婚約破棄も無効になっているものとばかり、思っていました」
「そんな都合がいい話がどこにある?男なら、いったん口にしたことを反故になどできないのだ。それにバレンシア嬢は、次期国王妃に内定している。だから、いくらあれは嘘の婚約破棄だったと申し出ても、どうにもならないのだよ」
「つまりバレンシアと婚約破棄が成立してしまったので、私が廃嫡されるということですか?」
「そうだ。そういうことだ」
「バレンシアは、王太子よりも偉いということなのですね?」
「バレンシア嬢は、聖女様だからお前より偉いのだ。わかったか?」
「なぜ聖女様は偉いのですか?」
前国王は、また話が降り出しに戻ってしまったことにいら立ちが隠せない。側妃の孫というだけで、ここまで知力が低下するものなのだろうか?
とにかく自分の命乞いのためにも、ここは円満に譲位する方が身のためというもの。下手に抵抗して、王都が焼け野原になり、王族以外の者たちと連座制にされるのはまっぴらごめんというところ。
前国王は、バレンシアがハワードになびいたのは、顔だけが原因ではないとわかっている。頭が違うからで、見た目だけで負けたとは思っていない。
ましてバレンシア嬢は、聖女様で、お妃教育も完ぺきに終了しているのだから、アーノルドとは比べようがないほど、賢い。
だからわかっているが、逃がした魚が大きいということに、アーノルドが気付いてくれれば、まだ救いはあるが、それすらも気づけない程に、アーノルドは知能が低い。
せめてハワード位の賢さがあれば、よかったのに。と悔やんでも悔やみきれない。子育ての失敗作がここにいる。
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隠ぺい魔法で王城から帰ってからというもの、吊り橋効果も手伝って、ハワードの容赦ない調教に身を委ねてしまった結果。バレンシアは、結婚式までの間に、すっかりハワードに開発され尽くしていて、もう自分の意志とは無関係に、ハワードの愛撫に飼いならされてしまっている。
でも、こんなに気持ちがいいものだとは知らずにいたのだから、もしかして、マリアンローゼが訪ねてこなければ、学園で、アーノルドに襲われていたかもしれない。そうなれば、初めての男がアーノルドになり、否が応でも二人の結婚は相整ったと思うと、ゾッとするし、相手がハワードで良かったという気さえする。
あのマリアンローゼというニセモノがバレンシアの身代わりになってくれたことは、今から思うとよかったと思う。
結局、マリアンローゼは、アーノルドからも捨てられ、自ら偽公女だと名乗り出たので、処刑は免れ、娼館送りとなったのだ。
ただし、借金を背負わされることなく、生まれ育った娼館で、のんびり娼婦を送りながら、いい人が見つかれば、結婚することもできるらしい。
娼館の権限は、王太后が握っていて、これはバレンシアの願いを聞き入れてくれて、こんな甘い処分となったのだ。
それもこれも、マリアンローゼが先にアーノルドと仲良くなってくれたおかげだと、バレンシアは思っているから。
ハワードと話し合った結果、新しい王都はセレナーデに決まり、遷都の儀式も終えた。
前国王は、ハワードが成人するまで住んでいた別宮に居を移し、今までの王城は、観光施設として、諸外国や観光客に一般公開されることになった。
セレナーデに移築してもよかったのだけど、新しい王城を新築することで経済の発展、活性化を図ることと国防にも力を入れるつもりでいる。
セレナーデでは、今日も今日とて、花火を盛大に打ち上げ、バレンシアとハワードの結婚式を祝している。
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