前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

048-4

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 おなかがいっぱいになったから、ザックさんの手伝いに厨房に入る。

「どうだった、プディングは」

「美味しかったです。ザックさんの故郷で食べるものだって聞きました」

「なんでもプディングにしちまうんだよ、アイツらは。パンが余っても、コメが余っても」

 嫌そうな顔でナッツを木槌で砕いていく。

「プディングが好きな土地なんですか?」

「面倒くさがりなだけだろうがな。ミルクや卵でなんでも煮ちまうんだ。何でもかんでもだぞ?」

 その言い方に笑ってしまう。

「嫌で堪らなくてな、世の中にはもっと美味いもんがある筈だって思って飛び出したんだ」

 ザックさんが故郷を出た理由がプディングだなんて……。

「しかも適当だからな、作り方も」

 色々とザックさんとしては許せないんだってことは分かった。

「ザックさん、その砕いたナッツは何に使うんですか?」

「これか?」

 叩くのを一瞬止めて、砕けたナッツを指さす。
 頷くと、また叩き始めた。

「コクと、とろみをつけたくてな」

「あ、とろみと言えば、王都の外でアダの根を手に入れたんです」

「なに?! アダの粉か? 売ってくれ、アシュリー!」

 ものすごい食いつきに驚く。

「そんなに貴重なんですか?」

「山の方まで行かないと手に入らないからな」

「そうなんですね。ザックさんにはいつもお世話になってるので、お金はいいです」

 駄目だ、とザックさんが首を振る。

「もし他の奴が欲しいって言って来たらどうする? そいつには売るのか? 不公平だと騒がれるぞ?」

 そう言われてしまうとその通りで、困ってしまう。

「アシュリーはもう少し欲を持てよ」

「うーん……じゃあ、チーズを使ったレシピが知りたいです」

 皿を洗いながら答えると、チーズ? と聞き返される。

「チーズを自分で作ってみようと思うんですけど、何か新しいのが知りたくって」

「なるほどなぁ」

 ザックさんの店では皿を洗うのにスポンジを使わない。
 へちま、ダンジョンで育てたら便利なんじゃないか、って急に思い付いた。スパイスを育てている所でならいけるんじゃないかな。
 そうすれば皿洗いにも、風呂掃除にも使えるし。

「クロケットの中にチーズを仕込んでおくのも美味いぞ」

「あ、それ美味しそう」

 齧ったら中からチーズがとろりと出てきたら、幸せな気持ちになれそう。

「定番なのは、チーズをかけて焼く奴だが、肉にかけても美味いし、魚や貝も相性が良いぞ。
白身の魚の上にのせてな、切ったトマトを横に添えて一緒に石窯で焼くんだよ」

 あっ、それ、絶対に美味しいと思う。

「チーズが出来たら絶対作ります!」

「アダの粉が手に入ったらテリーヌを作るか」

「テリーヌ?」

「味見させてやる」

「はい」

「そう言えばアシュリー、ヨウルトはあるのか?」

 チーズ作りにはレンネットとヨウルトが必要。

「いえ、作ろうと思ってるんです」

「あれをいちから作るのは失敗もするだろうし、時間がかかるだろう。オレが持ってるヨウルトを分けてやるから持っていけ」

「ありがとうございます!」
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