1 / 1
婚約破棄
しおりを挟む
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
シルヴィアは、自分の部屋に荷物だけ置き、着替えて王宮のホールへ入った。
目の前にいるのが、婚約者だろうか?いや、ピンクブロンドの女を連れているから、違うかもしれない。
でも胸に赤いバラを付けているのは、目の前にいる男だけだった。顔合わせだから、目印に赤いバラを胸に付けている。お互いが初対面なので、わからないだろうという配慮である。
「その方がシルヴィア嬢か?」と問われ、
「はい。シルヴィアでございます。」とカテーシーで礼を取った。
なんだか、偉そうな感じの男ね。と思っていた。
「家名も付いていないような平民の女と婚約する気はない。俺は、伯爵令嬢のサーシャ嬢と結婚する。」
ピンクブロンドの女が、これまた勝ち誇ったような顔をした。
「あ、そうですか?それで、本当によろしいのですね?」
「わたくしも父から命令されて、この場にいるだけですから、婚約破棄、お受けいたします。」
さっさと引き上げようとしたところ、父がスカタンピ侯爵と共に現れた。
「父上、家名も付いていないような平民の女と結婚できないと、たった今、婚約破棄されました。そちらの伯爵令嬢サーシャ様とご結婚されるそうです。」
「スカタンピ侯爵、一体どういうことだ?」低音でドスの利いた声でびっくりしたわ。
「わ、わ、わ。コラッ!ユーリン!勝手に、何ということをしてくれたっ!」
ユーリン様はマヌケ顔している。「?」
「父上!あんまりではありませんか!家名もない平民女と、いきなり婚約だなんて!だから、破棄しましたが、それが何か?」
「ば、ば、バカ者!こちらにおわす御方をどなたと心得る、恐れ多くも王女シルヴィア殿下であらせられます。控えおろう無礼者めが!」
「は?王女殿下?それで家名を名乗られなかった?」
ユーリン様は、青ざめ、その場でへたり込んだ。
ピンクブロンドもその場から、いち早く気配を消した。
「スカタンピ侯爵、相応の慰謝料を払ってもらうぞ。それだけでは済まさぬがな。伯爵令嬢サーシャ嬢も相応の罰を、追って沙汰をする。」
衛兵が、3人を引き連れていった。
父上は、私に向き直り、
「おかえり、シルヴィア。留学はどうだった?楽しかったか?」
「ただいま。父上、留学生活は、とても充実しておりました。永きに渡り、留学させていただきありがとう存じました。」
父上は、壇上に上がり、
「今宵、我が娘の婚約披露パーティの予定であったが見ての通り、流れてしまった。散会するのも吝かなので、好きに食って、飲んでくれ。」と言われた。
私も、すぐ引っ込もうと思ったけれど、5年ぶりの王宮なので、皆さまと歓談した。
すると、私と歓談している方の後ろ側から、列ができた。「?」どうやら、貴族の次男、三男など、領地を継げない貴族の令息たちが並んでいる模様。
そう、私は、王女殿下。もし、結婚して王籍を離れたら、公爵になる身分。
うしろに並んでいる令息たちは、公爵の夫の地位を狙って、集まってきているのだ。
おあいにく様!
私には、留学先で好きな男性がいたのだ。でも、こちらで婚約者を決められてしまって、彼のプロポーズを受けられなかった。
実は、今回の帰国、その彼氏と一緒なんだけどね。婚約破棄されちゃったから、パーティが終わったら、父に紹介するつもり♪
留学先の国の王子様だけど、
「シルヴィアが手に入るのなら、たとえ王位継承権を放棄しても、結婚したい。」
なんて、言ってくださっているのよ。素敵でしょ♡
パーティが終わった。
私と話せた貴族令息は、皆満足そうに帰って行った。
彼氏を呼び寄せて、父に紹介した。
父は、不機嫌そうにしながらも、
「シルヴィアのことを、宜しく頼む。」と言ってくれた。
その夜、彼氏と愛し合った。
彼氏も、もし私が婚約者と意気投合してしまったら、という不安から何度も求められた。
翌朝、シルヴィアは彼氏と共に、また留学先へ旅立った。
彼氏の王位継承権がダメになれば、すぐ帰国して、こちらで結婚式を挙げるつもりでいる。
良くて王太子妃、悪くても公爵夫人、そう思えば割り切れた。
そして、スカタンピ侯爵は、領地没収の上、改易。その息子ユーリンと伯爵令嬢サーシャは平民落ちとなった。
平民あっての貴族であるということを忘れ、平民を愚弄した。という理由で。
自ら、平民になり、よく考えなさい、ということらしい。
ユーリンとサーシャは、平民として結婚したが、夫婦げんかが絶えなかった。
「ユーリンのド甲斐性なし!もっと稼いで来い!」
「サーシャ阿婆擦れバカ女、お前のせいで人生滅茶苦茶だ!」
シルヴィアは、というと見事、王太子妃になりました。
おしまい
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
シルヴィアは、自分の部屋に荷物だけ置き、着替えて王宮のホールへ入った。
目の前にいるのが、婚約者だろうか?いや、ピンクブロンドの女を連れているから、違うかもしれない。
でも胸に赤いバラを付けているのは、目の前にいる男だけだった。顔合わせだから、目印に赤いバラを胸に付けている。お互いが初対面なので、わからないだろうという配慮である。
「その方がシルヴィア嬢か?」と問われ、
「はい。シルヴィアでございます。」とカテーシーで礼を取った。
なんだか、偉そうな感じの男ね。と思っていた。
「家名も付いていないような平民の女と婚約する気はない。俺は、伯爵令嬢のサーシャ嬢と結婚する。」
ピンクブロンドの女が、これまた勝ち誇ったような顔をした。
「あ、そうですか?それで、本当によろしいのですね?」
「わたくしも父から命令されて、この場にいるだけですから、婚約破棄、お受けいたします。」
さっさと引き上げようとしたところ、父がスカタンピ侯爵と共に現れた。
「父上、家名も付いていないような平民の女と結婚できないと、たった今、婚約破棄されました。そちらの伯爵令嬢サーシャ様とご結婚されるそうです。」
「スカタンピ侯爵、一体どういうことだ?」低音でドスの利いた声でびっくりしたわ。
「わ、わ、わ。コラッ!ユーリン!勝手に、何ということをしてくれたっ!」
ユーリン様はマヌケ顔している。「?」
「父上!あんまりではありませんか!家名もない平民女と、いきなり婚約だなんて!だから、破棄しましたが、それが何か?」
「ば、ば、バカ者!こちらにおわす御方をどなたと心得る、恐れ多くも王女シルヴィア殿下であらせられます。控えおろう無礼者めが!」
「は?王女殿下?それで家名を名乗られなかった?」
ユーリン様は、青ざめ、その場でへたり込んだ。
ピンクブロンドもその場から、いち早く気配を消した。
「スカタンピ侯爵、相応の慰謝料を払ってもらうぞ。それだけでは済まさぬがな。伯爵令嬢サーシャ嬢も相応の罰を、追って沙汰をする。」
衛兵が、3人を引き連れていった。
父上は、私に向き直り、
「おかえり、シルヴィア。留学はどうだった?楽しかったか?」
「ただいま。父上、留学生活は、とても充実しておりました。永きに渡り、留学させていただきありがとう存じました。」
父上は、壇上に上がり、
「今宵、我が娘の婚約披露パーティの予定であったが見ての通り、流れてしまった。散会するのも吝かなので、好きに食って、飲んでくれ。」と言われた。
私も、すぐ引っ込もうと思ったけれど、5年ぶりの王宮なので、皆さまと歓談した。
すると、私と歓談している方の後ろ側から、列ができた。「?」どうやら、貴族の次男、三男など、領地を継げない貴族の令息たちが並んでいる模様。
そう、私は、王女殿下。もし、結婚して王籍を離れたら、公爵になる身分。
うしろに並んでいる令息たちは、公爵の夫の地位を狙って、集まってきているのだ。
おあいにく様!
私には、留学先で好きな男性がいたのだ。でも、こちらで婚約者を決められてしまって、彼のプロポーズを受けられなかった。
実は、今回の帰国、その彼氏と一緒なんだけどね。婚約破棄されちゃったから、パーティが終わったら、父に紹介するつもり♪
留学先の国の王子様だけど、
「シルヴィアが手に入るのなら、たとえ王位継承権を放棄しても、結婚したい。」
なんて、言ってくださっているのよ。素敵でしょ♡
パーティが終わった。
私と話せた貴族令息は、皆満足そうに帰って行った。
彼氏を呼び寄せて、父に紹介した。
父は、不機嫌そうにしながらも、
「シルヴィアのことを、宜しく頼む。」と言ってくれた。
その夜、彼氏と愛し合った。
彼氏も、もし私が婚約者と意気投合してしまったら、という不安から何度も求められた。
翌朝、シルヴィアは彼氏と共に、また留学先へ旅立った。
彼氏の王位継承権がダメになれば、すぐ帰国して、こちらで結婚式を挙げるつもりでいる。
良くて王太子妃、悪くても公爵夫人、そう思えば割り切れた。
そして、スカタンピ侯爵は、領地没収の上、改易。その息子ユーリンと伯爵令嬢サーシャは平民落ちとなった。
平民あっての貴族であるということを忘れ、平民を愚弄した。という理由で。
自ら、平民になり、よく考えなさい、ということらしい。
ユーリンとサーシャは、平民として結婚したが、夫婦げんかが絶えなかった。
「ユーリンのド甲斐性なし!もっと稼いで来い!」
「サーシャ阿婆擦れバカ女、お前のせいで人生滅茶苦茶だ!」
シルヴィアは、というと見事、王太子妃になりました。
おしまい
2,236
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
婚約者が私の妹と結婚したいと言い出したら、両親が快く応じた話
しがついつか
恋愛
「リーゼ、僕たちの婚約を解消しよう。僕はリーゼではなく、アルマを愛しているんだ」
「お姉様、ごめんなさい。でも私――私達は愛し合っているの」
父親達が友人であったため婚約を結んだリーゼ・マイヤーとダニエル・ミュラー。
ある日ダニエルに呼び出されたリーゼは、彼の口から婚約の解消と、彼女の妹のアルマと婚約を結び直すことを告げられた。
婚約者の交代は双方の両親から既に了承を得ているという。
両親も妹の味方なのだと暗い気持ちになったリーゼだったが…。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
婚約破棄? そもそも君は一体誰だ?
歩芽川ゆい
ファンタジー
「グラングスト公爵家のフェルメッツァ嬢、あなたとモルビド王子の婚約は、破棄されます!」
コンエネルジーア王国の、王城で主催のデビュタント前の令息・令嬢を集めた舞踏会。
プレデビュタント的な意味合いも持つこの舞踏会には、それぞれの両親も壁際に集まって、子供たちを見守りながら社交をしていた。そんな中で、いきなり会場のど真ん中で大きな女性の声が響き渡った。
思わず会場はシンと静まるし、生演奏を奏でていた弦楽隊も、演奏を続けていいものか迷って極小な音量での演奏になってしまった。
声の主をと見れば、ひとりの令嬢が、モルビド王子と呼ばれた令息と腕を組んで、令嬢にあるまじきことに、向かいの令嬢に指を突き付けて、口を大きく逆三角形に笑みを浮かべていた。
私よりも姉を好きになった婚約者
神々廻
恋愛
「エミリー!お前とは婚約破棄し、お前の姉のティアと婚約する事にした!」
「ごめんなさい、エミリー.......私が悪いの、私は昔から家督を継ぐ様に言われて貴方が羨ましかったの。それでっ、私たら貴方の婚約者のアルに恋をしてしまったの.......」
「ティア、君は悪くないよ。今まで辛かったよな。だけど僕が居るからね。エミリーには僕の従兄弟でティアの元婚約者をあげるよ。それで、エミリーがティアの代わりに家督を継いで、僕の従兄と結婚する。なんて素敵なんだろう。ティアは僕のお嫁さんになって、2人で幸せな家庭を築くんだ!」
「まぁ、アルったら。家庭なんてまだ早いわよ!」
このバカップルは何を言っているの?
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
侯爵が一番悪いですよね。
王族との婚姻で息子に基本情報すら知らせていないとかまずいでしょう。
さすがに王族相手と知っていたら息子も伯爵令嬢も愚かな真似はしなかったのではないかなと思いました。
でも主人公はハッピーで良かったですね。面白かったです。
国王の台詞で「…散会するのも吝かなので、好きに飲んで食ってくれ。」とありますが、文脈から見て吝かの使い方を間違ってるか、意味を勘違いして使っているかと思われます。
吝かは寧ろやりたいとか、積極的にやりたいといった意味になります、一度お調べ下さい。
ご指摘いただきありがとうございます
やぶさかは、本来物惜しみするという意味です
やぶさかではないになると、おっしゃる通り二重否定になり、喜んでするになります
したがって、この場合は、否定していないので、そのまま使わせていただきます