求婚されても困ります!~One Night Mistake~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第2章 理想の旦那

10.この人はなんかおかしい

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「ごちそうさまでした……」

「ん、お粗末様でした」

こんな晩ごはんなら、毎日食べたい……。
いかんいかん、餌付けなんてされないとも。
うん。

「あ、片付けはやります!」

ごはんを作ってもらったのに片付けすらしないなんて、申し分けなさすぎる。

「そうか?
じゃあ、一緒にやるか」

狭いキッチンに大きな楠木さんと一緒に並ぶのは本当に……密着する。

「僕が洗うからすすいでくれるか」

「はい」

それでもどうにか、楠木さんが洗ったものを私がすすいでいく。
上機嫌なのかさっきから彼は、鼻歌なんて歌っている。
なんの歌かと思ったら前期にあっていた、これも私が好きな、異世界転生もののアニメの主題歌だった。

「なんか、新婚みたいだな」

「……!」

「あぶなっ!」

私の手から滑り落ちていったお皿を、すんでのところで楠木さんがキャッチする。

「……ああ、すみません」

「麻里恵が怪我をしていないなら、かまわない」

「……!」

ちゅっ、とその唇が額に触れ、またお皿が私の手から逃れていく。
今度は楠木さんの手も間に合わなくて、ガチャンと大きな音を立てた。

「……すみません」

「大丈夫か?
もういいから座ってろ」

「……そう、します」

ふらふらとソファーへ行ってぽすっと座る。
さっきのあれを思いだし、みるみる顔が熱くなっていった。
どうしてこの人はいちいち、こっぱずかしいことを言い、こっぱずかしいことをするんだろう!
勘弁してほしい。

片付けが終わり、コーヒーを淹れてくれた。
コーヒーメーカーじゃなくドリップ派なのは、いかにもらしい。
買ったイチゴもわざわざヘタを取って練乳までかけてくれた。

「続き、観るだろ?」

「え、いいんですか!?」

さらり、と課長が再生ボタンを押し、続きからはじまる。
ひさしぶりに観るが、やっぱり面白い。

「言ってることもやってることも一般倫理からはアウトなんだが、わかるんだよなー、こういう気持ち」

楠木さんの言葉に、うんうんと激しく頷いて同意した。

「わかります、わかります。
アウトなのはわかるんですけど、これくらいできちゃったらいいな、って」

「だろ!?
いやー、やっぱり麻里恵は気があうなー」

顔が近づいたと思ったら、ちゅっ、とキスして離れる。

「……だから、キスとかすんなって言いよろーが」

「麻里恵は可愛いから、すぐキスしたくなるんから、無理だな」

ジト目で睨んでも楠木さんは涼しい顔で笑っている。
私がキスしたいほど可愛いとか、やっぱりこの人はおかしい。
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