前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第二章 マレビト

028-5

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『それが何かは教えられん。魔女の言葉には力があるからな』

 ノエルさんが頷いた。

『結論から言えば、クロウリーのダンジョンを破ったのは、魔女だろう』

 その場の空気が凍ったのが分かる。みんな動けなくなった。僕も、どうしていいのか分からない。

『私でない事は確かだ。ヴィヴィアンナでも、アマーリアーナでも無い事は確認済みだ。嘘を吐いたらヒキガエルになる誓約をかけたが、そうはならなかったからな、間違いない』

 そうなると、焦熱の魔女ダリア様か、氷花の魔女キルヒシュタフ様……?

『どちらもあり得ると言えるし、あり得ないとも言える』

「ナインは何か、その事で記憶はある?」

 ノエルさんの質問に、ナインさんに注目が集まる。

「誰かに狙われてた。それは覚えてる。でも、誰か分からない。後ろから、刺された」

『犯人探しは後にしろ。早く女王蜂に巣を作らせる必要がある』

 みんながハッとする。
 そうだった。ダンジョン蜂をテイムしないとだった。

「アシュリー、ダンジョンに制約、かける。思うだけで良い」

 ナインさんに言われて、僕は目をつぶった。
 このダンジョンから、ダンジョン蜂は出られない、と強く念じる。

「思った?」と、首を傾げながらナインさんが聞いてきたので、頷いた。

「はい、念じました」

「じゃあ大丈夫」

「パシュパフィッツェ様、女王蜂はどんな状態で捕獲されているんでしょうか?」

『思考を残したまま麻痺させている。本気で怒っていると思うぞ』

 ククク、と楽しそうに笑うマグロに反して、僕たちの顔色は悪くなった。

「パフィ、それはテイムに失敗すると思う。僕は魔力が少ない上に、このダンジョンを作る為に魔力はほとんど残ってないもの」

『だから何だ。魔力を復元させる物ならあるだろう。こう言う時こそ使え』

 ポーションの事?
 でも僕、用意してない。
 ノエルさんが、そう言う事か……と呟いた。

「あまり、身体に良いものではないんですが……」

 そう言いつつ、ノエルさんが取り出したのは、瓶だった。

「アシュリー、美味しくないけど、魔力は直ぐに回復するから、飲んで」

 美味しくないんだ……。
 嫌とは言えない雰囲気の中、ノエルさんから渡された瓶を受け取り、コルクの蓋を外す。
 ……うん、なんだか青臭さに満ち満ちた臭いがします。

 ちらりとマグロを見る。
 しっぽを振って楽しそうだ。
 ……あ、これ、わざとだ。
 多分だけど僕が村を出る時にパフィに確認しなかったから、その仕返しだ。

「パフィ……ごめんなさい……」

『ようやく認めたか』

 ナインさんの腕から飛び降りたマグロは、僕の前まで来た。

『口を開けろ』

 言われるままに口を開ける。
 何かが口の中に入ってきた。
 甘い……?

『女王蜜だ』

「?!」

 今の、僕にじゃなくて、第一王子にあげるべきだったんじゃ……?!

『第一王子にくれてやっても良いが、効き目はあまりないからな、おまえにくれてやった』

 ほら、早くポーションを飲め、と言われ、口の中に甘さが残ってる間に口に入れた。

「?!」

 最後までなんとか飲み切った……けど……不味い!

「パフィ、不味いよ?!」

『苦味はあるまいよ』

 そうだった、パフィはこう言う人だった……。
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