25 / 76
第一章
第二十五話 食事は必要不可欠だよ
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
テレビの画面上では、料理番組が生放送されていた。
まともに食材や食料を調達できなくなったこのご時世に放送する料理番組というだけあって、その内容も普通の料理番組ではない。
〈美食家〉と名乗る料理人が調理しようとしている食材は、なんとモンスターだった。
各地で食料不足が嘆かれ問題視されているため、その打開策としてモンスターを食べれるか否かの実証を行うことを目的とした料理番組とのこと。
ちょうど第一回放送だったようで、今後の放送する時間帯も食事時を意識して行うようだ。
その記念すべき最初の食材となるモンスターは、巨大なウサギ系モンスターであるデカウサギだった。
まぁ、デカウサギとは俺がそう呼んでるだけなのだが。
実際に番組でも大きなウサギのようなモンスターと紹介されていた。
ネット上ではジャイアントラビットと呼称されていたかな……そのまんまだな。
なお、雑食でモンスターなので普通に人を襲います。
「第一回目なだけあって無難なモンスターを選んだな」
「無難、デスカ?」
「第一回目でいきなり明らかにハズレ枠な人型モンスターのゴブリンやオークを調理なんてしたら視聴者がいなくなるだろ?」
「確かにそれはハズレ枠デスネ」
と言っても、実際には放送する前にちゃんと試すだろうから、本当に食べられないモンスターは使わないだろうけど。
「このご時世で視聴率なんて意味は無いだろうけど、視る人がいないならこの番組をやる意義がなくなるしな。既存の食肉動物の延長線上らしきウサギ系モンスターなら、まだハードルは低い。あと弱いしな、単純に」
「そうですネ。動きに慣れれば倒すのは簡単ですシ、あっ、解体もするみたいデスヨ。血とか臓物とか、放送しても大丈夫なんでしょうカ?」
「まぁ、屋内に引き篭もって全く戦っていない奴ら以外は、大なり小なり超人化の過程でモンスターと戦っているから見慣れているはずだ。それに可食部位を切り分けるためにも解体作業は避けられないし、その知識と技術も必須だから放送するのは当然だな」
「言われてみればそうデスネ。それに、解体技術と知識はモンスターを倒す時にも活かせそうデス」
「確かに活かせそうだな。録画しとくか」
番組名で毎回録画しとくか……〈悪食か美食か〉って番組名なんだな。コメントに悩む番組名だ。
常識的な筋力しかない一般人でも解体が行えるなら、どうしても戦うのが無理って人でも仕事ができそうだな。
SNSでも、超人達に守ってもらうだけで、何もしようとしないタダ飯食らいの一般人に対する、超人達の不満溢れるコメントを最近よく見かけている。
超人化によって獲得できる能力の中には、魔法系のようにカロリーを著しく消費する能力も珍しくはない。
カロリーを摂取するには食事をするしかないが、その食料は量が限られており、避難所などの一般人がいる環境下では彼らの分も確保する必要がある。
食事量の大小が生死に関わり、命を賭けてモンスターと戦っている超人達に、一般人に対する鬱憤が溜まるのは無理もないだろう。
このことが深刻な事態を招く前に、モンスターを食材として使えるようになれば諸々の問題を解決できる糸口になるかもしれないな。
「流石に初の試みの番組を担当するだけあって手際がいいな」
「世界変革前は有名な料理人だったみたいデスヨ。ホラ、これデス」
「ちょっと昔の写真だがグルメだな」
ソフィアが見せてきたスマホの画面には、今はグルメと名乗っている料理人の写真が本名とともに何かの料理雑誌に記載されていた。
顔は覚えてなかったが、本名の字面は何かの有名番組で見たことがある気がするな。
グルメが解体のやり方を説明しながらサクサクとデカウサギを捌いていく。
やがて、可食部位だけになったデカウサギを使って解体以上に手慣れた手付きで調理していった。
こうして調理されているところだけを見るなら、これがモンスターの肉だとは分からないな。
画面上では一口サイズに切り分けられたデカウサギの肉が衣をつけて揚げられていた。
おそらく大半の人が好きであろう肉料理、唐揚げだ。
「お兄さんは唐揚げ好きデスカ?」
「好きだな」
「それなら、今度このデカウサギの唐揚げを作ってあげマス!」
「……ソフィアは料理できるのか?」
「こう見えて料理は得意なんデス」
「それなら次の食事はソフィアに任せようかな」
「デキル女だというところを見せてあげマスヨ!」
「……失敗するフリじゃないよね? 大丈夫だよね?」
ソフィアの自信満々なセリフに一抹の不安を覚えつつ、今は自分で作ったお好み焼きの味を味わうのだった。
24
あなたにおすすめの小説
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<これからは「週一投稿(できれば毎週土曜日9:00)」または「不定期投稿」となります>
「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。
死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。
レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。
絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、
「え?、何だ⋯⋯これ?」
これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる