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それから何度かそのイケメンと図書室で顔を合わせるうちに、親しくなっていく。親しくと言っても、挨拶を交わす程度で、距離は縮まらない。
イケメンさんの名前は、ずっと知らずにいたのだけど、偶然、ロザリーヌのお茶会で会った。
ロザリーヌのお兄様でベルサイユ国第1王子のフランシス様で、1歳年上だということが分かった。
「なぁに?お二人は、お知り合いだったの?」
ニヤニヤしながら、ロザリーヌは言う。
「図書館で少し」
「道理で、最近お兄様が珍しく図書館通いをなさっていると思っていたら、そういうことでしたか」
「ロザリーヌ、茶化すな」
フランシス様はロザリーヌのアタマをコツンと叩く。仲がいい年の近い兄妹って、うらやましい。
ジョセフィーヌは、一番歳の近い兄妹と言えば……、確か、13歳年上のシャルロッテ姉さまかしら?8歳で遠国のジャーマニー国に嫁がれたと聞いている。以来、一度も里帰りされることもなく、ジャーマニーで立派に王妃を務められていると。
相手の名前がわかってからというものジョセフィーヌとフランシスは、瞬く間に親交を深めていく。
学園の親友のお兄様と、妹の親友の隣国の王女様の関係は、今までにない交際ができた。それこそ最初のうちは、外交問題に発展するかもと、お互い遠慮がちでいたのだが、いい意味でロザリーヌが緩衝材の代わりをしてくれている。
夏休みに入りザルツブルグへ帰国する。
見違えるように女らしくなったジョセフィーヌを見て、母は安心し、ベルサイユの学園話をしきりに聞いてきた。
ジョセフィーヌは、親友のロザリーヌのことも、そのお兄様と図書館でよく会うことなど、包み隠さず話していると、途中から父が横やりを入れてきて
「そのロザリーヌ嬢の兄というのは、第1王子のフランシス殿下の子とか?」
「ええ。そうよ。お父様、ご存知でいらっしゃるの?」
「大変、聡明な王子だと聞いたことがある」
「まあ!ジョセフィーヌちゃん、一度、そのお兄様殿下を連れていらっしゃい」
「ん……いいけど?どうして?ロザリーヌと一緒に招待しよっか。向こうでもお茶会なんかで、よく御呼ばれしているもの」
「そうだわ、今度のジョセフィーヌちゃんのお誕生日パーティにご招待したらどうかしら?」
やけにグイグイ来るお母様に驚いてしまう。
「うまくいけば、ケントホームズを出し抜ける切り札になるかもしれぬしな」
ケントホームズと言えば、アラミスのお父様でしょ?うーん政治的な何かが起こっているの?
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
夏休みが終わり、学園に通いだすとロザリーヌは、お誕生日パーティの招待状のお礼をすぐに言ってくる。
「ウチの両親ったら、ザルツブルグ家と家族ぐるみでお付き合いしたいなんて言って、両親も参加させてもらってもいいかしら?」
「もちろんですわ!でも、よろしいのですか?王女の誕生日会にベルサイユ国の陛下御夫妻がご臨席していただくなんて、とても光栄です。我が国は温泉があり、海の幸と山の幸、両方とも味わえますから是非お越しくださいとお伝えくださいませ」
「いいの。いいの。そんなこと気にしない」
それから1か月後、ジョセフィーヌの誕生日パーティの日が来た。
夏休み中、ロザリーヌは教会に行って、聖女様の称号をもらってきたみたいで、ザルツブルグ家とベルサイユ家の間に秘密の通路を完成させたのだ。
とはいうものの。その通路の出入り口は、ロザリーヌの部屋のクローゼットとジョセフィーヌの部屋のクローゼットを繋いだだけのモノで、誕生日会のためにジョセフィーヌが帰国するときに一緒についてきて、クローゼットに通路の仕掛けをしたということ。ベルサイユ家の皆さんは、その通路を遣い、日帰りで行き来なさるそうだ。
まあ、それなら大げさな護衛も必要ない。
それに今夜は、内輪だけのパーティにしたのだ。
もっとも、この国でジョセフィーヌのお友達と呼べるものは、アラミスぐらいしかいないけど、一度大喧嘩した後、さっぱり我が家に来なくなったから、清々しているところ。
あんなものが友達なら、友達なんていなくていい。
イケメンさんの名前は、ずっと知らずにいたのだけど、偶然、ロザリーヌのお茶会で会った。
ロザリーヌのお兄様でベルサイユ国第1王子のフランシス様で、1歳年上だということが分かった。
「なぁに?お二人は、お知り合いだったの?」
ニヤニヤしながら、ロザリーヌは言う。
「図書館で少し」
「道理で、最近お兄様が珍しく図書館通いをなさっていると思っていたら、そういうことでしたか」
「ロザリーヌ、茶化すな」
フランシス様はロザリーヌのアタマをコツンと叩く。仲がいい年の近い兄妹って、うらやましい。
ジョセフィーヌは、一番歳の近い兄妹と言えば……、確か、13歳年上のシャルロッテ姉さまかしら?8歳で遠国のジャーマニー国に嫁がれたと聞いている。以来、一度も里帰りされることもなく、ジャーマニーで立派に王妃を務められていると。
相手の名前がわかってからというものジョセフィーヌとフランシスは、瞬く間に親交を深めていく。
学園の親友のお兄様と、妹の親友の隣国の王女様の関係は、今までにない交際ができた。それこそ最初のうちは、外交問題に発展するかもと、お互い遠慮がちでいたのだが、いい意味でロザリーヌが緩衝材の代わりをしてくれている。
夏休みに入りザルツブルグへ帰国する。
見違えるように女らしくなったジョセフィーヌを見て、母は安心し、ベルサイユの学園話をしきりに聞いてきた。
ジョセフィーヌは、親友のロザリーヌのことも、そのお兄様と図書館でよく会うことなど、包み隠さず話していると、途中から父が横やりを入れてきて
「そのロザリーヌ嬢の兄というのは、第1王子のフランシス殿下の子とか?」
「ええ。そうよ。お父様、ご存知でいらっしゃるの?」
「大変、聡明な王子だと聞いたことがある」
「まあ!ジョセフィーヌちゃん、一度、そのお兄様殿下を連れていらっしゃい」
「ん……いいけど?どうして?ロザリーヌと一緒に招待しよっか。向こうでもお茶会なんかで、よく御呼ばれしているもの」
「そうだわ、今度のジョセフィーヌちゃんのお誕生日パーティにご招待したらどうかしら?」
やけにグイグイ来るお母様に驚いてしまう。
「うまくいけば、ケントホームズを出し抜ける切り札になるかもしれぬしな」
ケントホームズと言えば、アラミスのお父様でしょ?うーん政治的な何かが起こっているの?
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夏休みが終わり、学園に通いだすとロザリーヌは、お誕生日パーティの招待状のお礼をすぐに言ってくる。
「ウチの両親ったら、ザルツブルグ家と家族ぐるみでお付き合いしたいなんて言って、両親も参加させてもらってもいいかしら?」
「もちろんですわ!でも、よろしいのですか?王女の誕生日会にベルサイユ国の陛下御夫妻がご臨席していただくなんて、とても光栄です。我が国は温泉があり、海の幸と山の幸、両方とも味わえますから是非お越しくださいとお伝えくださいませ」
「いいの。いいの。そんなこと気にしない」
それから1か月後、ジョセフィーヌの誕生日パーティの日が来た。
夏休み中、ロザリーヌは教会に行って、聖女様の称号をもらってきたみたいで、ザルツブルグ家とベルサイユ家の間に秘密の通路を完成させたのだ。
とはいうものの。その通路の出入り口は、ロザリーヌの部屋のクローゼットとジョセフィーヌの部屋のクローゼットを繋いだだけのモノで、誕生日会のためにジョセフィーヌが帰国するときに一緒についてきて、クローゼットに通路の仕掛けをしたということ。ベルサイユ家の皆さんは、その通路を遣い、日帰りで行き来なさるそうだ。
まあ、それなら大げさな護衛も必要ない。
それに今夜は、内輪だけのパーティにしたのだ。
もっとも、この国でジョセフィーヌのお友達と呼べるものは、アラミスぐらいしかいないけど、一度大喧嘩した後、さっぱり我が家に来なくなったから、清々しているところ。
あんなものが友達なら、友達なんていなくていい。
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