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唯編②
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「少し考えさせてください」
私に告白してきてくれた1年生の男子。彼は、顔も性格も良いとかで学年問わず人気らしい。そんな彼が私を好きだと言ってくれた。委員会が一緒でたまに話す程度だけど、それでもすごく嬉しかった。
でも。
まだ青川を吹っ切れていない。こんな状態でこの人と付き合うのはこの人に申し訳ない。でも、好きな人に告白するのはすごく勇気がいることだと知っている。そう思ったら、この場で断ることはできなかった。この人のことをこれから知っていって、それで判断したい。だから、連絡先を教えてほしい。そう言おうと思って口を開こうとしたら。
バンッ
急に扉が開いた。そして、そこに立っていたのは。
「青川?」
数ヶ月前に別れた彼氏。1年生の頃から好きで好きでたまらなくて、やっと付き合えて嬉しかったのに、結局、1度も私のことを見てくれなくて振った人。
青川はこちらに歩いてきて1年生にこう言った。
「悪い。こいつは渡せない」
「付き合ってるんですか?」
「いや。付き合ってない」
「それなら、先輩がそういうことを言うのは意味がわかりません」
「ああ。俺もそう思う。でも。こいつだけは、こいつだけはダメなんだ。誰にも。君にも渡したくない。だから諦めて欲しい」
そう言って青川が頭を下げた。1年生の子は戸惑っていたけれど、私が顔を赤くしているのを見て、諦めに似たような笑みをこぼした。
「わかりました。菅山先輩、告白聞いてくれてありがとうございました。先輩のことは諦めます。幸せになってください」
そう言って彼は教室を出て行った。
えっと。
1年生が出て行って、この空き教室には私と青川だけで。どうしようと困っていたら、顔を上げた青川がこちらを向いて再び頭を下げた。
「傷つけてごめん。兄貴の奥さんのこと、中1の頃から好きで。だからお前の告白ずっと流してて。結婚して俺にはチャンスがないってはっきり分かったから、その気持ちなくしたくてお前と付き合った」
「……」
「でも、ずっと忘れられなくて。それでお前傷つけて。本当に悪かった」
「……。うん。でももういいよ」
「よくねえ」
そう言って勢いよく顔を上げた青川は、今までで1番真剣な顔をしていた。
「さっきも言ったけど。お前が好きだ。誰にも取られたくない。1年と付き合うかもしれない、俺の知らないお前をあの1年が知るのかもしれない。そう思ったら嫉妬でどうにかなりそうだった」
「でも、麻由子さんのこと……」
「もう好きじゃねえ。あの2人が目の前でイチャイチャしてても、兄貴から惚気話聞いても、おめでとう、よかったな、しかもう思わねえ。だから、お前が好きだ。お前がもしまだ少しでも俺のこと好きなら、俺ともう1度付き合ってほしい」
「……」
「あ、好きじゃなくてもいい。お前みたいに今度は俺がたくさん愛伝えて、惚れさせるから」
そんなにいっぱい愛を伝えられたら。
「好き。まだ」
そう言ったら青川はすごく嬉しそうな顔をして、「ありがとう」と言って優しく抱きしめてきた。
私に告白してきてくれた1年生の男子。彼は、顔も性格も良いとかで学年問わず人気らしい。そんな彼が私を好きだと言ってくれた。委員会が一緒でたまに話す程度だけど、それでもすごく嬉しかった。
でも。
まだ青川を吹っ切れていない。こんな状態でこの人と付き合うのはこの人に申し訳ない。でも、好きな人に告白するのはすごく勇気がいることだと知っている。そう思ったら、この場で断ることはできなかった。この人のことをこれから知っていって、それで判断したい。だから、連絡先を教えてほしい。そう言おうと思って口を開こうとしたら。
バンッ
急に扉が開いた。そして、そこに立っていたのは。
「青川?」
数ヶ月前に別れた彼氏。1年生の頃から好きで好きでたまらなくて、やっと付き合えて嬉しかったのに、結局、1度も私のことを見てくれなくて振った人。
青川はこちらに歩いてきて1年生にこう言った。
「悪い。こいつは渡せない」
「付き合ってるんですか?」
「いや。付き合ってない」
「それなら、先輩がそういうことを言うのは意味がわかりません」
「ああ。俺もそう思う。でも。こいつだけは、こいつだけはダメなんだ。誰にも。君にも渡したくない。だから諦めて欲しい」
そう言って青川が頭を下げた。1年生の子は戸惑っていたけれど、私が顔を赤くしているのを見て、諦めに似たような笑みをこぼした。
「わかりました。菅山先輩、告白聞いてくれてありがとうございました。先輩のことは諦めます。幸せになってください」
そう言って彼は教室を出て行った。
えっと。
1年生が出て行って、この空き教室には私と青川だけで。どうしようと困っていたら、顔を上げた青川がこちらを向いて再び頭を下げた。
「傷つけてごめん。兄貴の奥さんのこと、中1の頃から好きで。だからお前の告白ずっと流してて。結婚して俺にはチャンスがないってはっきり分かったから、その気持ちなくしたくてお前と付き合った」
「……」
「でも、ずっと忘れられなくて。それでお前傷つけて。本当に悪かった」
「……。うん。でももういいよ」
「よくねえ」
そう言って勢いよく顔を上げた青川は、今までで1番真剣な顔をしていた。
「さっきも言ったけど。お前が好きだ。誰にも取られたくない。1年と付き合うかもしれない、俺の知らないお前をあの1年が知るのかもしれない。そう思ったら嫉妬でどうにかなりそうだった」
「でも、麻由子さんのこと……」
「もう好きじゃねえ。あの2人が目の前でイチャイチャしてても、兄貴から惚気話聞いても、おめでとう、よかったな、しかもう思わねえ。だから、お前が好きだ。お前がもしまだ少しでも俺のこと好きなら、俺ともう1度付き合ってほしい」
「……」
「あ、好きじゃなくてもいい。お前みたいに今度は俺がたくさん愛伝えて、惚れさせるから」
そんなにいっぱい愛を伝えられたら。
「好き。まだ」
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