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最終章 面倒、だけどいい
2.楠木さんの同期
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なにも決められずに悶々と悩んでいるあいだに六月になった。
「なんちゅーか、似合いのカップルっていうのはああいうのをいうんだろうな。
……あ、や、香坂が楠木課長と釣り合わないとか俺はひと言も言ってないからな!」
慌てて熊田さんが取り繕い、苦笑いしてしまう。
「別に気にしてないからいいですよ。
それに私も、お似合いのカップルだと思いますし」
私たちの視線の先では、楠木さんと噂の美女が話していた。
スキッパーカラーのシャツに膝丈のタイトスカート、緩く遊びを持たせてまとめられた髪が大人の色香を演出する。
さらにぱっちりと大きな目にちょうどいい高さの鼻、少し厚めの唇と、まさしく絵に描いたような美女なのだ、彼女は。
「ライバル登場だな。
どうする、香坂?」
「だからー、私は楠木課長と付き合っているわけじゃないので」
とか言いつつも、内心は穏やかじゃない。
楠木さんと彼女――小長井友佳子さんは同期で、東京では結婚秒読みだったとすでに噂が回っていた。
「僕はちょっと、出てくるので」
「あ、侑。
ネクタイ、歪んでる」
楠木さんの前に立ち、小長井さんが彼のネクタイを直す。
「ああ、すまない」
「いってらっしゃい」
彼女が楠木さんへ、小さく手を振る。
それはカップルというよりも、もはや夫婦に見えて、噂を私は確信していた。
小長井さんは、本社営業部の人間だ。
その彼女がどうして福岡支社に来ているのかというと、大手スーパー『トーユー』が福岡に初出店、県内に五店舗同時出店する運びとなり、うちでトレイ周りの内装を請け負うことになったからだ。
小長井さんはトーユーの担当をしており、今回はアドバイザー的立ち位置で、しばらくこちらにいる。
「なんちゅーか、似合いのカップルっていうのはああいうのをいうんだろうな。
……あ、や、香坂が楠木課長と釣り合わないとか俺はひと言も言ってないからな!」
慌てて熊田さんが取り繕い、苦笑いしてしまう。
「別に気にしてないからいいですよ。
それに私も、お似合いのカップルだと思いますし」
私たちの視線の先では、楠木さんと噂の美女が話していた。
スキッパーカラーのシャツに膝丈のタイトスカート、緩く遊びを持たせてまとめられた髪が大人の色香を演出する。
さらにぱっちりと大きな目にちょうどいい高さの鼻、少し厚めの唇と、まさしく絵に描いたような美女なのだ、彼女は。
「ライバル登場だな。
どうする、香坂?」
「だからー、私は楠木課長と付き合っているわけじゃないので」
とか言いつつも、内心は穏やかじゃない。
楠木さんと彼女――小長井友佳子さんは同期で、東京では結婚秒読みだったとすでに噂が回っていた。
「僕はちょっと、出てくるので」
「あ、侑。
ネクタイ、歪んでる」
楠木さんの前に立ち、小長井さんが彼のネクタイを直す。
「ああ、すまない」
「いってらっしゃい」
彼女が楠木さんへ、小さく手を振る。
それはカップルというよりも、もはや夫婦に見えて、噂を私は確信していた。
小長井さんは、本社営業部の人間だ。
その彼女がどうして福岡支社に来ているのかというと、大手スーパー『トーユー』が福岡に初出店、県内に五店舗同時出店する運びとなり、うちでトレイ周りの内装を請け負うことになったからだ。
小長井さんはトーユーの担当をしており、今回はアドバイザー的立ち位置で、しばらくこちらにいる。
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