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第一章 新しい生活の始まり
008-4
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「コーヒー?」
「はい」
少し遅めのお昼を食べに来たノエルさんに、コーヒーの事を聞いてみる。
パチパチと瞬きをした後、ノエルさんの眉間に皺が寄る。ど、どうしたんだろう?
「気にすんな。大方アシュリーに良いトコ見せたいのにコーヒーの事を知らないんだろ」
ラズロさんがにやにや笑いながら言う。
あ、そう言うこと?
悔しそうに口を尖らせるノエルさんの反応からして、ラズロさんの言った通りみたい。
僕としては、ノエルさんにも知らないことがあるんだなー、って親近感がわくんだけど、駄目なのかな?
茄子とキノコを挟んだパニーノとスープを持ってトキア様の執務室にお邪魔する。
「知識を得ることに興味があるのなら、図書室への入室許可を与えるが」
机の上にパニーノとスープを置いていたら、突然トキア様に言われた。
何の事だか分からないでいると、トキア様がコーヒーについてだ、とおっしゃった。何でご存知なんだろう? あ、ノエルさんから聞いたのかな?
「でも僕、簡単な文字しか分からないです」
「そうか」
「はい」
「では、私が教えてやろう」
トキア様から文字を教えてもらう?!
「えっ! そんな、とんでもないです! お忙しいトキア様にそんなご迷惑はおかけできないですっ!」
慌ててお断りする。
忙しくてお昼も食べる余裕がないトキア様に、迷惑なんてかけられないよ!
「そんなに嫌がるな。フルールの事といい、昼の事といい、おまえには世話になっているからな、文字ぐらいどうと言う事はないし、アシュリーのいた村の話も聞きたい」
えっ、でも、フルールの"核"に高価なものをいただいてしまったし、僕の方がお世話になってるのにーっ!
口にしたパニーノの具を、トキア様はまじまじと見つめる。もしかしてお嫌いなものが入っていたとか?!
「これは美味だな。茸の食感と茄子の食感が良い」
ほっとする。
良かったー……一瞬焦ってしまった。
「文字は知っていて損はないぞ。家族にも手紙がかけるだろう」
父さんも母さんも文字は得意ではなかったけど、兄さんは商人スキルがあるから、手紙を書いたら兄さんが読んでくれるかも知れないな。
ちょっとだけ文字が読めるのも、兄さんから教わったからだし。
「明日から教える」
とっても嬉しいけど、本当に良いのかなぁ……?
「案ずるな。基本的な事を覚えれば後は一人でも学んでいける」
ずっとトキア様に迷惑をかける訳ではないってこと?
それなら、覚えたい。
「ありがとうございます、トキア様」
トキア様の大きな手が僕の頭を撫でた。なんかちょっと、恥ずかしいけど、嬉しい。
食堂に戻ってから、そのことをラズロさんに話したらまた、頭を撫でられた。
「おー、良かったじゃねぇか。文字の読み書きが出来た方が悪い奴に騙されなくなるからな。それにしてもあのトキア様がなぁ。アシュリーは随分気に入られてんなぁ」
気に入られて……いるのかな……?
「あの人は気難しいし、無能は嫌いなんだよ」
サッと血の気が引く。
「それじゃあ、僕、駄目だと思いますっ」
「何でだよ。アシュリーは持っているスキルを上手く使ってんじゃねぇか。無いなら無いなりに努力してる姿は好印象だぜ?」
そういうもの?
ラズロさんは笑顔で僕の頭をわしわし撫でた。
「文字の読み書きに慣れたらオレと買い物に行けるな」
「行きたいです!」
この前の買い出しにクリフさんとノエルさんが付いて来てくれたのは、僕が文字を読めない所為もあったみたい。
世間知らずで文字も満足に読めない僕が騙されないようにと、同行してくれたんだって。
うん、やっぱり文字は覚えないと。クリフさんとノエルさんにこれ以上迷惑をかけないようにしたいし、文字が読み書き出来るようになったら、ラズロさんのお買い物のお手伝いも出来そうだし。
頑張るぞ!
「はい」
少し遅めのお昼を食べに来たノエルさんに、コーヒーの事を聞いてみる。
パチパチと瞬きをした後、ノエルさんの眉間に皺が寄る。ど、どうしたんだろう?
「気にすんな。大方アシュリーに良いトコ見せたいのにコーヒーの事を知らないんだろ」
ラズロさんがにやにや笑いながら言う。
あ、そう言うこと?
悔しそうに口を尖らせるノエルさんの反応からして、ラズロさんの言った通りみたい。
僕としては、ノエルさんにも知らないことがあるんだなー、って親近感がわくんだけど、駄目なのかな?
茄子とキノコを挟んだパニーノとスープを持ってトキア様の執務室にお邪魔する。
「知識を得ることに興味があるのなら、図書室への入室許可を与えるが」
机の上にパニーノとスープを置いていたら、突然トキア様に言われた。
何の事だか分からないでいると、トキア様がコーヒーについてだ、とおっしゃった。何でご存知なんだろう? あ、ノエルさんから聞いたのかな?
「でも僕、簡単な文字しか分からないです」
「そうか」
「はい」
「では、私が教えてやろう」
トキア様から文字を教えてもらう?!
「えっ! そんな、とんでもないです! お忙しいトキア様にそんなご迷惑はおかけできないですっ!」
慌ててお断りする。
忙しくてお昼も食べる余裕がないトキア様に、迷惑なんてかけられないよ!
「そんなに嫌がるな。フルールの事といい、昼の事といい、おまえには世話になっているからな、文字ぐらいどうと言う事はないし、アシュリーのいた村の話も聞きたい」
えっ、でも、フルールの"核"に高価なものをいただいてしまったし、僕の方がお世話になってるのにーっ!
口にしたパニーノの具を、トキア様はまじまじと見つめる。もしかしてお嫌いなものが入っていたとか?!
「これは美味だな。茸の食感と茄子の食感が良い」
ほっとする。
良かったー……一瞬焦ってしまった。
「文字は知っていて損はないぞ。家族にも手紙がかけるだろう」
父さんも母さんも文字は得意ではなかったけど、兄さんは商人スキルがあるから、手紙を書いたら兄さんが読んでくれるかも知れないな。
ちょっとだけ文字が読めるのも、兄さんから教わったからだし。
「明日から教える」
とっても嬉しいけど、本当に良いのかなぁ……?
「案ずるな。基本的な事を覚えれば後は一人でも学んでいける」
ずっとトキア様に迷惑をかける訳ではないってこと?
それなら、覚えたい。
「ありがとうございます、トキア様」
トキア様の大きな手が僕の頭を撫でた。なんかちょっと、恥ずかしいけど、嬉しい。
食堂に戻ってから、そのことをラズロさんに話したらまた、頭を撫でられた。
「おー、良かったじゃねぇか。文字の読み書きが出来た方が悪い奴に騙されなくなるからな。それにしてもあのトキア様がなぁ。アシュリーは随分気に入られてんなぁ」
気に入られて……いるのかな……?
「あの人は気難しいし、無能は嫌いなんだよ」
サッと血の気が引く。
「それじゃあ、僕、駄目だと思いますっ」
「何でだよ。アシュリーは持っているスキルを上手く使ってんじゃねぇか。無いなら無いなりに努力してる姿は好印象だぜ?」
そういうもの?
ラズロさんは笑顔で僕の頭をわしわし撫でた。
「文字の読み書きに慣れたらオレと買い物に行けるな」
「行きたいです!」
この前の買い出しにクリフさんとノエルさんが付いて来てくれたのは、僕が文字を読めない所為もあったみたい。
世間知らずで文字も満足に読めない僕が騙されないようにと、同行してくれたんだって。
うん、やっぱり文字は覚えないと。クリフさんとノエルさんにこれ以上迷惑をかけないようにしたいし、文字が読み書き出来るようになったら、ラズロさんのお買い物のお手伝いも出来そうだし。
頑張るぞ!
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