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第四章 魔女の国
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ベッドに潜り込んで、魔力水晶に話しかける。
答えはないって分かってるんだけど、言いたくなって。フルールは裏庭ダンジョンにごはんを食べに行ってるし、ネロは殿下の元に行ってるみたい。僕の部屋と違って殿下の部屋は冬でもあったかいから。
それに、殿下が風邪をひかないようにくっついてるんじゃないかな。気がつくとネロは殿下が具合が悪い時にそばに行ってる気がする。
「五百年前になにがあったんだろうね」
トラスに話しかけると、キラと光った気がした。
パフィとはなんの関係もないといいな。
たまたま、その時期に色々重なっちゃった。
なんでこんなに気になるんだろう。なんでこんなに胸騒ぎがするんだろう。
「不幸なことが起きないといいんだけど」
その日は、城の中の空気がピリピリしていた。
ラズロさんに何があったのか聞いたけど、ラズロさんも何も知らないみたいだった。
「城全体に緊張が伝わってるって感じだな。嫌な予感しかしねぇよ」
……緊張。
なにかがあったのかも知れない。
食堂は城の奥にあるから、いつもなら静かなのに、ここにいても走ってる足音が聞こえて来る。それも何人もの足音。兵士たちが着てる鎧の、ガチャガチャという音も。
それから間もなくして、城の見張り台から大きな音がした。
耳に刺さるような高い音で、胸がざわざわする。
「……嘘だろ」
廊下のほうから、急げ! と叫ぶ声が聞こえてくる。さっきよりも足音が多くなる。
「ラズロさん、今の音」
ラズロさんの手が僕の肩を掴んだ。
「戦争を知らせる合図だ」
身体がぎゅっと縮こまるのが分かった。
心臓が痛いぐらいにドキドキいってる。
「アシュリー、おまえ絶対トラスを離すなよ。いざとなったら裏庭のダンジョンに飛び込め」
「はい」
のどが一瞬でカラカラになった。
戦争?
どうして??
僕の頭の中は、なんで、どうして、そんな言葉でいっぱいだった。
ラズロさんは大きくため息を吐くと、厨房に入って行った。包丁を武器にでもするのかな……。
「アシュリー、無理にとは言わんが、出来たら手伝ってくれ。魔法使いも騎士も兵士も魔術師も、腹を空かせるだろうからな」
ラズロさんの言葉にはっとする。
そうだ。戦争ってことは、皆が戦いに行くってことだ。おなか空くよね、魔法使ったりしたらおなか空く。
走って厨房に入り、ラズロさんに言われたとおり、料理をしていく。
食べやすいものを、沢山作らないと。
「アシュリー、おまえも食っておけよ」
「僕ですか?」
「最悪の時は、城だけじゃなく、城下の奴らを避難させるためのダンジョンを作ることになるかも知れないからな」
皆を避難させるための、ダンジョン。
僕が、攻めてきた人たちは入れないようにと願えば、城の皆や城下町の皆を守れるということ?
「おまえの力が、人にとって不利益なものじゃないことは皆もう分かってんだろ」
危険だって言われて、ここに来ることになった僕のスキル。
「……どんなもんもな、使う人間の心次第なんだよ。包丁で人を刺せるだろう? でもそうは使わないな。美味いもんを作るために使う」
話しながら、ラズロさんはどんどん料理を進めていく。
「道具もスキルも、人の心一つで決まるんだよ。どんな便利なもん持ってたって使わなきゃ意味がねぇ。危険といわれるもんだって使わなきゃ無害だ。
アシュリーがそう使わなきゃいい、赤の他人がギャーギャー騒いでも気にすんな。気にする価値もねぇよ」
「……はい、ありがとうございます、ラズロさん」
答えはないって分かってるんだけど、言いたくなって。フルールは裏庭ダンジョンにごはんを食べに行ってるし、ネロは殿下の元に行ってるみたい。僕の部屋と違って殿下の部屋は冬でもあったかいから。
それに、殿下が風邪をひかないようにくっついてるんじゃないかな。気がつくとネロは殿下が具合が悪い時にそばに行ってる気がする。
「五百年前になにがあったんだろうね」
トラスに話しかけると、キラと光った気がした。
パフィとはなんの関係もないといいな。
たまたま、その時期に色々重なっちゃった。
なんでこんなに気になるんだろう。なんでこんなに胸騒ぎがするんだろう。
「不幸なことが起きないといいんだけど」
その日は、城の中の空気がピリピリしていた。
ラズロさんに何があったのか聞いたけど、ラズロさんも何も知らないみたいだった。
「城全体に緊張が伝わってるって感じだな。嫌な予感しかしねぇよ」
……緊張。
なにかがあったのかも知れない。
食堂は城の奥にあるから、いつもなら静かなのに、ここにいても走ってる足音が聞こえて来る。それも何人もの足音。兵士たちが着てる鎧の、ガチャガチャという音も。
それから間もなくして、城の見張り台から大きな音がした。
耳に刺さるような高い音で、胸がざわざわする。
「……嘘だろ」
廊下のほうから、急げ! と叫ぶ声が聞こえてくる。さっきよりも足音が多くなる。
「ラズロさん、今の音」
ラズロさんの手が僕の肩を掴んだ。
「戦争を知らせる合図だ」
身体がぎゅっと縮こまるのが分かった。
心臓が痛いぐらいにドキドキいってる。
「アシュリー、おまえ絶対トラスを離すなよ。いざとなったら裏庭のダンジョンに飛び込め」
「はい」
のどが一瞬でカラカラになった。
戦争?
どうして??
僕の頭の中は、なんで、どうして、そんな言葉でいっぱいだった。
ラズロさんは大きくため息を吐くと、厨房に入って行った。包丁を武器にでもするのかな……。
「アシュリー、無理にとは言わんが、出来たら手伝ってくれ。魔法使いも騎士も兵士も魔術師も、腹を空かせるだろうからな」
ラズロさんの言葉にはっとする。
そうだ。戦争ってことは、皆が戦いに行くってことだ。おなか空くよね、魔法使ったりしたらおなか空く。
走って厨房に入り、ラズロさんに言われたとおり、料理をしていく。
食べやすいものを、沢山作らないと。
「アシュリー、おまえも食っておけよ」
「僕ですか?」
「最悪の時は、城だけじゃなく、城下の奴らを避難させるためのダンジョンを作ることになるかも知れないからな」
皆を避難させるための、ダンジョン。
僕が、攻めてきた人たちは入れないようにと願えば、城の皆や城下町の皆を守れるということ?
「おまえの力が、人にとって不利益なものじゃないことは皆もう分かってんだろ」
危険だって言われて、ここに来ることになった僕のスキル。
「……どんなもんもな、使う人間の心次第なんだよ。包丁で人を刺せるだろう? でもそうは使わないな。美味いもんを作るために使う」
話しながら、ラズロさんはどんどん料理を進めていく。
「道具もスキルも、人の心一つで決まるんだよ。どんな便利なもん持ってたって使わなきゃ意味がねぇ。危険といわれるもんだって使わなきゃ無害だ。
アシュリーがそう使わなきゃいい、赤の他人がギャーギャー騒いでも気にすんな。気にする価値もねぇよ」
「……はい、ありがとうございます、ラズロさん」
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