前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

049-1

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 改良したミズル草がどんな物なのかを偉い人たちに説明するのは、ティール様の役目になったみたい。
 口をパフィのまじないで封じられていたと言うのもあるけど、多分、レンレンさんだと話し出したら止まらないからだろうな……。

 改良されたミズル草の種は、あちこちの街や村に配られるらしい。
 ミズル草を見つけたら、その近くに植える。そうすると辺りの魔力を吸って育って、咲いてからも魔力を吸い続けるんだって。こうすることでミズル草が群生するのを防げるみたい。
 咲いた花だけを切り落として、王都に送ってくれれば、代金が支払われる。
 花が切り落とされても、抜かなければまた花が咲く。ただ、植え替えることは出来ないから、抜いたら枯れてしまう。

 どんな仕組みなんだろう、と思っていたら、ノエルさんが教えてくれた。

「僕も魔術と魔法薬学は門外漢だから、聞いた話を軽く説明するぐらいしか出来ないんだけどね」

 そう前置きして、ノエルさんは話し始めた。

「ミズル草の種子を術符を刻み込む符の代用品として術式を組み込んであってね、種が発芽した瞬間に術式が展開されるようになってるんだって。
発芽の瞬間から周囲の魔力を吸収していって、内部で圧力をかけて結晶化させて、通常のミズル草の十倍は魔力を保留可能で、咲いた花のみを切り落とすとまた新しい花を咲かせるから、理論上は永遠に使い続けられるらしいんだけど、魔物が食べてしまうだろうから、その前になくなるだろうって」

 分かったような分からないような気持ちで頷く。
 そうだ、モンスターはミズル草が好きなんだった。食べたらモンスターは強くなってしまうんじゃなかったっけ?
 その事を質問すると、ノエルさんはふふ、と笑った。

「結晶は食べられないんだよ、アシュリー」

「食べられない?」

 そう、とノエルさんが答える。

「結晶化した魔力を取り込めるのは、魔法使い、魔術師、魔法薬学士、それから……魔女」

 だからね、と言ってノエルさんは話を続ける。

「純度の高い魔力結晶をミズル草が内包していたとしても、魔物はものにする事が出来ないし、ダンジョンも発生しない」

「凄い……」

 素直に感想を言うと、ティール様が照れだした。
 あれ、ティール様、いつの間に。

「いやぁ、照れますねぇ」

「変人だけど、一応天才なんだよね、ティールは」

「ノエル、もうちょっと言葉を選んで下さいませんか、私も一応傷つきます」

 ティール様、その言い方ちょっとズレてる気がします。

「やっとレンレンから解放されましたー。
生きてるって素晴らしいー!」

 やったー! と言って両手を上げるティール様の目に、うっすら涙が……。
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