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第四章 魔女の国
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宵鍋に来た僕たちは、ザックさんの料理を食べていた。いつ食べても美味しい。ラズロさんの作るご飯とは違う美味しさ。
ザックさんのトマトの酢漬けを口に入れる。酸味に思わず目をつぶりたくなっちゃう。トマトを噛むとじわっと甘さが出てきて、酸味がやわらぐ。それからタマネギの辛みがちょっとと、シャクシャクした歯応え。美味しい。瑞々しいっていうんだって、こういうの。
隣でパフィも目を細めて食べてる。
「今年の冬は寒さがしのぎやすいな」
少し離れたテーブルの会話が聞こえてきた。
なんとなく聞き耳をたててしまう。
「一時はどうなるかと思ったけどなぁ」
ほんとほんと、と相槌を打つ声が続く。
「下の王子は北の国よりの考えだったんだろ? オレら下々のことなんてその辺の草と同じ扱いだったろうなぁ」
「でもよぉ、上の王子ってのは病弱なんだろ? 大丈夫なのかよ?」
「もう健康だって噂だ」
そうそう、もう毒も抜けたし、よく眠ってるらしいし、ご飯も残さず食べてくれてる。
たまに食堂に来て話をするけど、笑顔が増えた気がするし、前とは違う。もう少し太って欲しいのは相変わらず。
「そりゃ良かった。この国も安泰だ!」
笑ってグラスを鳴らし、エールを飲む人たち。
「ところで、出たらしいな、北に冬の王が」
会話の内容にほっとしていた僕は、ぎくりとする。
冬の王が北に出た。
去年もそうだった。この国で出なくなってからはずっと周辺の国で冬の王は出てくる。
本を読んで知ったんだけど、もっと沢山の国があるってこと。ここから遠く離れた所でも冬の王は生まれてるのかな?
「今年も要請がくんのかね?」
「馬鹿言え! どのツラ下げて言ってくんだよ!」
そうだそうだ、と他の人たちも口々に言う。
僕も心の中で頷く。
「北の国で勝手にやれってんだよ、なぁ」
「それはそうだけどよ、いつもうちの力借りてんだろうに、やれんのかと思ってな」
「難民が移り住んできでもしたら、新たな火種になりそうだよなぁ」
「国の境に壁はねぇもんなぁ」
これ以上聞いてると辛くなっちゃうと思って顔を上げると、皆真剣な顔をしていた。同じように聞いてたみたいだ。
予想していたことでも、本当にそうなると複雑な気持ちになる。僕がそうなんだから、ノエルさんたちはもっとだと思う。
僕の視線に気づいて、ノエルさんは困ったように笑う。
「準備はしてるんだけどね、絶対大丈夫だと言い切れなくてごめんね。でもなんとかするからね」
「最悪の場合は戦争ですかねぇ」
ティール様がさらっと言って、ラズロさんとノエルさんに同時に叩かれていた。
「いたっ!」
「アシュリーが不安になるようなこと言わないでよ」
「おまえ、そろそろ配慮ってもんを身に付けような?」
二人に凄まれて、困った顔をするティール様を見ていたら怖い気持ちが減った。
『案ずるな』
僕にだけ聞こえる声でパフィが言った。
もしかしてなんとかしてくれるのかな、と思ってパフィを見ると、にやりと笑って『おまえだけは助けてやる』と意地悪を言う。
『あぁ、ここの店主も守って村にでも連れて行くか』
「そういうことばっかり言うと、明日のごはんから肉を抜くからね」
『待て、それは駄目だ。大丈夫だ、最悪の場合はなんとかする』
「……おい、オレたちの未来はアシュリーの作るメシにかかってるぽいぞ」
ラズロさんがひきつった顔で言って、ノエルさんとティール様が頷いた。
さすがにそんなことはないと思う。……思いたいな。
ザックさんのトマトの酢漬けを口に入れる。酸味に思わず目をつぶりたくなっちゃう。トマトを噛むとじわっと甘さが出てきて、酸味がやわらぐ。それからタマネギの辛みがちょっとと、シャクシャクした歯応え。美味しい。瑞々しいっていうんだって、こういうの。
隣でパフィも目を細めて食べてる。
「今年の冬は寒さがしのぎやすいな」
少し離れたテーブルの会話が聞こえてきた。
なんとなく聞き耳をたててしまう。
「一時はどうなるかと思ったけどなぁ」
ほんとほんと、と相槌を打つ声が続く。
「下の王子は北の国よりの考えだったんだろ? オレら下々のことなんてその辺の草と同じ扱いだったろうなぁ」
「でもよぉ、上の王子ってのは病弱なんだろ? 大丈夫なのかよ?」
「もう健康だって噂だ」
そうそう、もう毒も抜けたし、よく眠ってるらしいし、ご飯も残さず食べてくれてる。
たまに食堂に来て話をするけど、笑顔が増えた気がするし、前とは違う。もう少し太って欲しいのは相変わらず。
「そりゃ良かった。この国も安泰だ!」
笑ってグラスを鳴らし、エールを飲む人たち。
「ところで、出たらしいな、北に冬の王が」
会話の内容にほっとしていた僕は、ぎくりとする。
冬の王が北に出た。
去年もそうだった。この国で出なくなってからはずっと周辺の国で冬の王は出てくる。
本を読んで知ったんだけど、もっと沢山の国があるってこと。ここから遠く離れた所でも冬の王は生まれてるのかな?
「今年も要請がくんのかね?」
「馬鹿言え! どのツラ下げて言ってくんだよ!」
そうだそうだ、と他の人たちも口々に言う。
僕も心の中で頷く。
「北の国で勝手にやれってんだよ、なぁ」
「それはそうだけどよ、いつもうちの力借りてんだろうに、やれんのかと思ってな」
「難民が移り住んできでもしたら、新たな火種になりそうだよなぁ」
「国の境に壁はねぇもんなぁ」
これ以上聞いてると辛くなっちゃうと思って顔を上げると、皆真剣な顔をしていた。同じように聞いてたみたいだ。
予想していたことでも、本当にそうなると複雑な気持ちになる。僕がそうなんだから、ノエルさんたちはもっとだと思う。
僕の視線に気づいて、ノエルさんは困ったように笑う。
「準備はしてるんだけどね、絶対大丈夫だと言い切れなくてごめんね。でもなんとかするからね」
「最悪の場合は戦争ですかねぇ」
ティール様がさらっと言って、ラズロさんとノエルさんに同時に叩かれていた。
「いたっ!」
「アシュリーが不安になるようなこと言わないでよ」
「おまえ、そろそろ配慮ってもんを身に付けような?」
二人に凄まれて、困った顔をするティール様を見ていたら怖い気持ちが減った。
『案ずるな』
僕にだけ聞こえる声でパフィが言った。
もしかしてなんとかしてくれるのかな、と思ってパフィを見ると、にやりと笑って『おまえだけは助けてやる』と意地悪を言う。
『あぁ、ここの店主も守って村にでも連れて行くか』
「そういうことばっかり言うと、明日のごはんから肉を抜くからね」
『待て、それは駄目だ。大丈夫だ、最悪の場合はなんとかする』
「……おい、オレたちの未来はアシュリーの作るメシにかかってるぽいぞ」
ラズロさんがひきつった顔で言って、ノエルさんとティール様が頷いた。
さすがにそんなことはないと思う。……思いたいな。
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