前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第四章 魔女の国

052-4

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 トマトと仔牛の骨を煮るのを止める。
 凍らして萎れてしまった野菜をフライパンで炒めて、大鍋に入れる。それと香辛料。
 こうすると野菜の甘味や旨味が加わるんだって。ニンニクもたっぷり入れるし、胡椒も入れる。味付けの意味もあるけど、毒消しの効果があるから。

「炒めちまえば萎れてんのも分かりにくいなぁ。残った奴は炒めちまうか」

 フライパンの中の野菜を見てラズロさんが言う。

「あとはオムレツだよな」

「オムレツは人気ですけど大変なんですよね」

 食堂でもたまにオムレツを出すけど、とにかく大変。ひたすらオムレツを焼き続けるから。
 フライパンを三つ並べて焼いたりする。ラズロさんと僕で作るから六つ作る。
 焼き終えたらオムレツを皿にのせて、添える野菜の酢漬けとパンをのせてカウンターに置くと、食べたい人が受け取りに来る。

「まぁな。そう言えば添えてる野菜の酢漬けなんかをもっと食いたいって言われてんだよな」

「そうなんですか?」

「でもどれだけ足すかなんて毎回確認してられないだろ?」

「無理だと思います」

 二人でやってるから難しい。

「オニーサンは考えたのよ」

「はい」

「大皿にあらかじめ入れておいた奴をカウンターに置いといてさ、そこから取っていけってすれば良いんじゃねぇ? 酢漬けが苦手な奴とかは残すだろ? でも好きなものを食べるようになればそう言ったのはなくなる」

 なるほど。

 氷室にはさまざまな野菜の酢漬けの入った甕が沢山並んでる。でも食堂に来る人は多いからすぐになくなっちゃう。
 冬場は貴重な酢漬けを残されてしまうとやっぱり悲しくなる。

「なくなっても奥から取り出して大皿に入れれば済む。皿を並べて添え物を一皿一皿のせるより場所も取らねえし楽だろ」

「確かにそうですね。専用のスプーンを入れておけば汚れにくいでしょうし」

 うんうんとラズロさんも頷く。

「裏庭の第三層のおかげでキノコは安定して取れてんだろ? あとイモとニンジン、ネギ」

 本当は野菜をダンジョンで育てたくなかったんだけど、いざと言う時にギルドに卸せるように育てて欲しいとトキア様に頼まれて作ってる。
 だからニンジンとネギの酢漬けは好きなだけ作れる。商業ギルドから依頼が来たら卸してる。
 王都の住む人たちがちゃんとご飯を食べられるように、この三種類の野菜はギルドが値段を調整しているんだって。
 本当は季節季節のものを食べた方が良いんだけど、今は世の中が難しくなってるからこう言った調整が必要なんだって。
 隣の国が信用出来ないっていうのは大変なことなのだと実感する。
 だから僕の好き嫌いは置いておいて、野菜をダンジョンで育てて、必要な量だけをギルドに卸してもらってる。
 魔力を沢山使ってしまってる気がするんだけど、大丈夫なのかな。

「魔力、こんなにダンジョンで使って大丈夫なんでしょうか?」

「確かになー。最近の裏庭ダンジョンでの栽培は凄まじいもんなぁ」

 頷く。

「外からも良いんだけどさ、この城にいる魔力持ちからもらえるようには出来ないのかね?」

「水晶ってことですか?」

「水晶じゃなくても良いけどな。ギルドなんかに貼ってる魔術符があんだろ? あんな感じで魔力を封じてある奴を置けたらマシなんじゃねぇのかって思ったんだよ」

 言ってからラズロさんは顎を撫でて、明日相談してみるか、と呟いた。
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