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第一章 新しい生活の始まり
020-1
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スオウの花見には、僕、ラズロさん、ノエルさん、クリフさんの四人で行く事になった。
王都の城壁の外に、スオウの樹が沢山植えられた林があって、そこで花見をするのがラズロさんたちの定番らしい。王都の広場にはいつも以上に出店があるし、城壁の中でもスオウの樹はあるけど、混雑し過ぎて花見どころではないんだって。花より酒だと思っていたラズロさんの言葉に驚いていると、ラズロさんに頬をつままれた。
来る途中に串焼きを買って、食べながら目的地に向かう。戦の前に腹拵えだ、ってラズロさんは言ってた。戦は言い過ぎだけど、ラズロさんの本気度合いは感じた。
熱々を、口の中ではふはふと転がしながら食べた。
串だけしかあげないのは嫌だから、ちゃんと肉も残してフルールにあげた。フルールの表情は変わらないけど、多分僕と同じように美味しいと感じてると思う。多分だけど。ネロには味が付いてるからあげられない。
「よぉし! ここだ!」
そう言うと、ラズロさんとノエルさんとクリフさんがテキパキと用意を始める。あまりの手際の良さに何を手伝えば良いのかも聞けない。
ノエルさんが笑って「待っててね」と言ったので、フルールを抱きしめながら、切り株の上に腰掛けて待つ。ネロは飛んでる蝶を適当に追いかけてる。あれは絶対適当だと思う。
目の前で用意されていくものは、とても外での簡単な食事をしつつ、花を楽しむものには見えないんだけど……初めての僕としては正しい花見が分かりません。
分からないんだけど、きっと違う。
だって、その調理道具は何ですか?
「待ってたぞ、今日という日を!」
カゴから木の器がいくつも取り出される。
「まずは、簡単に食えるものから食べて、腹が落ち着いてきたら調理を始めるぞー!」
一体ここに、何時間いる予定なんだろうか……?
ちらりとノエルさんとクリフさんを見ると、ノエルさんは肩を竦ませて、クリフさんは首を横に振った。
あー、これは二人も諦めてるってことなのかな。
器を渡され、瓶に入ったジュースが注がれる。ブドウジュースだ! 顔を上げるとラズロさんがにやりと笑っていて、「ザックにもらったんだよ」と言った。
「では、我が友の勝利と無事を祝って、乾杯だ!」
「かんぱーい」
「乾杯」
「乾杯!」
器のジュースを飲み干す。甘さと酸っぱさに刺激されたのか、おなかが急に空いてきた。さっき串焼きを食べたけど、ちょっとだけだったし。
カゴから取り出したパニーノをみんなに渡す。
「ありがとー、アシュリー!」
「美味そうだ」
パニーノに噛り付こうとしたら、ラズロさんに止められた。
「待て待て、これを入れてみようぜ」
来る途中で沢山買っていた串焼きの肉を、串から外して僕の持つパニーノに入れていく。これは、美味しそう!
ノエルさんとクリフさんのパニーノにも肉が詰め込まれていく。最後にラズロさんの。
パニーノに噛り付く。肉の旨味が口に広がって、野菜の酢漬けが肉の脂を和らげてくれる。マスタードも効いてる気がする。
作っている時に、ラズロさんが酢漬けのパニーノを作ろう、マスタードを入れよう、って言うから、何故なんだろうと思っていたけだ、その時からきっと串焼きの肉を入れる事を思い付いていたんだろうな。
「美味しい!」
「うん、美味いな」
「そうだろうそうだろう」
「偉そうに言ってるけど、作ったのアシュリーでしょ?」
ノエルさんに指摘されると、ラズロさんは聞こえないフリをしてるのか、パニーノを美味しそうに食べていく。
このやりとりも久しぶりだ、って思った。
寒さに耐えて、みんなの無事を祈ってる間に、冬は通り過ぎていった。
ノエルさんやクリフさん達が、危険な思いをしながら頑張ってくれたから、今、こんな風に花見が出来てるんだよね。
「アシュリー?」
クリフさんが僕を見てる。僕は笑顔を返す。
「おかえりなさい、クリフさん」
前に言ったけど、なんとなく言いたくなって。
「ただいま、アシュリー」と、クリフさんが笑顔になる。
ノエルさんもそわそわしてるので、ちょっと笑ってしまった。
「おかえりなさい、ノエルさん」
「ただいま、アシュリー!」
ラズロさんが呆れた声を出す。
「魔法師団のノエルと騎士団のクリフって言ったら、泣く子も黙る氷のような二人で有名だったんだけどなぁ」
「皆が勝手に言ってるだけで、僕はそんな事言ってませんけど?」
「オレもだ」
三人のやりとりを笑って見ながら、パニーノを食べる。
本当に、無事で嬉しい。怪我一つないなんて、凄い事だと思う。
王都の城壁の外に、スオウの樹が沢山植えられた林があって、そこで花見をするのがラズロさんたちの定番らしい。王都の広場にはいつも以上に出店があるし、城壁の中でもスオウの樹はあるけど、混雑し過ぎて花見どころではないんだって。花より酒だと思っていたラズロさんの言葉に驚いていると、ラズロさんに頬をつままれた。
来る途中に串焼きを買って、食べながら目的地に向かう。戦の前に腹拵えだ、ってラズロさんは言ってた。戦は言い過ぎだけど、ラズロさんの本気度合いは感じた。
熱々を、口の中ではふはふと転がしながら食べた。
串だけしかあげないのは嫌だから、ちゃんと肉も残してフルールにあげた。フルールの表情は変わらないけど、多分僕と同じように美味しいと感じてると思う。多分だけど。ネロには味が付いてるからあげられない。
「よぉし! ここだ!」
そう言うと、ラズロさんとノエルさんとクリフさんがテキパキと用意を始める。あまりの手際の良さに何を手伝えば良いのかも聞けない。
ノエルさんが笑って「待っててね」と言ったので、フルールを抱きしめながら、切り株の上に腰掛けて待つ。ネロは飛んでる蝶を適当に追いかけてる。あれは絶対適当だと思う。
目の前で用意されていくものは、とても外での簡単な食事をしつつ、花を楽しむものには見えないんだけど……初めての僕としては正しい花見が分かりません。
分からないんだけど、きっと違う。
だって、その調理道具は何ですか?
「待ってたぞ、今日という日を!」
カゴから木の器がいくつも取り出される。
「まずは、簡単に食えるものから食べて、腹が落ち着いてきたら調理を始めるぞー!」
一体ここに、何時間いる予定なんだろうか……?
ちらりとノエルさんとクリフさんを見ると、ノエルさんは肩を竦ませて、クリフさんは首を横に振った。
あー、これは二人も諦めてるってことなのかな。
器を渡され、瓶に入ったジュースが注がれる。ブドウジュースだ! 顔を上げるとラズロさんがにやりと笑っていて、「ザックにもらったんだよ」と言った。
「では、我が友の勝利と無事を祝って、乾杯だ!」
「かんぱーい」
「乾杯」
「乾杯!」
器のジュースを飲み干す。甘さと酸っぱさに刺激されたのか、おなかが急に空いてきた。さっき串焼きを食べたけど、ちょっとだけだったし。
カゴから取り出したパニーノをみんなに渡す。
「ありがとー、アシュリー!」
「美味そうだ」
パニーノに噛り付こうとしたら、ラズロさんに止められた。
「待て待て、これを入れてみようぜ」
来る途中で沢山買っていた串焼きの肉を、串から外して僕の持つパニーノに入れていく。これは、美味しそう!
ノエルさんとクリフさんのパニーノにも肉が詰め込まれていく。最後にラズロさんの。
パニーノに噛り付く。肉の旨味が口に広がって、野菜の酢漬けが肉の脂を和らげてくれる。マスタードも効いてる気がする。
作っている時に、ラズロさんが酢漬けのパニーノを作ろう、マスタードを入れよう、って言うから、何故なんだろうと思っていたけだ、その時からきっと串焼きの肉を入れる事を思い付いていたんだろうな。
「美味しい!」
「うん、美味いな」
「そうだろうそうだろう」
「偉そうに言ってるけど、作ったのアシュリーでしょ?」
ノエルさんに指摘されると、ラズロさんは聞こえないフリをしてるのか、パニーノを美味しそうに食べていく。
このやりとりも久しぶりだ、って思った。
寒さに耐えて、みんなの無事を祈ってる間に、冬は通り過ぎていった。
ノエルさんやクリフさん達が、危険な思いをしながら頑張ってくれたから、今、こんな風に花見が出来てるんだよね。
「アシュリー?」
クリフさんが僕を見てる。僕は笑顔を返す。
「おかえりなさい、クリフさん」
前に言ったけど、なんとなく言いたくなって。
「ただいま、アシュリー」と、クリフさんが笑顔になる。
ノエルさんもそわそわしてるので、ちょっと笑ってしまった。
「おかえりなさい、ノエルさん」
「ただいま、アシュリー!」
ラズロさんが呆れた声を出す。
「魔法師団のノエルと騎士団のクリフって言ったら、泣く子も黙る氷のような二人で有名だったんだけどなぁ」
「皆が勝手に言ってるだけで、僕はそんな事言ってませんけど?」
「オレもだ」
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