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第1章 すべては勘違いから
6.謝罪するイケメン
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「……のど、乾いた」
ぽつりと漏らしてもそりと楠木課長が起き上がり、身体がびくりと反応する。
「……?」
彼がベッドを出ようとして、目があった。
「……おはようございます」
みるみる、彼の顔から血の気が引いていく。
私の顔と自分の身体のあいだに視線を何往復かさせたあと、ベッドを飛び降りて――土下座した。
「すまなかった……!」
「あ、いえ。
別に……」
ベッドに潜り込まれただけで実害はないので、そこまで気にしていない。
「この償いはきちんとする」
「いや、償いって……」
まあ、してもらうとすれば、昨日のタクシー代を払ってもらうくらいなんだけど?
しかし課長の様子からして、なにか盛大に勘違いしているような。
「いくら酔っていたからとはいえ君の家に泊まり、あまつさえ君とこんなことを……!」
「あー……」
これはもしかして、一夜の過ちを犯してしまったと思っている?
「えっとですね……」
誤解を解こうと口を開きかけて、止まる。
少なくとも昨晩、無理矢理押し倒されて唇は奪われたわけで。
しかも寝落ちて未遂で終わったとはいえ、あれは絶対にヤル気だった。
と、いうことは、少しくらいからかってもバチは当たらないのでは?
「……楠木課長、酷いです。
私、ハ、……ハジメテ、……だったのに」
うるうると目を潤ませ、伏せ目がちに告白する。
言っておくが別に、盛っていない。
本当に昨晩のキスが、私のファーストキスだったのだ。
すみませんね、二十六にもなってド処女で。
「……!?」
私の言葉で課長がわたわたと盛大に慌てだす。
まあそうだよね、酔った勢いで抱いた……と思っている相手が、処女だとかさ。
ありえないほど彼は混乱していて、昨晩の迷惑分くらいは楽しませてもらったので真実を告げようとした瞬間。
「責任は取る!
僕と結婚しよう!」
「……は?」
口は一音発したまま、固まっている。
けれど課長は私の両手を握り、それが正解だとばかりに力強く頷いた。
「……えっと。
ハジメテはハジメテでも……」
「ハジメテだったんだろ!?」
気を取り直して説明しようした途端に力一杯、遮られる。
「その」
いや、そっちのハジメテじゃなくてね?
なんて言葉は、至近距離から見つめるキラキラした瞳に封じられた。
「……まあ」
嘘はついていない、ついていない、が!
甚だしくすれ違っている!
「なら、責任は取る。
僕と結婚しよう」
さっきと同じ言葉を、楠木課長が繰り返す。
「ええと、その……」
「まずは香坂のご両親に挨拶に行かないとな。
僕の両親は群馬だから、顔合わせはどうするか……」
「あのー、ですね?」
「とりあえず一度、帰って着替えてくる」
課長はまったく聞く耳持たずでシャツとスラックスだけ着て、眼鏡をかけた。
「今日は休みだし、どこかでゆっくり食事でもしながら今後の相談をしよう。
じゃあ、着替えたらまた来るから、香坂も準備していてくれ」
「あ……」
荷物一式を抱え、課長が出ていく。
バタンと閉まったドアをしばらく、無言で見つめていた。
「……え?
どうなってんの?」
寝起きのせいだけじゃなく、あたまがついていかない。
どうしてこんなことになっている?
なにが悪かったって、私のちょっとした悪戯心しかない。
「なんてことをしてしまったんだー!」
私の叫びが虚しく、部屋に響いた。
ぽつりと漏らしてもそりと楠木課長が起き上がり、身体がびくりと反応する。
「……?」
彼がベッドを出ようとして、目があった。
「……おはようございます」
みるみる、彼の顔から血の気が引いていく。
私の顔と自分の身体のあいだに視線を何往復かさせたあと、ベッドを飛び降りて――土下座した。
「すまなかった……!」
「あ、いえ。
別に……」
ベッドに潜り込まれただけで実害はないので、そこまで気にしていない。
「この償いはきちんとする」
「いや、償いって……」
まあ、してもらうとすれば、昨日のタクシー代を払ってもらうくらいなんだけど?
しかし課長の様子からして、なにか盛大に勘違いしているような。
「いくら酔っていたからとはいえ君の家に泊まり、あまつさえ君とこんなことを……!」
「あー……」
これはもしかして、一夜の過ちを犯してしまったと思っている?
「えっとですね……」
誤解を解こうと口を開きかけて、止まる。
少なくとも昨晩、無理矢理押し倒されて唇は奪われたわけで。
しかも寝落ちて未遂で終わったとはいえ、あれは絶対にヤル気だった。
と、いうことは、少しくらいからかってもバチは当たらないのでは?
「……楠木課長、酷いです。
私、ハ、……ハジメテ、……だったのに」
うるうると目を潤ませ、伏せ目がちに告白する。
言っておくが別に、盛っていない。
本当に昨晩のキスが、私のファーストキスだったのだ。
すみませんね、二十六にもなってド処女で。
「……!?」
私の言葉で課長がわたわたと盛大に慌てだす。
まあそうだよね、酔った勢いで抱いた……と思っている相手が、処女だとかさ。
ありえないほど彼は混乱していて、昨晩の迷惑分くらいは楽しませてもらったので真実を告げようとした瞬間。
「責任は取る!
僕と結婚しよう!」
「……は?」
口は一音発したまま、固まっている。
けれど課長は私の両手を握り、それが正解だとばかりに力強く頷いた。
「……えっと。
ハジメテはハジメテでも……」
「ハジメテだったんだろ!?」
気を取り直して説明しようした途端に力一杯、遮られる。
「その」
いや、そっちのハジメテじゃなくてね?
なんて言葉は、至近距離から見つめるキラキラした瞳に封じられた。
「……まあ」
嘘はついていない、ついていない、が!
甚だしくすれ違っている!
「なら、責任は取る。
僕と結婚しよう」
さっきと同じ言葉を、楠木課長が繰り返す。
「ええと、その……」
「まずは香坂のご両親に挨拶に行かないとな。
僕の両親は群馬だから、顔合わせはどうするか……」
「あのー、ですね?」
「とりあえず一度、帰って着替えてくる」
課長はまったく聞く耳持たずでシャツとスラックスだけ着て、眼鏡をかけた。
「今日は休みだし、どこかでゆっくり食事でもしながら今後の相談をしよう。
じゃあ、着替えたらまた来るから、香坂も準備していてくれ」
「あ……」
荷物一式を抱え、課長が出ていく。
バタンと閉まったドアをしばらく、無言で見つめていた。
「……え?
どうなってんの?」
寝起きのせいだけじゃなく、あたまがついていかない。
どうしてこんなことになっている?
なにが悪かったって、私のちょっとした悪戯心しかない。
「なんてことをしてしまったんだー!」
私の叫びが虚しく、部屋に響いた。
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