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第二章 マレビト
027-2
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ノエルさんが出て行って、ラズロさんとまた二人になった食堂で、頭を掻きながらラズロさんが言った。
「あくまでオレの目線でしかないけどな、ノエルもクリフも、真っ当な奴だ。でもな、権力ってのは恐ろしいもんで、簡単に人を狂わせもするし、黒も白にしちまう」
はぁ、とため息を吐くラズロさんの表情から、前にそう言うことがあったのかな、と思ってしまう。
「でも、トキア様と騎士団長がいる。だからおまえのことを悪用しようとする奴は、この四人が何とかしてくれんだろう。
魔女の恐ろしさを分かってる奴なら、馬鹿なことはしねぇだろうけどな、本当に馬鹿な奴ってのはいてな、魔女すら大したことない、ってほざく可能性があるんだよ」
カウンター席に座っていたラズロさんは立ち上がって、コーヒーの豆をミルの中に入れると、ガリゴリと音をさせながら削り始めた。
「ノエルが言ってた、第二王子のこと、覚えてるか?」
頷くと、ラズロさんも頷いた。
「アレはそう言う奴だ。止めようにもその上をいく権力を持つのは第一王子と陛下しかいない」
コーヒー豆を削る音が、ラズロさんの声の邪魔をする。
隣にいる僕には聞こえるけど、他の人には聞こえないと思う。
他には誰もいないけど、用心してるのかも知れない。
「陛下は第一王子に王位を継がせたいとお考えだと聞いたことがあるけどな、肝心の第一王子の身体が弱くてな。
このままでは第二王子が継ぐだろうと言われてる。
……第二王子が継げば間違いなく戦争になる」
だから、ノエルさんはパフィに女王蜜のことを聞いていたんだもんね。
「オブディアン家は、かつて戦争で自国の滅びを経験してるって話だ」
戦争を回避したいって、強く願ってる理由は、それなのかな。
「戦争で傷つくのはいつだって下の人間だ。それが分からないから戦争なんて引き起こせるんだろうよ」
豆が引き終わると、更に豆を追加して、ラズロさんは挽き続けた。時折挽いた豆を別の容器に移しながら。
「でもな、アシュリーはアシュリーの思うようにやれよ」
顔を上げてラズロさんを見る。ラズロさんは困ったように笑ってる。
「みんな、自分たちの都合ばっかり押し付けてんだよ。もっともらしいことを言ってな。それに、アシュリーが付き合ってやる義理はねぇよ」
「でも……」
僕が言いかけようとすると、ラズロさんが首を横に振った。
「世界は広いぞ、アシュリー。イースタンやエスナのように世界を回って、自分に合う国を見つけて住んだって良い。この国に縛られる必要はねぇよ」
ラズロさんは優しい。
本当に。
「じゃあ、その時が来たら、ラズロさんも一緒に逃げて下さいね」
そう言うと、ラズロさんは笑顔になって、僕の頭をぽんと叩いた。
「おぅ、良いぞ」
「あくまでオレの目線でしかないけどな、ノエルもクリフも、真っ当な奴だ。でもな、権力ってのは恐ろしいもんで、簡単に人を狂わせもするし、黒も白にしちまう」
はぁ、とため息を吐くラズロさんの表情から、前にそう言うことがあったのかな、と思ってしまう。
「でも、トキア様と騎士団長がいる。だからおまえのことを悪用しようとする奴は、この四人が何とかしてくれんだろう。
魔女の恐ろしさを分かってる奴なら、馬鹿なことはしねぇだろうけどな、本当に馬鹿な奴ってのはいてな、魔女すら大したことない、ってほざく可能性があるんだよ」
カウンター席に座っていたラズロさんは立ち上がって、コーヒーの豆をミルの中に入れると、ガリゴリと音をさせながら削り始めた。
「ノエルが言ってた、第二王子のこと、覚えてるか?」
頷くと、ラズロさんも頷いた。
「アレはそう言う奴だ。止めようにもその上をいく権力を持つのは第一王子と陛下しかいない」
コーヒー豆を削る音が、ラズロさんの声の邪魔をする。
隣にいる僕には聞こえるけど、他の人には聞こえないと思う。
他には誰もいないけど、用心してるのかも知れない。
「陛下は第一王子に王位を継がせたいとお考えだと聞いたことがあるけどな、肝心の第一王子の身体が弱くてな。
このままでは第二王子が継ぐだろうと言われてる。
……第二王子が継げば間違いなく戦争になる」
だから、ノエルさんはパフィに女王蜜のことを聞いていたんだもんね。
「オブディアン家は、かつて戦争で自国の滅びを経験してるって話だ」
戦争を回避したいって、強く願ってる理由は、それなのかな。
「戦争で傷つくのはいつだって下の人間だ。それが分からないから戦争なんて引き起こせるんだろうよ」
豆が引き終わると、更に豆を追加して、ラズロさんは挽き続けた。時折挽いた豆を別の容器に移しながら。
「でもな、アシュリーはアシュリーの思うようにやれよ」
顔を上げてラズロさんを見る。ラズロさんは困ったように笑ってる。
「みんな、自分たちの都合ばっかり押し付けてんだよ。もっともらしいことを言ってな。それに、アシュリーが付き合ってやる義理はねぇよ」
「でも……」
僕が言いかけようとすると、ラズロさんが首を横に振った。
「世界は広いぞ、アシュリー。イースタンやエスナのように世界を回って、自分に合う国を見つけて住んだって良い。この国に縛られる必要はねぇよ」
ラズロさんは優しい。
本当に。
「じゃあ、その時が来たら、ラズロさんも一緒に逃げて下さいね」
そう言うと、ラズロさんは笑顔になって、僕の頭をぽんと叩いた。
「おぅ、良いぞ」
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