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教会の前に捨てられていた孤児として、育てられたジェニファーは、5歳の時に聖女様に覚醒した。以来、バルサン王家の庇護のもと、同い年のコックローチ王子の婚約者として城で暮らしてきた。
年頃になると、コックローチ王子はさっさと公爵令嬢ルフィと浮名を流し始め、ジェニファーを蔑ろにほったらかしにされていた。
公爵令嬢ルフィは、自分こそが真の聖女様であると名乗りをあげ、ジェニファーのことを貧民の偽聖女であると決めつけバカにし始めた。
その噂は国民にまで知れ渡り、巡礼のため各地に行っても、石やごみを投げられ冷遇されるようになった。
ジェニファーが長く聖女として君臨してきたので平和が保たれていると知らずに。
その平和は当たり前の日常として、国民の生活に根付いていただけだったのに。
バルサン国王陛下が身罷られてから、さらに待遇が悪化し、ついに次期国王のコックローチ王太子殿下から婚約破棄を通告され、王城を追い出されてしまう。
今まで開放していた聖なる力を解除するジェニファー。「どうなっても知らない」とコックローチに伝えたものの、王太子殿下は「どうなることもあるまい」としか、言われなかった。
罪人用の馬車に乗せられ、国民から「穀つぶし、税金ドロボー」と誹りを受けながら、まるで本物のゴミを捨てるかごとく、国境付近で馬車の外に投げ出されてしまう。
投げ出された拍子に、あちこちぶつけてしまいけがをしてしまう。偶然通りかかった騎士に助けられるが、その騎士の所属する国家は、大変な貧乏国アースレッドで食うや食わずの生活を強いられることになるが、いいのか?と聞かれるも、他に行く当てもないので、思わずコクリと頷く。
ジェニファーを連れ帰った騎士は、実は騎士ではなく貧乏国アースレッドの王子様だった。少しでも燃料の足しに、と薪を拾っている最中にジェニファーを見つけたということだった。
その頃、ジェニファーを捨てたバルサン王国は、怪しげな雲が立ち上がり、まだ秋だというのに、雪が舞い始める。
収穫の秋に浮かれていた国民は、慌てて収穫するも、冷害で、作物はみんな枯れてしまい、城の備蓄庫を開けざるを得なくなる。
コックローチ王太子殿下は、婚約者の公女ルフィに八つ当たりをして、怒らせるものの、何も打つ手がない。
「お前も聖女様と謳うからは、なんとかしろ!あのジェニファーの役立たずでも、ここまでひどくはなかったぞ?」
ジェニファーと婚約してからは、順風満帆で国が荒れるのを見たことはなかった。だから、ジェニファーを捨てたところで何も変わらないと思っていたのに、こんなはずではなかったと今更後悔しても、まだこれがジェニファーを追い出したことと関係があるのかわからない。
「あんな、見すぼらしい女とわたくしを比べないで頂戴」
婚約者のルフィ公女様は、コックローチ王太子の婚約者になりたいがためにジェニファーを貶めるつもりで、聖女様だと嘘を吐いたのだ。
偽聖女はルフィ公女様自身だということを身をもって知ることになるが、認めたくない。偽聖女を名乗ることはこのバルサン王国では大罪で、下手をすれば極刑になりかねない。
聖女様の身分は王族より上になるのだから、本来ならコックローチ王太子も好き嫌いだけで、ジェニファーと婚約破棄などできないのであるが、前のバルサン国王陛下が死去された混乱に乗じて、婚約破棄をしてしまったというところ。
それにルフィ公女様はご存知なかったことだと思うけど、聖女様と言うのは、1000年に一人しか存在しない。
自分に聖女様となる資格がないにも関わらず、本物の聖女様を追い出し、けがを負わせ命の危険に晒したら、公女様もタダでは済まないということを知らないでいる。
今回の冷害に教会は大慌てで、バルサン王家にジェニファーの面会を求めるも、ジェニファーはすでに捨てられた後のことだとわかり、絶望に暮れる。
「これは神の怒りだ。もう、バルサン国はおしまいだ」
「そんなバカなことがあってたまるか」
コックローチ王太子は呟くものの、日が経つにつれ、どんどん状況は悪化してくる。
とりあえずコックローチ王太子は、ジェニファー探索のため、捜索隊を編成し、あの日、国外追放にした国境線を中心に捜索を開始することにした。
「いったいどこに聖女様を捨てたというのだ?これでは雲をつかむような話で、皆目見当がつかない」
「そう言われましても、あっしは、言われた通り国境で聖女様を投げ捨てたので、どこかはっきりと思い出せない」
「このあたりは、夜になると野犬が多く出没する場所だ。すでに聖女様は食われた後かもしれない。そうなると、叱られるのはこっちなのだ。殿下自ら命令をしておきながら、責任は、こっちに回ってくる。まったく困ったものだ」
「とにかく、 聖女様の亡骸か残骸だけは見つけ出さないと、言い訳のしようもない」
「やっぱりジェニファー様が本物の聖女様だったということか。教会は血眼になって、ジェニファー様の行方を捜しているらしいが、見つからないらしい」
「そうなると、公女様のお命も風前の灯火というところだな」
「まったく口は禍の元とは、よく言ったものだ」
年頃になると、コックローチ王子はさっさと公爵令嬢ルフィと浮名を流し始め、ジェニファーを蔑ろにほったらかしにされていた。
公爵令嬢ルフィは、自分こそが真の聖女様であると名乗りをあげ、ジェニファーのことを貧民の偽聖女であると決めつけバカにし始めた。
その噂は国民にまで知れ渡り、巡礼のため各地に行っても、石やごみを投げられ冷遇されるようになった。
ジェニファーが長く聖女として君臨してきたので平和が保たれていると知らずに。
その平和は当たり前の日常として、国民の生活に根付いていただけだったのに。
バルサン国王陛下が身罷られてから、さらに待遇が悪化し、ついに次期国王のコックローチ王太子殿下から婚約破棄を通告され、王城を追い出されてしまう。
今まで開放していた聖なる力を解除するジェニファー。「どうなっても知らない」とコックローチに伝えたものの、王太子殿下は「どうなることもあるまい」としか、言われなかった。
罪人用の馬車に乗せられ、国民から「穀つぶし、税金ドロボー」と誹りを受けながら、まるで本物のゴミを捨てるかごとく、国境付近で馬車の外に投げ出されてしまう。
投げ出された拍子に、あちこちぶつけてしまいけがをしてしまう。偶然通りかかった騎士に助けられるが、その騎士の所属する国家は、大変な貧乏国アースレッドで食うや食わずの生活を強いられることになるが、いいのか?と聞かれるも、他に行く当てもないので、思わずコクリと頷く。
ジェニファーを連れ帰った騎士は、実は騎士ではなく貧乏国アースレッドの王子様だった。少しでも燃料の足しに、と薪を拾っている最中にジェニファーを見つけたということだった。
その頃、ジェニファーを捨てたバルサン王国は、怪しげな雲が立ち上がり、まだ秋だというのに、雪が舞い始める。
収穫の秋に浮かれていた国民は、慌てて収穫するも、冷害で、作物はみんな枯れてしまい、城の備蓄庫を開けざるを得なくなる。
コックローチ王太子殿下は、婚約者の公女ルフィに八つ当たりをして、怒らせるものの、何も打つ手がない。
「お前も聖女様と謳うからは、なんとかしろ!あのジェニファーの役立たずでも、ここまでひどくはなかったぞ?」
ジェニファーと婚約してからは、順風満帆で国が荒れるのを見たことはなかった。だから、ジェニファーを捨てたところで何も変わらないと思っていたのに、こんなはずではなかったと今更後悔しても、まだこれがジェニファーを追い出したことと関係があるのかわからない。
「あんな、見すぼらしい女とわたくしを比べないで頂戴」
婚約者のルフィ公女様は、コックローチ王太子の婚約者になりたいがためにジェニファーを貶めるつもりで、聖女様だと嘘を吐いたのだ。
偽聖女はルフィ公女様自身だということを身をもって知ることになるが、認めたくない。偽聖女を名乗ることはこのバルサン王国では大罪で、下手をすれば極刑になりかねない。
聖女様の身分は王族より上になるのだから、本来ならコックローチ王太子も好き嫌いだけで、ジェニファーと婚約破棄などできないのであるが、前のバルサン国王陛下が死去された混乱に乗じて、婚約破棄をしてしまったというところ。
それにルフィ公女様はご存知なかったことだと思うけど、聖女様と言うのは、1000年に一人しか存在しない。
自分に聖女様となる資格がないにも関わらず、本物の聖女様を追い出し、けがを負わせ命の危険に晒したら、公女様もタダでは済まないということを知らないでいる。
今回の冷害に教会は大慌てで、バルサン王家にジェニファーの面会を求めるも、ジェニファーはすでに捨てられた後のことだとわかり、絶望に暮れる。
「これは神の怒りだ。もう、バルサン国はおしまいだ」
「そんなバカなことがあってたまるか」
コックローチ王太子は呟くものの、日が経つにつれ、どんどん状況は悪化してくる。
とりあえずコックローチ王太子は、ジェニファー探索のため、捜索隊を編成し、あの日、国外追放にした国境線を中心に捜索を開始することにした。
「いったいどこに聖女様を捨てたというのだ?これでは雲をつかむような話で、皆目見当がつかない」
「そう言われましても、あっしは、言われた通り国境で聖女様を投げ捨てたので、どこかはっきりと思い出せない」
「このあたりは、夜になると野犬が多く出没する場所だ。すでに聖女様は食われた後かもしれない。そうなると、叱られるのはこっちなのだ。殿下自ら命令をしておきながら、責任は、こっちに回ってくる。まったく困ったものだ」
「とにかく、 聖女様の亡骸か残骸だけは見つけ出さないと、言い訳のしようもない」
「やっぱりジェニファー様が本物の聖女様だったということか。教会は血眼になって、ジェニファー様の行方を捜しているらしいが、見つからないらしい」
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