前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第二章 マレビト

029-4

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「パシュパフィッツェ様、ダンジョン蜂はどのぐらいの時間をかけて巣を作るのですか?」

 ノエルさんが尋ねる。
 マグロはと言うと、器用なことにフォークをしっぽで持って、麺を食べてる……凄い……!
 いくら猫の姿を借りていても、器に直接顔を付けるのは嫌だったんだね。

『三日もあれば働き蜂を産めるだろう。働き蜂が生まれればそこからは早いぞ。
アシュリー、一層目には春の樹木や花を植えておけ。見目も良いし、蜂にとっても都合が良かろう』

「分かった」と答えて頷く。

『そうそう、蜜も良いがな、蜂ヤニも使えるぞ。女王蜜よりも採取量が少なく、陸地の蜂によっては作らんものだ』

「蜂ヤニって、あの、極稀に取れるって言われてる奴?」

 しっぽで持っているフォークを揺らす。危ないよ、パフィ。

『そうだ。村の近くに巣を作る蜂は作らんがな。他の国では作る蜂もいる。ダンジョン蜂は必ず作るぞ』

 どんな風に使うんだろう?

『樹木から採取するヤニのように使ったりもするがな、あれは腐敗や毒を予防したり、治療にも使える』

 なんだかんだ言って、パフィは第一王子を助けることに積極的だよね。パフィが魔女の姿のまま第二王子たちをやっつけるのが一番手っ取り早いのに、そうしないのは、パフィの優しさだよね。

『何をにやついてる』

「何でもないよ。パフィ、お肉おかわりする?」

『うむ。大盛りでな』

 マグロが太ったらどうしよう、と一瞬思ったけど、その時はネロにお願いして構い倒してもらって、痩せてもらおう。



 解散してから、パフィと一緒にもう一度ダンジョンに入る。ジャッロの姿は見えない。
 きっと今頃、巣を作ってるんだろうと思う。

『あの女王蜂はな、眠りからさめて土中から出てきたばかりの所を捕まえて来たからな、若いぞ』

 若いとか、若くないとか、よく分からないけど、蜂にも当然寿命があるよね。

 改めて入ったダンジョンは、薄暗い。当然なんだけど。
 さっきはノエルさんが照明をたいてくれていたから、視界が広かったけど。

「ねぇ、パフィ、ダンジョンの中で朝昼夜、を作ったらおかしいかな?」

 ジャッロたちダンジョン蜂からすれば、朝も昼も必要ないのかも知れないけど、もし、花を植えるのなら、必要なんじゃないかな。
 そう言えばさっき、僕が作り出した木は、どうなってるんだろう?
 そのことをパフィに尋ねる。

『この草むらと、今存在する樹木は、固定物として存在し続けるだろう』

「固定物?」

『減ったとしても、魔力により復元する』

 その魔力は何処から来るの?

『魔力がなくなればただの洞窟に成り下がるからな、このダンジョンにそうなってもらっても困る。
体良く出来る魔術師がいるからな、符を作らせているから安心しろ』

「符?」

『術式を施した符を外に撒いておく。そうしてこのダンジョンに魔力を集めるのだ』

「そんなことして、大丈夫なの?」

『魔力は溜まればダンジョンになる。人里の近くにそんなものが出来たら困るだろう。そう言った場所に貼る予定だ。安心しろ』

 それに、とパフィが話を続けた。

『アマーリアーナの頼みを叶える為にも、このダンジョンに魔力を集める必要がある』

 アマーリアーナ様が必要としてるもの。

「パフィはいらないの?」

『物に頼る気はない』

 パフィのそう言うところ、好きだけど、もし必要になったら、いっぱいあげようと思う。

 朝と、昼と、夜が、ダンジョンの外と同じように訪れるようにして、草むらばかりだったのを、春の花に変えたところでおなかが空いてきた。
 魔力をだいぶ使ってしまったみたい。それに、麺はすぐにおなかが空くんだよね。

『ここまでにしておいて明日、また入る事にしよう』

「うん。
ねぇ、パフィ、ラズロさんにお願いして宵鍋に行こう」

 今日は食堂がお休みだし、せっかくだから。

『話に聞く宵鍋だな。良いぞ』

 ラズロさんにお願いしなくっちゃね。フルールも連れて行かなくちゃ。
 いつもよりおなかが空いてる。いっぱい食べられそう。
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